・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・







男だらけの学食は賑やかというよりは騒がしく、いつだってあちこちで大声やバカ笑いが飛び交っている



だけど今の瞬間、この場だけはしんと静まり返っていてまるで別空間



そんな空気にさせてしまったのは間違いなく俺のせいで、そんなことはわかっていたけど



「なぁなぁ、4人でどこ行く?」



俺の口は閉じられそうになかった




A「大ちゃんが行けないのは残念だから、いつもみたいにコンビニでいいんじゃない?」



『え、僕のことは気にしないで💦』



気遣いマスターの雅紀はいつも通りだし、智くんだってズルいとは言わないだろうとは思った




M「そうは言うけどさ……じゃあせめてマックくらい行く?」



智くんを立てつつの代替案を出す松潤も流石で



N「………」



ニノだけは無言で、それが逆に怖かったけど




「智くんもいいって言ってるんだから、俺たちは4人で楽しめばいいじゃん」



俺の嫌味はどうにも止まりそうになかった






『そうだよ、みんなで行ってくれば……』



向かいに座っている智くんだけど、その声はとても小さく聞こえて



改めてチラッと顔を見れば曇った表情、ついにはあの花火の時のように俯いてしまった






あんな風に言えば、智くんだっていい気はしないのはわかっていたはずなのに




若かった俺はやらかしてしまってからしかその失敗に気付くことはできなかったし


青かった俺は自分に非がある事だとわかっていてもその場で謝ることも出来なかったんだ







A「ねぇ、みんなでその展覧会に行けばいいんじゃない?」



『有名な人じゃないから、興味ない人が見てもつまんないかも……』




M「それ今日じゃないとダメなの?」



『先輩の都合のいい日でってお願いしちゃったから……』





アートへの姿勢とか先輩に対しての礼儀とか、智くんの答えは当たり前なんだけど




そんなに先輩と2人で行きたいのかよ!


嫉妬まみれになっていた俺はそんな風にしか考えられなくなっていて




更には食べ終わったのかトレイを持った先輩が智くんのもとへとやってきて



〈大野、さっき言い忘れたけど、授業終わったら昇降口な〉



『どっちのですか?』



〈あ、そっか、1年とは離れてるから面倒か……じゃあ校門にしよう〉



『はい、わかりました』




完全にデートの打ち合わせを目の前で見せられたもんだからますます腹が立って



「……俺、先行くわ!」



居た堪れなくなった俺は、弁当箱が入ったバッグを掴んで荒々しく席を立ちみんなに背を向けた




AM「え、ちょっと💦」

慌てる2人と



N「やれやれですね……」

呆れるニノの声に紛れて




『翔くん……』




智くんに小さく名前を呼ばれた気がしたけど、何も応えずその場をあとにした






イライラしながら受けた午後の授業は何の身にもならないまま放課後に




A「ニノも行かないっていうから、コンビニにしよっか……」



俺たち3人は口数も少なく昇降口を抜けて校門へと向かうと



M「あっ……」



会わないようにとゆっくり出てきたつもりだったけどニアミス、そこには待ち合わせに成功した智くんと先輩の姿があった




先輩はもちろんだろうけど、智くんだって楽しそうに笑っていて




A「なんかいい雰囲気……」



M「ちょっと、相葉くんっ!」




松潤は気を使ってくれたみたいだけど、悔しいけど俺にもそう見えた





2人仲良くデートに向かう後ろ姿を見送ると虚しさに襲われて



結局、コンビニでアイスだけ買って、その場で食って即解散





重たい気持ちを引き摺ったまま帰宅、部屋でも一人悶々と考えてしまって



楽しんでるかな……

笑顔の2人が浮かんだ




その後も一緒にいるのかな……

寄り添い合ってる姿ばかりが想像できた





これをきっかけに付き合ったりして……

その妄想だけは頭を振って消し去ろうとしたけど





俺の代わりに先輩が学食でみんなと飯を食って笑ってるなんていう悪夢を見てしまったもんだから、ますます落ち込んでしまって




次の日から俺は学食へ行くことと
そして智くんのことも避けるようになった