2023年秋:北陸鉄道旅⑪金沢→宇奈月温泉 | ☆出かけよう!気のむくままに…☆

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 北陸フリーきっぷでの鉄道旅の4日目、最終日。朝一の6時半に朝食を食べるつもりだったが、起きたのが6時45分ごろと寝坊してしまった。顔洗って、服着て、なんとか7時にはロビー横の食事スペースに行って食事にありつくことができた。この日はほぼ野菜料理だけだったので物足りなかったが、たぶん栄養のバランスは取れているのだろう。こんな日もあるのかと思った。

 多少迷ったが電車の時間には余裕があるので、4日目の朝も短いながらも食後の散歩をした。ただ、駅に行って戻るだけだったが、朝の運動にはなる。4日目も天気は良さそうだ。ただ、予報では下り坂なので、帰りの新幹線に乗るころには雲が増えているかもしれない。

 

 ホテルをチェックアウトして金沢駅の北陸新幹線ホーム⑭番線に行く。この日は帰る前に黒部峡谷鉄道の欅平に行く計画を立てていたので、まずは東京行の『はくたか556号』で黒部宇奈月温泉を目指す。『はくたか』の自由席は12両編成の前側4両で、黒部宇奈月温泉での富山地方鉄道への乗り換えも考えて4号車に乗る。階段に近い方の4号車は70%以上の乗車率だったが、1号車や2号車だったら自由席はもっと空いていたと思う。

 8:26金沢発。天気はいいが朝霧か、もやっていて、遮音壁の低いところから見える山の稜線も少し霞んでいる。それでも、剱岳の稜線はギザギザで分かりやすい。

 新高岡では降りる人が4号車だけで10人以上いて、乗る人も10人近くいた。富山でも20人ぐらい降りたが、乗る人はそれほど多くなかった。北陸地方の近距離での都市間移動に、新幹線を利用するビジネス客が一定数いることが分かる。

 一方、黒部宇奈月温泉で降りる人も4号車だけで約10人、全体では4、50人はいて、こちらは大半が観光客のように見えた。黒部宇奈月温泉駅から富山地鉄の新黒部への乗り換え時間は8分だったので、下車する時に早めにドアの前に移動したら列車移動中の乗務員の方もいて、8分なら余裕で間にあうと教えてくれた。

 9:03黒部宇奈月温泉着。高架の北陸新幹線から1階の改札口を抜け、正面の通路を真っ直ぐに抜けると高架下の南口。横断歩道を渡った左前に富山地鉄の新黒部駅がある。改札口から改札口まで100mぐらいか。本当に余裕で間にあった。

 ところで、北陸新幹線の駅名が黒部宇奈月温泉なので宇奈月温泉の近くかと勘違いしそうだが、宇奈月温泉に行くにはここからまだ電車で25分かかる。利用者としては、富山地方鉄道の新黒部に統一した方が乗り換えが分かりやすくて助かるのだが…。

 

新黒部駅前

▲北陸新幹線黒部宇奈月温泉からの乗換駅・富山地方鉄道新黒部

 

 新黒部の駅前広場には黒部峡谷鉄道の電気機関車ED8と客車2両(ハフ26、27)が保存展示されている。急カーブに対応した短い列車や、車体の割に大きな動輪の機関車が急勾配の黒部峡谷鉄道を物語っている。

黒部渓谷鉄道機関車と列車

▲新黒部駅の駅前広場に展示されている黒部峡谷鉄道の機関車・列車

…帰りに撮影したもので、後方が北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅

 

 新黒部駅前広場と道路を挟んだ北側に北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅の東口があり、バス・タクシー専用ロータリーと広い駅前広場も前にある。

黒部宇奈月温泉東口

▲黒部宇奈月温泉駅東口駅前…午後撮影

 

 新黒部駅は日中のみ窓口に駅員(販売員)がいる。別々に買うよりも80円お得な新黒部ー宇奈月温泉間の往復割引きっぷ(1,200円)を窓口で買い、1線だけの棒線ホームに入る。外国人観光客を含めて30~40人ぐらいの人が宇奈月温泉行の電車を待つ。

新黒部駅宇奈月温泉方面

▲新黒部駅の宇奈月温泉方向…隣の舌山駅までわずか0.3キロ。

 

 北陸自動車道と北陸新幹線の高架下を抜けて2両編成の普通宇奈月温泉行が電鉄富山駅からやってきた。大勢がカメラやスマホを電車に向けるので、こちらはカメラだけ前に出して撮った。20人ぐらいが降り、電車を待っていた大勢が乗り込んだ。空席がかなりあったので、全員が座れた。

新黒部駅宇奈月温泉行入線

▲大勢の乗客が待つ新黒部駅に入線する宇奈月温泉行

 

 ほぼ満席で電車は黒部川の扇状地を進み、時々地元の方が1人降りていくという感じだ。周囲の景色は農地と住宅地の混じり合った平野部と後方の山並みが印象に残る。愛本駅付近から平野部は狭くなっていき、上りが続くのを実感する。

 やがて左手に黒部川が見え隠れして、両側の山も近くなってくる。緩やかな谷筋を南に進み、トンネルを抜けると間もなく、建物が集まる宇奈月温泉街になって終点の宇奈月温泉到着(9:35着)だ。

 ここでまた駅名の違う黒部峡谷鉄道の宇奈月駅に乗り換えのため移動。黒部峡谷鉄道は全席自由席なので、ここでの乗り換え時間には余裕をとっている。今回の旅の日程は黒部峡谷鉄道のリラックス席の予約が取れたこの時間に合わせて計画したもので、本当は旅の初日に来たかったが予約が取れなくて4日目にずれ込んだ経緯がある。

 宇奈月温泉の駅舎を出て、富山地鉄の線路が行き止まりになる方向、道路を左に進む。富山地鉄を降りた乗客や宇奈月温泉に宿泊している観光客で駅前の商店街はそこそこ賑わっている。平日の午前中なのでお年寄りと海外からの観光客が中心なのは他と同じだ。

 宇奈月温泉駅と宇奈月駅の駅舎間は200m余り。両駅を結ぶ道路からは、1面2線の宇奈月温泉駅の向こうに黒部峡谷鉄道のホームや車両が見える。また、道路脇には自由に浸かれる足湯もあり、温泉地の良さが味わえる。

宇奈月温泉駅

▲富山地鉄の宇奈月温泉駅…右側に黒部峡谷鉄道の車庫がある

 

 もう少し歩くと、先ほどの足湯、富山地鉄のホーム、黒部峡谷鉄道のホームと車庫が同じ視界に入る。峡谷鉄道の宇奈月駅には全車両オープンタイプのトロッコ列車7両編成が発車待ちの状態だ。

宇奈月温泉駅と宇奈月駅

▲ホームに突き出る形で設けられた足湯と隣の黒部峡谷鉄道

…写真は黒部峡谷鉄道の予約きっぷ交換後に戻って撮影

 

 黒部峡谷鉄道の駅舎に入ると凄い改札待ちの行列。次の出発列車が吹き抜けのオープントロッコ列車のみの編成という事で回避した列車。みな、黒部川側の良席を確保しようと並んでいる。自分は腰痛持ちでもあるので530円のリラックス車両(背もたれありで開閉式の窓がある)のついている次の列車を予約しているが、車両指定の自由席なので早めに並んだ方がよさそうだ。

 駅舎の前の広場は主として観光バス用の駐車場みたいで、ちょうど到着したバスで5、6台目だった。駅舎の先に行くと、線路の上に出た見晴らしのいいところがあったので行ってみた。奥までは入れないが、手前は観光客が何にもいて景色を眺めていた。本当はやまびこ展望台というのが駐車場の先にあるのだが、そこまで下調べをしていなかった。

黒部渓谷鉄道宇奈月駅駅舎

▲黒部峡谷鉄道宇奈月駅駅舎

 

黒部渓谷鉄道黒薙方面

▲黒部峡谷鉄道の欅平方向

 

 黒部川に架かる2つのアーチブリッジが見える。手前が元々峡谷鉄道が走っていた山彦橋で、今はやまびこ遊歩道の一部になっている。奥が今使われている峡谷鉄道の新山彦橋だ。黒部川の水は一昨日から昨日にかけての雨のせいか、やや濁っている。

 また、正面には黒部川に合流する弥太蔵谷が見え、そこにも橋が架かっている。

山彦橋と新山彦橋

▲黒部川に架かる山彦橋(手前)と新山彦橋

 

 その後、宇奈月温泉駅まで1往復してから宇奈月駅の駅舎に戻った。改札口に並んでいるうちに駅員さんとの話で、前日にタモリが来たと知る。「ブラタモリ」の収録だった。「ブラタモリ」、今月で終了だそうだが、収録日と1日違いと知ったらなんか惜しい。

 

 黒部峡谷鉄道は元々黒部川の電源開発の資材運搬用に作られた鉄道で、急斜面の谷を削ったり、トンネルを掘ったりして土地を確保している関係で762mmという特殊な線路幅の鉄道になっている。この鉄道を引き継いだ関西電力が1953年から旅客営業も初めて、その後1971年に完全子会社の黒部峡谷鉄道に施設や事業を移して現在に至る。

 単線電化で客扱いをする駅は宇奈月、黒薙、鐘釣、欅平の4駅しかないが、途中に信号所のように上下列車が行き違いできる駅が他に6駅ある。

 線路は急カーブと最大斜度50‰の急勾配で、宇奈月-欅平間20.1キロ(片道運賃1,980円)を1時間20分ほどで運行している。2024年本年から欅平から黒四ダムに抜ける黒部宇奈月キャニオンルートが新たに開放される予定だが、正月の能登半島地震で鐘釣橋が落石により被災して、今シーズンの運行は今のところ未定だ。

 例年だと4月下旬から11月までが運行シーズンで、最初は宇奈月-笹平間で運行を始め、つづいて宇奈月-鐘釣間に区間が延びて、ゴールデンウイーク明けに欅平までの全区間運行となる。なお、鐘釣橋は鐘釣駅の手前にある。

 

 時間になり改札が始まる。いい席を取ろうと駅舎からホームに走る人もいる中、こちらはせいぜい早歩きだ。重連の電気機関車の後ろにオープンのトロッコ車両が7両、その後ろに窓のあるリラックス車両が6両の13両編成。黒部峡谷鉄道の基本編成だ。

 後ろの方なので歩く距離が長いが、何とか希望の右側窓際を確保できた。安心して荷物を置き、写真を撮りに列車から出たが、安心するのが早かった。

 

宇奈月駅車庫

▲機関車や貨車、列車が見える宇奈月駅車庫

 

宇奈月駅②番線黒薙方面

▲宇奈月駅の②番線ホーム…奥が欅平方向

 

宇奈月駅①番線重連機関車

▲これから出発する①番線重連機関車とオープン客車

 

 席に戻ったら自分の席が窓の開かない席で驚く。反対側の窓際席が一つ空いていたので、自分の取った席は本来座る席ではなかったのかもしれない。何はともあれ、早めに黒部川が見やすい右側席を確保したつもりが早とちりだった。まあ、車中終わりの方は黒部川が左側になるのでそこに期待するしかない。

 

 以下つづく。