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photo by 碇由香

 

12月2日に「オーガニックシティ」を掲げてまちづくりを進めている千葉県木更津市に行ってきました!

 

正直に言いますとね、元々 木更津市がそんな素敵なことをしてるなんて全然知らなかったんです。だけど、自分が「オーガニックシティを目指すぞ!」と決めて“オーガニックシティプロジェクト西宮”を起ち上げてから、「ひょっとしたらもうすでにオーガニックシティってあるかもしれんな…」と思って調べてみたらやっぱりあるではないですか!それが木更津市だったんです。そんなもん行かないわけにはいかないじゃないですか。先輩の取り組みを見に行かないと。ということで、行ってまいりました。

(ちなみにひぐち調べでは、“オーガニックシティ”として銘打ってやっているのは日本全国で木更津市だけだと思います)

 

自宅から4時間半ほどかけて木更津市に到着。

 

 

ふむ。。

駅は思ったよりも小さい。駅前は昭和感が漂っている。そして裏手の商店街はさびれている。一体オーガニックはどこに!?駅周辺の雰囲気からはまったくオーガニック感を見いだせないまま、木更津市役所に突入し、“オーガニックシティ推進課”を訪ねていった。

 

昭和感漂う駅前ビルの中に市役所駅前庁舎が。ひょっとすると空きスペースを有効活用しようとする魂胆か?!

 

 

到着すると、担当課の林さんがオーガニックシティの基本事項を丁寧に説明してくれた。

 

木更津市では、なんと2016年に「オーガニックなまちづくり条例」(正式には「木更津市 人と自然が調和した持続可能なまちづくりの推進に関する条例」)を施行している。早い!先駆的!今ほど“オーガニック”という言葉が浸透していない時期に、どのようにしてそのような条例を制定するに至ったのか…、その背景を尋ねてみると、市長のトップダウンということだった。やっぱりすごいな市長の力は(内心、“議会からの働きかけがあって…”という回答を期待していたのだがね‼)。どうやら現・渡辺市長が就任時に、まちづくりの方向性が“都市化”一辺倒だったことに危惧を抱いたらしい。横浜に追い付け‼みたいな。しかし渡辺市長は“都市化”に未来はないことを悟っており、今ある資源でどうにかならないかと考えたらしい。そして有機的なつながりを生かす“オーガニック”という考えに至ったのだ。まちを“発展”させていくのではなく、“成熟”させていく。何か新しいものを付け加えるのではなく、すでにあるものを最大限に生かしていく―。

 

オーガニックシティきさらづのホームページには次のような言葉が記されている。

 

未来のためのまちづくりをはじめよう。
私たちがめざすのは、人と自然が調和した
持続可能なオーガニックシティ。
オーガニックは「生かす」こと。

 

生かそう。自然を、資源を。
生かそう。地域を、社会を。
生かそう。知恵を、伝統を。
生かそう。自分を、個性を。

 

生かすことで、自立し、つながり、循環がうまれる。
未来のために、できることからはじめよう。
人と地域の関係をアップデートしよう。
このまちに関わる一人ひとりが、
これから起こる変化の当事者になるために。

 

生かそう

木更津は、ORGANIC CITYへ。

 

 

めちゃくちゃかっこええやないかい。

パクってもいいですか?

 

さて、条例を制定したはいいものの、いかんせんまだまだ“オーガニック”という概念自体が浸透していない時である。市民の理解を得るのには相当なハードルがあったと思われる。そこはどのようにして乗り越えていったのか?

 

林 「たとえば農業分野でいうと、小さな実績をつくるところから始めました。当時は有機農家さんなんてほとんどいませんでしたので、市がバックアップするという前提で、有機農家にチャレンジしてみたいという農家さんを募りました。そしたら5人の方の手が挙がりました。そこからのスタートです。その5人の方の成功事例をつくって、徐々に理解してもらっていったという感じですね。面積的に言うと、1.8haからのスタートだったんですが、今は20haまで拡大しています。学校給食への有機米提供は2019年から本格的に取り組み始め、ほぼゼロからのスタートで、今はだいたい半分ほど(約100日分)提供できており、3年後には全量提供(約200日分)できる見込みができています」

 

み 「すごいですね!具体的に農家さんたちにはどのような支援をされているんですか?」

 

林 「いろいろメニューがあるんですが、研修は結構力を入れてやっています。また、お米1俵あたりの単価も慣行農家さんの倍の価格(約2万円)で買い取っています。あと有機JAS認証の支援などもしています」

 

み 「なるほど!2倍で買い取ってくれるとなったら農家さんもやってみようかなってなりますよね」

 

林 「そうですね。それでも決して高いとは言えないのですが…。通常のお米が安すぎるだけであって…」

 

み 「そうか。そこは抜本的な改革が必要ですね。ところで一般の市民の方たちにも“オーガニック”の啓発をしていたりするんですか?」

 

林 「はい。毎年11月3日に、“オーガニックシティフェスティバル”というお祭りをやっています。このイベントにはかなり力を入れていて、今年は2万人ほどの来場がありました」

 

(画像はホームページより借用)

 

み 「2万人!すごい!木更津市の人口は14万人くらいだから、だいたい7人に1人は参加してる計算になりますね!」

 

林 「まあ市民だけじゃなく、全国から来てくれているみたいなので何とも言えませんが、このお祭りを通じて“オーガニック”という概念が浸透してきているのは間違いないと思います」

 

み 「いやー、僕も来たかったなぁ。もう少し早く知っていれば…。何か今後の展開とか考えていることがあったりしますか?」

 

林 「そうですね。今はまだその日だけの楽しいイベントといった感じで“点”で終わってしまっているのですが、これからはそれを“線”にして、日常でも生かしていけるような仕掛けを考えていきたいと思っています」

 

(竹の間伐材を使ったジャングルジム)

 

み 「いやー、ほんと素敵ですね。西宮でもやりたいなぁ…」

 

林 「ぜひぜひ。じゃあそろそろベアーズさんのところへ行きましょうか」

 

 

ベアーズさんとは、有機食品店であり、木更津市のオーガニックなまちづくりを牽引している第一人者である。オーガニックシティフェスティバルはベアーズさんが中心となって動かしているし、渡辺市長が“オーガニックシティ構想”を打ち上げたときに裏で影響を与えていたのがベアーズさんなのである。つまり、ベアーズさんがなければ「オーガニックシティ木更津」は誕生していなかったかもしれないほどの超重要拠点なのである。

 

ということで、林さんの案内でベアーズさんのお店に訪問させていただいた。

 

 

ベアーズの林利江さん(オーガニックシティ木更津の中心人物)

 

 

なんと自分のところでビールまで作ってしまっているベアーズさん!すごい!

まず、ベアーズさん(利江さん)の取り組みを聞いてみた。

 

利 「うちは元々普通の酒屋だったんですよ。安売りの。でも20年くらい前かな。常連のお客さんがだんだん来なくなってね。なんでかと思ったら、みんな身体を壊してしまっていた。自分たちが提供している物で身体を壊しているとしたらこれはいかんと思って、それから一気にオーガニックな商品に変えました」

 

み 「一気にですか?」

 

利 「はい、一気に。だけど、オーガニックは儲からないね(笑)」

 

み 「そうなんですか?」

 

利 「うちは調味料とかも扱ってるんだけど、調味料って1~2ヶ月くらい普通にもつじゃん。回転が悪いのよ(笑)」

 

み 「そかそか、言われてみれば確かに。それでどうやってここまで続けてこれたんですか?」

 

利 「まあ、なんとかしたよね(笑)味噌づくりのイベントをしたりして、ファンを作って。そこで食の啓発なんかも結構してる」

 

み 「そうなんですね。僕だったら儲からないとわかった時点ですぐに挫けてしまいそうなもんですけど、貫き通しておられるのが本当にすごいです。ところで、市が“オーガニックシティ”を打ち出した影響は何か感じておられますか?」

 

利 「市の影響はすごいよやっぱり。市民の意識もかなり変わってきてると思う。オーガニックシティフェスティバルは元々私たちが独自でやってたんだけど、市が協力してくれたことによって、一気に大きくなったしね。やっぱり市長が変わって、木更津が一気に変わったね」

 

 

なるほど…。やはり市が方向性を示すことは重要だな。しかし西宮市も「環境学習都市」という宣言を出しているが、残念ながら機能しているとは言い難い。このように宣言等はあるけど中身が伴っていないというケースが結構見受けられる中、木更津市はしっかりと実行しているのがすごい。そしてその背景に、ベアーズの林利江さんの地道で粘り強い行動があったのだということを知ると、なんだか泣けてきた。市の方針ももちろん重要。だけど、それを形作っていくのは、我々ひとり一人の行動なのだ。

 


ベアーズさんの後は、同様に木更津のオーガニックな取り組みを牽引している「舵輪」さんというオーガニックレストランに行った。ここでも「市がオーガニックの方向性を打ち出した影響は大きい」という話を聞かせてもらった。







最後はオーガニックシティフェスティバルの会場となった公園へ。“ここに2万人も集まったのかぁ”と感慨にふける。


 

 木更津には1日しかいなかったので、オーガニックの拠点をすべて回りきることはできなかったが、十分堪能させていただいた。


ありがとうございました、木更津のみなさん。


西宮市でもオーガニックのうねりを起こしていきたいと思います。まずは自らの手で。




 

 

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【ひぐち光冬(オーガニックシティプロジェクト西宮)のイベントスケジュール】
※申込み先の記載がないイベントに関しては、mitsufuyu214@gmail.comまでご連絡ください。

 

2023年1月7日(土)10時~12時、14時~16時(2部制)

『おだやかな革命』上映会

@西宮市民会館301会議室

詳細&お申込

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1月22日(日)14時~16時

『減速して自由に生きる:ダウンシフターズ』著者 髙坂勝さんお話会

@塩瀬公民館

 

2月11日(土)

久本和明さんお話会

詳細未定