入学式の日、さっきまでポケットに入っていたのに、いつの間にか消えていたらしい。
学校中探して、学生課にも落し物が届いていないか何度も聞きに行って、警察にも紛失届けを出したけど、見つからなかった。
フランス時代は、友達とつるんでサッカーしていたら、強面のおじさんにスマフォを出しなと恐喝された経験もあるルカリュス。(当時13才くらいだったと思う。)
そのときは機転を利かせて、友達の一人がスマフォを差し出している間に、こっそり土に埋めて、自分はスマフォを持ってないと言って見逃してもらったらしいです。
パリの繁華街のカフェなんかで、テーブルに最新のiPhoneなんか置きっ放しでおしゃべりに夢中になっていると、ロマ人の子供たちに一瞬で持って行かれてしまうので、貴重品管理は平和な日本で育った若者よりはできているはずだったのだけど。
日本の高校時代、何度も電車に体操服を忘れ、定期を落とし、それでもすぐに紛失係りの人から連絡が来て、その度に日本ってなんて素晴らしい国なんだろう。フランスで落し物が見つかる事はまずあり得ない。日本ってすごい!と、気の抜けた生活になっていたのだと思う。
10日ほど待ってみたけれど、学生課にも警察にも届いていなかったので、甘いとは思いつつ、入学早々スマフォがないとクラスのLINEとかに参加できなくて友達を作る機会を逃してしまうかもと新しいiPhoneを買ってあげました。
もちろん出世払いということで。
そしてすっかりそのことを忘れて、ポルトガルのビーチでのんびりバカンスを過ごしていると、紛失したiPhoneが警察に届いていると実家の母から連絡があったのです。
ルカリュスが取りに行くと、スクリーンに傷が付いているわけでもなく、落としたままの状態だったそうです。
誰がいつ届けてくれたのか、ルカリュスに聞いてみたけれど、警察でただ受け取ってきただけで、詳細は何も聞いてこなかったらしい。
ああやっぱり日本はまだまだ安泰だ。
フランスで失くしたiPhoneが警察に届けられていることは滅多にない。
失くすというより盗まれて、即座に初期化されて闇で売買されていく。
ルカリュスがフランスのコレージュ時代に出会った子供たちを恐喝してスマフォを集めている人たちも、まとめてフランス国外に送って売りさばいているグループの一員だったようです。