つい先日、明るい日差しと爽やかな空気の中、母と駅前まで買い物に行った。
途中で歩道の脇の植込みにとても小さいけれど薄紫の花を咲かせた雑草が風にそよいでいるのを見つけた。
母は「これなんだろうね」と言って、一本抜いた。
しばらく歩いてから「一本じゃ寂しいから、もう少しもらっちゃおうかな」と全部で5本摘んで、そのまま商店街へ向かって歩いていった。
商店街の入口にあるミスタードーナツに通りかかった。
「たまにはドーナツ食べたいね」
母と意見が合って、二人でお店に入った。
まだ午前中の早い時間だったので、店の中は空いていた。
あれもいい、これもいい、と2人でゆっくりドーナツを選んだ。
レジで会計を待っている間に、ふと母が手にしていたさっきの雑草を見ると、もう先の方がクタッと萎れてすっかりお辞儀をしてしまっていた。
「あぁ、摘んだばっかりなのにもう萎れちゃったね」
「あらぁ、早かったわね」
支払いを済ませると、レジのお姉さんが言った。
「あの、ナフキンを水に濡らして持って来ましょうか?」
「え?」
あまりに思いがけない言葉だったので、私はお姉さんが何を言っているのか解らなかった。
お姉さんは私と母の会話を聞いていて、萎れた雑草を水で濡らしたナフキンで包んで行ったらどうでしょうと申し出てくれたのだった。
どこから見てもただの雑草にしか見えないものにそんなに親切な事を言って下さったことに驚いてしまったこともあり、またドーナツ屋さんでそんなことまでしてもらっては申し訳ないと思い、折角のお申し出は「大丈夫です」と冴えない言葉でご辞退したが、お礼を言って店を出てきた。
こんな優しい方もいらっしゃるってビックリしませんか?
本当にありがとう。
今日の一句 「雑草が 取り持つ縁に 花が咲く」



