昨年の5月の終わり頃、妖怪のような形相の猫を見つけました。

捕獲器をかけるも全く入らず、

近隣にチラシをまき、何日かかけて聞き込みをし、

間も無く近くの餌やりさんに手で捕まえていただきました。

 

病院に連れて行くと、疥癬は重症化しており、

もしかすると他の病気もあるかもしれない、と獣医さんに言われました。

とりあえずレボリューションをつけていただき、

血液検査は後日行うことにして、連れて帰りました。

 

疥癬を引き起こすヒゼンダニは、他の猫にもうつってしまうものなので、

家に入れられない為、玄関先のケージで面倒をみることにしました。

 

相当飢えていたのか、AD缶とカリカリをもりもり食べてくれます。

いっぱい食べて、体力を取り戻し、1ヶ月もすれば、

妖怪みたいな形相も、もとの猫らしい顔に戻るでしょう。

猫の顔に戻ってから、写真を沢山撮って、

その写真を持って、聞き込みでお世話になった方達に、お礼をしに行こう。

 

しかし一週間もしないうち、疥癬猫はゴハンを食べなくなりました。

ケージを開くと、ふらふらの歩みで外に出て、

転びながらもヨロヨロと何処かへ行こうとしていました。

いま思えば、死に場所を探していたのかもしれません…

 

鳴き声にも力がなくなり、その夜はとても寒かったので、

ダンボールに柔らかい布を敷き詰めて疥癬猫を入れ、

ベランダで一緒に寝ることにしました。

いつもは他の猫たちのために、使い捨ての手袋をしてお世話をしていましたが、

その夜は、手袋をせず直に疥癬猫の体に手を当てて、ダンボールの横で休みました。

 

うとうと眠ってしまったのですが、夜明け前

手をぎゅっと強い力で抱きしめられた感覚があって、それを私は

元気になってくれたんだ…と思い込み、そのまま再び眠りに落ちてしまいました。

 

少し明るくなってから起きてみると、

前脚を胸の前で十字に組んだ姿で、疥癬猫はもう息をしていませんでした。

その朝は、

永遠に眠ってしまった疥癬猫の周りを飾る分だけのバラが、

庭に咲いていました。

私の好きな青いヤマアジサイも一緒に摘んで、

火葬場へ向かいました。

 

火葬場では、飼い主が書く書類があって、

受付の方に、猫ちゃんの名前を書く様に言われましたが、

名前を付けるまも無いままに旅立たれてしまったので、

ありません、とお伝えしましたが、

それでも何かしら書く様に言われ、

アジサイちゃん、と書きました。

 

あまりに痩せ細っていたので、実は性別もわからないままでした。

 

アジサイちゃんと、最期の2週間だけ暮らすことができましたが、

残っているのは、後悔ばかりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野良猫の不妊手術について、いろんな意見があります。

手術をして地域猫として管理するやり方は、餌やりを擁護するだけで意味がない、

TNRをしたところで野良猫は減らない、効果がないと実証済み、

などの否定的な意見が多いと思っていたら、

手術して野良猫がいなくなっては困る、耳カットは可哀想、

猫が交通事故や病気で淘汰されても繁殖を防ぐべきではない、

という、猫の立場にたった優しいご意見もありました。

 

確かに、子猫はトンビやハクビシンなどの大切な餌でもありますから、

他の動物の立場からしたら、TNRは困りものです。

 

しかし、目の前に、淘汰されても仕方のない子猫たちを差し出されたら、

その優しい人はどうするのかな…

優しい心の方だから、何とかして助けてくれるに違いない。

でもそれが、毎日、ひっきりなしに差し出され続けたら、

どうするのだろう…

『きっと全部、助けてくれるにゃ!』

 

動物の保護施設を運営する方や、個人で保護をしている人たちは、

日々、いろんな所から、捨て猫や子猫がいると連絡を受け、

時間を割いて駆けつけて、

助けられなかった時には自分を責め、

また助けることができたとしても怪我や病気のケアで悩み、

小さい命を守りたい一心で、時間も労力も、身を削って捧げています。

そういう人たちの立場からすれば、TNRのお陰で野良猫が減ったら、

施設や個人の多頭飼育崩壊危機を免れることができるかもしれません。

 

『多頭飼いは、オレも嫌いだにゃ』

 

TNRは、野良猫を減らす効果がないのか、はたまた野良猫の大量虐殺なのか、

私にはよくわかりません。

それでもやっぱり、目の前に野良猫被害がある限り、

TNR、させていただきますねm(_ _)m

 

『朕は許すにょ』

2年ほど前のこと。

体にピンク色のペンキを塗られた野良猫がいる、と

連絡を受け、餌やりのご老人にお話を聞きに行きました。

見に行ってみると、長毛の白い猫の体は一部ピンク色に染まっていて、

何かしらの液体をかけられた様な状態でした。

餌やりのご老人にはなれていたので、捕まえていただき、

動物病院にて緊急で診ていただくことにしました。

連絡をくれた方からは、近隣で苦情になっていた野良猫なので、

虐待されたに違いない、と聞いていましたが、

病院で診ていただくと、ひどい口内炎をおこしており、

口の中の血がグルーミング時身体に付着しただけだったことがわかりました。

餌やりのご老人は、昼間は家に入れてはいたものの、

家の中で排泄をされては困るので、どんなに寒くても

夜になると外に出していたとのことでした。

 

白猫の健康状態はすこぶる悪く、

また、外に出すことで蚤の駆除が完全にできないため、

ご老人の生活環境にも悪い影響が及んでしまいます。

もしもこの猫ちゃんを本気で助けたいと思うのであれば、

家にケージを置いてその中で面倒を見ていただけないか、

とお願いしてみました。

ご老人は、もともと亡くなったご主人が面倒を見ていた野良猫で、

猫の飼い方もわからない、と、最初は躊躇されていましたが、

ケージをお貸しして、トイレの掃除や餌の調達もお手伝いするという条件で、

おうちに入れていただけることになりました

左後ろ脚側にハートマークがあります。

ご老人にはすっかり懐いていて、とても可愛いい子です。

既に、五年程前TNRで去勢済とのことで、

人馴れしていない三毛の妹も一緒に家へ入ってくるのですが、

ずっと家具の裏側などに隠れていて、白猫兄が外に出されるのと一緒に、

自ら外に出て行くとのことでした。

 

その後、ご老人が大きめの二階建てケージを購入してくださり、

白猫と妹の三毛を一緒にケージにて面倒を見てくださることとなりました。¥

白猫ちゃんの体調は、良くなることも、

これ以上悪くなることもありませんでしたが、

ごはんをよく食べ、暴れたりもせずに、兄妹仲良くケージ暮らしを

一年ほど頑張ってくれていました。

 

去年の夏、徐々に食欲が落ち、みるみる弱ってしまい、

ごはんを食べなくなって三日後、

ご老人にお礼を言う様にして、亡くなってしまったそうです。

ご老人から白ちゃんを引き取り、

うちに咲いていた紫陽花を敷きつめて、

火葬場へ連れて行った日、

ラジオから吉本興業の闇営業のニュースが聞こえていたのを覚えています。

 

白猫ちゃんの妹三毛猫ちゃんは、その後何度も体調を崩し、

病院に連れて行こうか行くまいか悩んだ事もありましたが、

毎回何とか持ちこたえ、今でも二階建てケージで暮らしています。

写真だとキジ白に見えますが、三毛ちゃんです。

白猫兄が亡くなってからは、ご老人にもすっかり懐き、

またケージから外に出ようとせず、落ち着いています。

今はご老人の存在に助けられ、普通の猫の飼い方とはほんの少し違うけど、

三毛猫ちゃんとご老人独自の支え合い方をして、

毎日を大切に生きています。

 

色々な猫の飼い方があるけれど、支え合う姿は相手が猫でも人間でも、

心温まり、美しいものだと感じました。