首や体にぐるぐる巻かれたプラスチックチェーンを引きずりながら逃げていた黒白猫を保護して、約4年。

あれから色々ありました。


現在、チェーンくくられ猫のサモハンくんは、ベランダをひとりじめにして暮らしています。

今年の夏があまりに暑かったので、4年間掃除が出来なかったケージを撤去し、ベランダ全体を彼の住まいにすることとしました。




まだ触らせてはもらえませんが、辺りに響き渡る大きい夜泣きも随分と治り、私がベランダに出ても、すぐには逃げずに様子を伺うゆとりが出てきたようです。

少しずつではありますが、表情も緩んできたような気がしています。


ケージから出し動き回る姿を見てわかったのは、手術で短くなった尻尾を、サモハンは動かすことができないことでした。

保護当時、一部骨が剥き出しだったしっぽの先を切り落とす手術をしていますが、思い返せば、ケージの中でもしっぽを動かしているところを見たことがありません。

いくらお世話をしても全然心を開いてくれない、と感じてしまっていたのは、サモハンが尻尾を全く動かさなかったためなのだと気が付きました。

猫たちの尻尾の動きで感情を推測していたので、尻尾が動かせないサモハンを、無感情な猫と決めつけてしまったのです。ごめんなさい。




今サモハンは、尻尾こそ立てることはありませんが、食事を楽しみ、飛んでくる虫を捕まえ、時には迷い込んだヒヨドリの子どもを野生動物さながらに食し、安全な場所から下の草むらで騒ぐコジュケイやタヌキを眺め、それなりに日々を謳歌してくれているように見受けられます。

サモハンの気持ちの本当のところはわかりませんが、少しは幸せと感じてくれていたら、嬉しいです。