一冊一冊、本の感想を書くのが面倒になってしまう一方で、
読了本だけは溜まっていくので、苦肉の策。

”先月の読了本”と題して、まとめて記事にしちゃいます。

(”先月の読了本”と”今月の挫折本”で、1ヶ月に2日しか記事がない・・・
 他に何書こう?! ・・・・・・只今、考え中です)

ではでは、ずらずらとまとめて・・・

大谷 光真
朝には紅顔ありて

浄土真宗本願寺派ご門主の著書。
構成が素晴しく、読み勧めていくと最後には、自分が自然や地球とつながっているんだという大きな大きな気持ちが味わえます。
星 新一, 和田 誠
星新一ちょっと長めのショートショート〈3〉悪魔のささやき

どれも不思議な設定で、ぐいぐい読めます。
読後は、ぞっとしたり、くすっと笑えたり。
ショートショートなので、厳選された言葉と、凝縮された物語の運びには、やっぱり星新一はスゴイと思わされます。
玄侑 宗久, 岸本 葉子
わたしを超えて-いのちの往復書簡

再読。
お坊さんである玄侑さんと、ガン体験者である岸本さんがお手紙を交わします。
からだ、こころ、病、死。お二人の手紙を読みながら、命について考えさせられます。
ちなみに、手紙の書き方も勉強になったりします。
Eugen Herrigel, 柴田 治三郎, オイゲン ヘリゲル
日本の弓術

↑の『わたしを超えて』で、お二人の手紙の中に出てきて、興味深かったので読んでみました。
非常に難解な部分(訳のせいかな?)もあって苦戦しました。
ドイツ人哲学者へリゲルさんが、日本で5年間、弓道に体当たり。非常に苦労しながらも、最後には日本の文化、非合理的・直観的な思考を体得します。
後記などを読むと、さらに内容が深く理解できて、素晴しい本なのだと実感。
マイケル・J・フォックス, 入江 真佐子
ラッキーマン

30歳の若さでパーキンソン病を患ったマイケル・J・フォックスの本。
とても知的でユーモアのある人、なおかつ自らのことをここまで赤裸々に綴れることに驚き、尊敬しました。
後半には涙もこぼれましたが、彼はそれをユーモアと希望と強さに変えてくれます。
本当に、ありきたりな言葉でしか表現できませんが、大感動しました。


と、先月はこんな感じでした。
今月は、あんまり本が読めてません・・・。

このブログ、存続の危機かも・・・。
更新もままならないまま、4月も終わりを迎えようとしています。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

私はと言えば、本もゆるゆると読んではいるものの、
正直、一冊一冊感想を書く気が起きなくて・・・こちらの方はずるずると今にいたっております。

まとめて読了本だけ記事にしようかな、とか、今いろいろ考えている最中です。

というわけで。

毎月末、恒例の挫折本です。

今月は、後半あたりから本を読む気もしなくなって、挫折本が2冊出ました。

まず一冊目ぇ~。

ドロシー ギルマン, Dorothy Gilman, 柳沢 由実子
一人で生きる勇気

平凡な生活を送っていた63歳の女性が、スパイに志願する『おばちゃまシリーズ』の作者の自伝的エッセイ。

本当は『おばちゃまシリーズ』第一巻を読みたかったのだけれど、図書館になかったので。

最後まで読めば、たぶん感動するであろう書。
だけど、読む気がしなくて、半分も読まずに挫折・・・。


そして、2冊目。

梅田 卓夫, 清水 良典, 服部 左右一, 松川 由博
高校生のための文章読本

本当にいろんな方たちの文章がまとまっている一冊。

お名前は存じ上げているものの、敷居が高そうで今まで触れたことのない作家の方たちの文章の一部を読むことができるので、勉強になるし、お得です。

だけど、ちょっぴり教科書っぽい匂いがする・・・。

掲載された文章も、ちょっぴり暗かったり硬かったりが多めで、

やっぱり教師が生徒に読ませたい文章、という感じです。

しかも、あまりグッとくる文章に出逢えなかった・・・。

って、私がはじめの十数ページしか読んでないからかも・・・。


と、今月はこんな感じでした。

みづゑ編集部
ディック・ブルーナさんの絵本のつくりかた―ミッフィーはどうやって生まれたの?

はぁ~ドキドキ

ディック・ブルーナさんが、ミッフィーの絵本をどうやって作っているのか、
その制作過程と、

ブルーナさんが今までどんな仕事をしてきたのか、
ブルーナさんが生まれた街、オランダ・ユトレヒトの街案内などなど、

写真やインタビューで詰まった一冊。

特に目を引いたのが、

ミッフィーの50回目のお誕生日を記念して、
日本のクリエイターたちがミッフィーをテーマにした作品づくりに挑戦したページ。

切っても切ってもミッフィーが出てくる金太郎飴ッ!(夢のよう!!)に

ミッフィーの顔の形のクッキーがいっぱいついた
三段のバースデイ・ケーキッ!(すんごいキュート!!)

しかも、一段目が黄色で、二段目が青、三段目が赤と
ブルーナカラーになってます。

欲し~~ッ! と思ったけれど、これらは非売品。
でも、あまりにかわいくって、何度も何度もページを眺めてしまいました。

そして、この本では、ブルーナさんの制作過程も見所。

ミッフィーの黒い輪郭線、よーく見てみてください。

かすかにふるえているでしょう?

これは一気に線を描くんじゃなくって、点をひとつひとつ重ねるように線を描いているから。

1シーンを描くために、100枚以上スケッチしたり、
にんじんひとつにしたって、葉っぱは何枚がもっともらしく見えるか、どの大きさがいいのか・・・

シンプルを追求するブルーナさんは、
芸術家でもあり、職人でもあると思いました。

そして、その人柄も素敵。
笑顔なんて本当に優しくて、温かです。

ページをめくるだけで、温かで安心できて、
ミッフィーも、ブルーナさんも、そしてオランダの街も大好きになる一冊です。
オスカー・ワイルド, 建石 修志, 曽野 綾子
幸福の王子

大人になって読んでみたら、違った・・・!

子供の頃に、たぶん誰でも一度は読んだり、
おはなしを聞いたことがあるのでは。

私も幼稚園生のときに読んでもらったのを覚えていたのですが

確か「ツバメが王子様の宝石でできた目を、貧しい人にあげる話」だったよなぁ・・・両目がなくなっちゃってかわいそうと思ったもんなぁ・・・くらいのものでした。

今回、改めて読んでみて、ビックリ。

私が子供の頃に読んだ『幸福な王子』と、

原文に忠実な新訳であるこの『幸福の王子』は違いました。

冒頭と結末に市会議員が出てくる(私が読んだものには出てきませんでした)のですが、
彼が結構、物語において重要人物だったり

結末も私が知っているものより続きがあったりしました。

そして、私が子供の頃に持った印象や感情よりも

より深く、より痛く、『幸福の王子』の物語は胸に響きました。

曽野 綾子さんのあとがきも素晴しく、

平和や愛を達成すること、そしてその対価について、深く考えさせられます。

そのあとがきの中にも書かれていますが、

原作者のオスカー・ワイルドは『幸福の王子』を
「子供の心を持った十八歳から八十歳の人たちのためだ」と語っています。

曽野さんはそれを、日本では「八歳から百八歳までの読者」としています。

今回読んでみて思ったのは、確かに『幸福の王子』は大人のためのものだということです。

ただ、大人になってから読むと、
感動して、自分もこうしよう! こういう気持ちでいよう! と思うのではなく

自分を省みて、「私には無理だな」と思ってしまいます・・・。
だから余計に、この物語を読むと胸が痛くなります。

ちなみに、装丁と挿画が、とても上品で高級感があります。
美術館の絵画のような崇高さもあって、物語に合っています。

丁寧に、大切に扱わねばと思う一冊です。

毎月、最終日は挫折本を記事にしている当ブログですが、

悲しいお知らせです(?)

今月は挫折本がありませんでした・・・。

最近は、図書館で無茶借りをしなくなり、

ひと月に読む冊数も減り、なおかつじっくり読むという傾向にあるもので・・・・・・


と、それじゃあ

せっかくご訪問くださった方々に申し訳が立たん! ということで。

更新していなかったときに挫折した本を。

(いわゆる蔵出しでございます)


山田 光敏, 山田 純子
キレイになるリンパドレナージュ

痩せたいなぁ・・・なんかないかぁ・・・運動は続かないしなぁ・・・と

探していて発見。

いわゆる毒素排出マッサージのようなものです。DVD付き。

試しに首周りとおなかをやってみましたが、
血流が良くなるらしくすぐにポカポカ。

しかし!

「いいかも」と思っていた矢先、
突然祖母と暮らすことになり、それどころじゃなくなってしまってそれっきり。

結局、首とおなか1回ずつしかやってない・・・。

でも、今あらためて Amazon のレビューを見てみたら、とても高評価なので
また始めてみようかなぁ~と思いました。

せっかく買って手元にあるんだし、もったいないし・・・。


と、今月はこのへんで。

ホントは他にも蔵出しを思い出したのですが、
今後のことも考えてやめときます(笑)
吉本 隆明
ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ

考え方が広がる。

初めて読んだ吉本隆明さんの本。

今までのイメージでは、非常に難しくて硬いことをおっしゃる方なのかと思っていましたが、

読んでみると、非常に読みやすくわかりやすくて驚きました。

この本の、インパクトのある題名は
たぶん編集者の方が考えたのだと思うけれど、
別に誰も彼も「ひきこもれ!」と勧めているわけではなく、

ひきこもり(がちな性格)だっていいじゃないか。

ひとりの時間は考えを深め、価値を生むんだ、というような

受容と励ましの本。

他にも不登校やいじめ問題などにも触れています。

マスコミなどで流れる情報で、「ひきこもり=よくないこと」というイメージが
一般的に持たれているけれど、
それがすべてなんかではなくて、

こんな風な考え方もできるんだなぁ、こんな見方もできるんだなぁ、と
自分のなかに新たな考え方が加わって、
刺激的でなおかつ風通しが良くなりました。

価値観の多様化と言いながら、実は画一的な見方を強いられているような
世の中でもあると思うので、
こんな風に、個々人の性格や気質を受容して尊重する考え方は重要だなぁと思いました。

もっとこういう声が世間に広がっていけば、子供たちも生きやすくなるだろうに。

ちなみに、装丁は五味太郎さん。
これがまた、本の内容・雰囲気に合っていて、素敵です。


文庫版もあります↓(でも、装丁は絶対↑の方が良いと思う・・・)


吉本 隆明
ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ
アガサ・クリスティ, 高見沢 潤子
ミス・マープルと13の謎

なんでもわかるおばあさん。

2006年1月の挫折本を、読了しました!

といっても、挫折したのは『火曜クラブ』 という本で、児童書。

でも、中身は一緒です。(児童書の方が、収録作品が少ないのですが)



ミス・マープルは、セント・メリー・ミードという村に住んでいるおばあさんです。

平穏無事に生活してきて、

世の中のことなんて知らないだろうと思われているおばあさん。

その、ミス・マープルのうちに
甥の作家や女流画家、元ロンドン警視庁の総監や教区の牧師、弁護士が集まったとき、

自分だけが結末を知っている怪事件の話をして、みんなで推理をしようということになり・・・

中毒死に、不気味な祠で起こった凶器のない殺人、溺死・・・

次から次に話される難事件に、誰もが答えを出せずにいるなか、

ズバリと真相を言い当てたのは、なんとミス・マープルだった!


短編集ですが、ひとつひとつの物語がしっかりしていて、読みごたえがあります。

結末の会話も洒落ていて良いし、

ミス・マープルが必ず、
かつて村であった同じような例を引き合いに出してくるというお決まりもあって、

”推理小説を楽しむ”にはうってつけです。
クーパー エデンズ, Cooper Edens, 角田 光代
もしも空が落ちてきたら朝食に雲をいただきましょう

もし**なら・・・

原題『 If You're Afraid of the Dark, Remember the Night Rainbow 』 は

1979年に刊行されて、多くの賞を受賞し、

100万部以上売れたベストセラーになったそうです。

私は、以前記事にした方(『もしも暗闇がこわかったら夜空に星をくわえましょう』 )がベストセラーなのかと思っていましたが、勘違いしてました・・・。

(『もしも暗闇が~』の記事は→こちら

なんで勘違いしたかというと、『もしも暗闇が~』の方が私は好きだからです!

この絵本も体裁は『もしも暗闇が~』と一緒。

もしも空が落ちてきたら、もしも鍵をなくしてしまったら、もしも電球が切れてしまったら・・・

こんな風にしてみたら? こんな風に考えてみたら?

ということが、ちょっぴりシュールに、ちょっぴり素敵に紹介されていく絵本です。

さらりと読めてしまうけれど、読んでいくうちに

温かい気持ちになって、ふわっと微笑んでしまいます。
超人シェフ倶楽部
一流シェフ100人の調味料

ひと工夫、ふた工夫。

この本を見るまで知らなかったのだけれど、
”超人シェフ倶楽部” なるものがあるらしい。

メンバーはといえば、服部さんに道場さんに神田川さんに陳さん・・・・・・

と、TVなどでお馴染みの方たちがズラッと並んでいます。

その100人のシェフのなかから、9人の超人シェフが
調味料を使った料理レシピを公開しています。

たとえば、お刺身ひとつとったって、

超人シェフは、”フツーのお醤油とワサビ” なんてことはしません。

すったゴマに醤油とみりんを入れて、ペースト状になったものや

リンゴジュースと醤油とゼラチンで、”醤油のヌーべ” なんて、
ふわんとしたもの、

それに、大根おろしに卵黄と醤油を混ぜた ”黄身おろし”なんてのも。

ただじゃ食わせないぜ、という超人シェフたちの工夫が感じられます。

掲載された写真もこれまた良くて、どれもこれもおいしそう。

簡単にできそうなレシピも結構あるので、作ってみたくなります。
クーパー エデンズ, Cooper Edens, 角田 光代
もしも暗闇がこわかったら夜空に星をくわえましょう

なんだか、いい。

この絵本、アメリカでは多くの賞を受賞し、

100万部以上売れて、ベストセラーになったそうです。


※訂正:この絵本ではなくて、もう一冊の方『もしも空が落ちてきたら朝食に雲をいただきましょう』 の方でした。
(『もしも空が~』の記事は→こちら

「ふ~ん、こんな本が・・・なんでだろう?」

と、思って読み始めましたが・・・。


真四角のこの本は、開いてみると、

左のページが、2行ほどの短い文章。

右のページが、絵になっています。


私が好きなのは、たとえばこんなページ。

”あなたの世界がほろほろほどけてしまったならば
しっかりと水平線に結びつけましょう”


右のページは、水平線のところに安全ピンがとまった絵になっています。

他にはこんなのも好き。

”おっきなおっきなタコが あなたを乗せて逃げるというなら
いっそのこと 思いきり運命に流されてみましょう”

”迷子になってしまったのなら
あなたがいるところはどこでも あなたの家だと思いましょう”


他にも素敵なページがいっぱいあります。

クスッと笑えたり、ジンとしたりして、読みすすめていくうちに、

いつのまにかページが終わって、

気がつくと、そこには、なんだかちょっと泣きたいような、感動している自分がいます。

100万部のベストセラーになったワケにも納得。

なんてことはない本のようだけど、不思議な魅力に溢れた、いい本です。