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 みっち子の映画と暮らしメモ

  レンタル映画の感想&どんくさい主婦の生活術


1度目の鑑賞はサイコパスの息子を持った母親の話だと思った
2度目の鑑賞でマザコンこじらせた少年の話なのだと思った
いずれも“なぜ?”と考えずにはいられなかった




少年は残酷な弓を射る [DVD]/東宝
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<あらすじ>
世界を旅して手記を出版していた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)はフランクリン(ジョン・C・ライリー)との間に子供が出来てしまう。キャリアを捨てる事にとまどいながらも母親になるエヴァ
ケヴィンと名付けられた息子は、赤ちゃんの時から母親のエヴァに対してだけ反抗的な態度をとり続ける
そして少年になったケヴィンはとうとう・・・・

イギリス人作家ライオネル・シュライバーのベストセラーを映画化


製作国:イギリス(2011)
監督:リン・ラムジー
出演:ティルダ・スウィントン、ジョン・C・ライリー、エズラ・ミラー
レイティング:PG‐12(残酷描写は間接的です)
112分




お気に入り度 90%
妊婦さんにオススメ度 0%
育児に疲れた時に観たい度 0%

世のパパさんに観てほしいかも





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私はまだまだ2ヶ月もある派!

今年に入ってから家で映画をよく見るようになりました
特に印象に残ったものを今年中にブログにメモしときたいのですが、ぜんぜん進んでません

まだ2カ月あるしちょっとずつでも書こーっと
でもだんだん今年のはじめの方に観た映画の記憶があやふやになってきたよ
『少年は残酷な弓を射る』は先日観たばかりなので記憶はまだしっかりしている・・・ハズ



この映画けっこう前に一度観ていて、心にひっかかっていたんですね
カーチャンになった今、今回は夫も一緒に再鑑賞してみました


子どもが母親追いつめジャンルでは『エスター』が有名ですね(エスターは養母を追いつめるのですが)

エスター [DVD]/ワーナー・ホーム・ビデオ
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『エスター』はグロオッケーな方にはガンガン薦めたい映画です
怖くて面白いからだけではなく、なぜエスターが恐ろしい娘になったのかが明確になるからです
バイオレンス×サスペンス☆後味すっきり☆爽快☆


一方『少年は残酷な弓を射る』はモヤモヤが残るので人には薦めないかも・・・
でも私にとっては忘れられない一本になりました

原題は『We Need to Talk About Kevin』、私たちケヴィンのこと話し合わなくちゃ
観た後モヤるのも作り手の意図なんですよね

物語における日常描写マニアの私ですが、この映画の食事シーンは衝撃的でした。食べ物を使って敵意や悪意を表現するなんて・・・!

<注意>↓からラストまでのネタバレがっつりしてます




現在のエヴァのパートとケヴィンを身ごもるちょっと前からのエヴァの過去とが入り混じってストーリーが進みます
現在パート、エヴァは一人小さな家で暮らしてます。息子のケヴィンは少年院に入ってる様子
過去パートはエヴァの回想とフラッシュバックで描かれます
つまりエヴァの主観でこれまでの経緯を私たちに見せてきます


自由奔放に生きてきたエヴァは妊娠に戸惑いを隠せません
そしてそんな妻の気持ちを汲み取らない夫フランクリン

主婦や母親に向いてない女性もいますよ
エヴァはそんな自分を自覚してますね
心の整理ができてない中はじまる育児がエヴァの主観で描かれます

大変な事もあるけど、赤ちゃんてすごく可愛い

でもケヴィンのお世話は大変な部分のオンパレードです

泣きやまない
懐いてる素振りない
パパが抱っこするとゴキゲン

でもこれって赤ちゃんあるあるのような気がする
もちろん個人差はあるけど、ママ大好きって態度にでるの生後何カ月も経ってからじゃないかな?
あやしても泣きやまなくて夫が抱っこしたら泣きやんだもあるある

ケヴィン幼児時代、反抗的な態度をママにとっていてパパが帰ってくるといい子シーン

嫌いなおかずをテーブルから皿ごと落とし母はムっとする、そんなカーチャンを見て娘もプンっ
怒りとしてる時に夫が帰宅。娘「おとーたーんハート」と夫に駆け寄る。←5日前の我が家ですよ


はじめてこの映画を観た時、私はケヴィンは生まれながらのモンスターだと思ったのですが今見ると、グレーゾーンのような気が


もしかしたらエヴァはマタニティーブルーか育児ノイローゼだったのでは

エヴァのケヴィンへの戸惑いを、異常に鋭い彼は早い段階で感じとってしまったのでは・・・


なかなか言葉を発しないケヴィン(2~3歳くらい?)に対し
“ケヴィンが来るまでママは幸せだった。でも今は朝起きるとこう思うの、フランスへ行きたい”と言ってしまうエヴァ

これは私も娘ができてから気付いたことですが、言葉が出てなくてもこちらの言っていることや母親の気分を察したり理解したりって案外してるんですよね
しかもケヴィンは賢くて、エヴァに神経を尖らせている



エヴァが世界地図や旅の思い出の品を飾った彼女の特別な部屋を、ケヴィンはめちゃくちゃにします
これもただの反抗や嫌がらせではなく、ママが自分の世界を持つことが許せないように見えました



確かにケヴィンはサディスティックな性質を持っていて難しい子供です
エヴァの迷いや本音、欺瞞を見透かす息子を、彼女は恐れるようになります

しかしケヴィンは母親のエヴァ似である事が描写されています

・ケヴィンがかじり取った自分の爪を机に並べるシーンとエヴァが割られた卵で作った卵焼きを食べながら殻をテーブルに並べるシーン

・エヴァが水に顔をひたすとケヴィンの顔に変わる

・エヴァの太った人への攻撃性

・幼児ケヴィンの部屋にあった神経質なほどきちっと収納されたオムツと、物が非常に少なく几帳面なのだろうなと思わせる少年ケヴィンの自室

具体的なものから抽象的なものまで執拗にふたりは似ている事が描かれています
恐れている息子の性質もエヴァが持っている一部分なのかもしれません



はじめて観た時は、エヴァは母性あふれるタイプではないけれど良い母親になろうと努力してるのに、息子があんな風で可哀想と思っていました
でも今回、彼女がケヴィンに距離をとってる事に気付きました

(画像はトレーラーより)


食べ物粗末にしてるのに、注意しないの?
妹に対するケヴィンの接し方とかちょっと話し合った方がよくない?等

ケヴィン(6,歳くらい?)が体調を崩した時、ママに甘えてロビンフッドの絵本を読んでもらいます
翌日、エヴァは甘えられた喜びを胸にケヴィンの部屋に行くと回復した彼にまたキツい態度をとられます

ケヴィンってエヴァへの怒りから心を許す事を自分に禁じてるように見えるんですよね
でも具合悪くて素が出てママに甘えちゃった(*ノдノ)
翌日そんな自分を恥じて無愛想ケヴィンWハート

という萌展開だったのに、エヴァたっらあっさり距離をとっちゃうんですよ!
あそこはグイグイいっても良かったと思うんだよぉ
no more 腹の探り合い!ゴーゴゴー!!だよぉおお
たわけの感想ですし、的外れだったりイラつかせる発言でも寝言だと思ってくださいね


そして、ふたりの距離が縮まらないまま妹セリアが誕生します
ケヴィンは嗜虐的な性格のまま少年になります

エヴァの息子への距離感を指摘してしまったけど、エヴァが特別悪い母親だったとは思えません
セリアはとても良い娘に育ったし
しかしエヴァ主観の回想で過去が語られるので、ケヴィンの内面は想像するしかありません


■なぜケヴィンはエヴァに対してだけ問題児なのか

エヴァ回想シーンでケヴィンからの強い視線、その視線はエヴァの現在のシーンに繋がり彼女が半分寝ながら観ているテレビから送られます(多分犯罪者ケヴィンのドキュメンタリー?)

少年院に入った後もまだ自分を見透かしている!
慄くエヴァ

テレビの中からケヴィンは
僕がただの優等生だったらチャンネルを変えてるだろ?
と訴えます

これが“なんでママにだけ?”問題の答えでしたね
ママ僕を見て!
エヴァに対する独占欲がはんぱない息子だったんですね

エヴァのパソコンを破壊するために用意したウイルス入りハードディスクに書いてあった“I Love You”
エヴァ、きっとあれケヴィンの本音なんだぜ?
だから昔読んでもらったロビンフッドの絵本大事にしてたんだぜ?


歪んだ方法で愛を乞う息子ケヴィン
息子を恐れてしまった母エヴァ
頼りにならない父親フランクリン

フランクリン
このヤローにはイライラさせられました

<フランクリンという男>
妊娠?やったね☆え?悩んでる?ダイジョーブYOU産んじゃいなYO!
幼い息子がなつかない?郊外に引っ越しだ!のびのび育てりゃオッケー牧場☆
妻と息子がギスギスしてる?オレは息子と仲良いし、別に何もしなくてもよくね?
息子がハムスター殺し及び妹を失明させた原因?そんな事言うオマエがカウンセリング行け。てかそんな事言うヤツだったなんて!もう離婚な!


ママから冷ややかな目を向けられていることに気付かないパパ
(画像はトレーラーより)

彼は悪い人じゃないんですよ
子供たちといっぱい遊んであげてるし、楽しい人だし、素直なセリアちゃんはパパ大好きだし
ただその表面的な愛情、ケヴィンは見抜いてるけどね

でもフランクリンの欠点、私も当てはまるとこあるかも・・・
面倒だと思ったら向き合わず逃げちゃうとこあるもの

せめて家族だけとは何があっても逃げずに向き合おう!
フランクリンは強くそう思わせてくれましたよ



数ヵ月後には両親が離婚し、父親にひきとられる事を知ったケヴィンは16歳になる直前恐ろしい事件を起こします

体育館に鍵をかけ、スクールメイトたちに矢を射って殺害したのです

子供の学校で事件があったと連絡があり駆けつける親たち
現場の体育館のドアには見覚えのある錠。嫌な予感がするエヴァ
担架で運ばれてくる被害者たち
拘束されて出てくる息子のケヴィン

被害者の親たちの中で、自分だけが加害者の親である事に気付くエヴァ

このシーンは特に残酷だと感じました
その後の追い打ちも・・・。エヴァだけケヴィンに生かされてしまった
こんなの生き地獄だよ、とエヴァを見て呟いてしまった私

無差別殺人の加害者の母親となり、夫と娘を亡くし、家も失う。キャリア復帰も厳しいでしょう
まるで罰を受けるように、それでもエヴァはケヴィンが事件を起こした街に住み続けます



■なぜケヴィンはここまでしたのか

1度目の鑑賞時は、自分の望むような愛情をくれなかった事に対する復讐なんだろうと思いました

2度目の今回、終盤のエヴァの回想シーンで彼女が実際には見ていない場面が2つある事に気付きました。それまで過去のシーンはエヴァの経験、主観で語られてきたのに

1つ目は殺人事件を起こす日、ケヴィンが登校するシーン
スクールメイトたちがおしゃべりしてる中を、挨拶もせず(&されず)歩き去るケヴィン

エヴァの想像の中のケヴィンなのでしょう
これは彼女がケヴィンの心を理解し始めたという事なのでは

2つ目は体育館の中での殺害シーン
画面に映るのは矢を射るケヴィンだけで、被害にあった生徒たちは映っていません
殺害後に芝居じみた雰囲気で一礼するケヴィン。ここでも倒れているであろう生徒はうつらずケヴィンだけが映し出されます


そして実際にエヴァが経験した回想でのケヴィンがパトカーで連行される場面
パトカーのバックガラスからエヴァに強い視線を送るケヴィン

ケヴィンの世界にはエヴァしかいなかった
そのことにやっとエヴァは気付いたのだと思いました

ずっと歪んだ方法で訴えてきたけどわかってもらえず、エヴァから引き離されそうになったケヴィンは彼女から全てを奪いケヴィンとエヴァだけの世界を作ろうとした


エヴァは住まいにケヴィンの部屋を用意し、彼のシャツにアイロンをかけます
息子を受け入れようと腹を括ったのです
事件から2年が経っていました

その後エヴァは少年院に面会に行きます
もうすぐ18歳のケヴィンは刑務所に送られる事を恐れています
顔には傷、短く刈られた髪。いじめられているか看守からの厳しい懲罰でしょう

今までの面会では2人はろくに向き合わず会話も無い様子でした

今回エヴァはケヴィンに本心から話しかけていきます
そして、なぜあの事件を起こしたのか問います
ケヴィンは“わかってるつもりだった。でも今は違う”と言います。やった事の重大さに対し子供のようなこの答えも彼の本心なのでしょう

何かをエヴァに伝えたいけど言葉にならない様子のケヴィン
彼は少年院での生活を経験し、結局は母親から赦されていた事に気付いたのだと思いました、自分の犯した罪の重さにも

エヴァはケヴィンを抱きしめます
そしてケヴィンは抱擁を受け止めます

今までエヴァを見抜いてきたケヴィンが、彼女の覚悟を感じとったようにも見えました
同時にエヴァを赦したようにも見えました

赤、青、黄など色が印象的に使われていたこの映画のラストは、白い壁が画面いっぱいに広がるというものでした
それぞれの色の意味は何なのでしょうね


無音のエンドロールは監督に“この家族について考えてごらん”と言われているようでしたよ


観た後、“どーだった?”と夫に聞いてみたら“あのオヤジ、家族と全くむき合ってなくてダメだろ”と言っていて、ちょっとホっとしました
母親が悪い!と母親だけのせいにしたらこの先不安になるとこでしたよ

ケヴィンは母親似だからこそ、あのパパはキーパーソンでもあったんだけどなぁ


“どうしたらケヴィンにあの事件を起こさせずに済んだんだろう。引き返せる分岐点はどこだったんだろう?”と気になっていた問いを夫に聞いてみると

夫“妹の存在が決定打だったな”

私“そうなの!?そんなに前なの?”

言われてみれば確かにケヴィンがママの愛情を信じられてないうちに、妹に愛情根こそぎ持ってかれた感はあったよね。屈辱だったろうなぁ
長男の夫らしい着眼点だと思いましたよ


人によって意見や感想が異なりそうな映画ですね




原作小説も気になります↓

少年は残酷な弓を射る 上/ライオネル・シュライヴァー
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