役者様々 | みぶ真也 の 職業:怪談俳優

みぶ真也 の 職業:怪談俳優

浪速のユル・ブリンナー

俳優として、ぼくは小劇場演劇の世代にはいる。

劇団にいた頃も、あくまで新劇を標榜する劇団ではあったが、いわゆる小劇場の自由な活動をつづけながらマスコミの仕事を並行していた。

おかげで小劇場活動している演劇仲間が出来た。

独り芝居に転向してから、他のフリーの役者さんと知り合う機会が増えた。また、全国で独り芝居をライフワークと考えている役者さんが多いことにも驚かされた。

東京の根本雅也くんや沖縄の藤木勇人さん、他にもたくさんいてライバルというより親交を続けている。

その後、プロダクションに入った。

ここで知り合った俳優・タレントは、面白い人が多い。

有望な若手も綺麗な女優も多いが、一番興味深いのは長年端役やエキストラを続けてきた人達。

三島由紀夫がテネシー・ウィリアムズの秘書パンチョについて書いた文章で

「個性的な作家に実際会ってみると、作家そのひとよりその周辺の人の方が個性的で面白い」

「個性発揮に価値を置きながら、作品という個性を発揮の場を持たない人が私生活で個性を発揮する」

といった意味のことを書いているが、スターの周囲で長年仕事してた役者さん達にはこのパンチョみたいなえげつなく面白い人が多い。

演技とか台詞回しでは小劇場の役者連中に劣るが、待ち時間の雑談猥談は話芸の域に達している。

おそらく、映画全盛期の大部屋もかくやと思うばかりの雰囲気である。