おはようございます、大阪の俳優みぶ真也です。
UFOと戦うために、日本に残された最後のエネルギーとは……
怖い!
面白い!
今夜の“不思議ものがたり・みぶ真也の深夜のみぶ”は
「地球エネルギー」(後編)
ラジオ関西AM558khz 毎週月曜夜21:00~21:15
「ヒロノツトムの走れタコ!」
番組後半のコーナーです。
ラジコでもどうぞ!
おはようございます、大阪の俳優みぶ真也です。
有人火星旅行が計画されている今、火星開拓時代がすぐそこに来ています。
人類が火星に移住してから、もう十年近くになる。
今や全火星の三分の一が開拓され、火星では地球に劣らぬ都市が栄え、文化も発展しているそうだ。
特に映画の部門では、タコそっくりで狂暴な先住民族と戦いながら地球人が火星を開拓していく「火星劇」というジャンルが現地では大ヒットしているという。
言わば、ジョン・フォードやハワード・ホークスの西部劇のような感じだろう。
そんな火星映画の花形美人女優アニータさんが地球へやって来て映画を撮ることになった。
相手役の男優を選ぶのに全国的なオーディションが行われ、最終選考でぼくが選ばれたのだ。
台本と撮影スケジュールを渡される。
アニータは人気女優だけあって、撮影に裂ける時間は驚いたことに一日だけ。
24時間で彼女とぼくの出演シーンを全て撮ってしまう予定だ。
ロケ地は神戸。ハーバーランド、メリケンパーク、ポートタワー、三宮などの撮影場所を細かく時間に割って手配した香盤表が作られた。
いよいよ大阪のスペースポートにアニータが降り立ち、撮影の日がやって来た。
「アニータさんが到着されました」
控室の扉が開き、スタッフが彼女を招き入れる。
彼女が姿を現したその瞬間、ぼくは言葉を失った。
アニータは美しいピンクの肌をセクシーにくねくねさせたタコそっくりな火星の先住民だったのだ。
「火星では地球からの開拓民と先住民族が仲良く共存して都市を築いているんです。現地で流行っている映画でも、今は地球人と私たち先住民が同じくらい活躍してるんですよ」
アニータが体をくねらせながら説明した。
今回の映画は、地球を訪れた火星の王女がホテルから逃げ出して神戸の街で冒険するというストーリー、ぼくは神戸の案内役だ。
「みぶさん、よろしくお願いします」
アニータが八本のうち一本の足を差し出したので、ぼくが握手をする。
その瞬間、彼女に対してある不思議な欲求が湧き起こった。
撮影が始まる。
何しろ彼女の空き時間は今日一日だけ。
その間に全て撮らなければならない。
我々はハーバーランドやメリケンパークを駆け回りながら早撮りを続け、日が暮れると丘の上から夜景をバックに最後のシーンにかかった。
「私は、やっぱり帰らないと」
そう言う彼女を抱きしめる。
あの不思議な欲求がまた湧き上がる。
「アニータさんもしっかり抱いてください」
監督の指示で彼女の八本の足がぎゅっと締め付けて来た。
息が止まりそうになる。
「カット!」
ようやく映画「神戸の休日」の撮影が完了した。
その日の帰り、ぼくは海鮮居酒屋に飛び込みわさびと醤油をたっぷりつけたタコの刺身を二皿食べて、一日中我慢していたあの特別な欲求を満たしたのだ。
おはようございます、大阪の俳優みぶ真也です。
今日は「遊覧飛行」というお噂を一席、ご機嫌を伺います。
「こんにちは」
「ああ、誰かと思ったらおまはんかいな、まあ、おはいり」
「はあ、寄せてもらいます」
「今日はまたどないしたんや?」
「いや、ええ天気やなと表歩いてましたらな、長屋の奥で甚兵衛はんが黙ってぼーっと座ってんのがみえましたから『こら、死んでるのかも知れんな』と思って覗きに来たんですわ」
「おいおい、縁起でもないこと言うんやない。この通りピンピンしてるがな」
「残念ながらそうですな」
「何が残念やねん。わしを殺したいんか」
「いやいやそうやおまへんけどな、せやけど、なんで昼間からぼーっと座ってなはんねん」
「いや、訳いわなわからんわな、実は遊覧飛行の招待券を貰うたんやけどな、どうしても都合がつかんのでどうしたもんかと考えてたんや。ここへおまはんが来たのもなんかの縁や、わしの代わりに行ってくれんか」
「遊覧飛行に、わたいがですか。ほな、行ってやるからありがたく思え」
「何を偉そうに言うとるんじゃ」
「ははっ、でそれはどんな飛行機に乗せてもらえまんの?」
「いや、飛行機違うんや」
「ほな、ヘリコプター?」
「いやヘリコプターでもないんや」
「飛行船かなんかでっか?」
「飛行船でもないんや」
「ほな何でんねん」
「UFOや」
「UFO?そらあかんわ」
「UFOは嫌いか?」
「ええ、わたいはペヤングの方が好きでんねん」
「誰が焼きそばの話してんねん。空飛ぶ円盤の方のUFOや」
ここにございました、我々同様気楽な男、UFOの遊覧飛行の招待券を貰い約束の河川敷にやってまいりますと大きな円盤が着地してます。
「これがUFOか、どこからはいるんやろ?とりあえずノックしてみよか。(ドンドンドン)もうし、宇宙人の方、開けとくなはれ(ドンドンドン)」
すっとUFOの一部が開いて宇宙人が出てまいります。
いわゆるグレイというタイプ。
「はいはい、わかったから機体をドンドン叩くんやめなはれ」
「それはすんまへん、中へ入れとくなはれ」
「ここからどうぞ」
「へえ、おおきに。うわー、広いもんやな。どないして操縦しまんねん」
「テレパシーちゅうやつで動かしまんねん」
言うなり、UFOが飛び立ちます。
「うわー、びっくりした。あれ、窓から見える青い丸いのはなんです?」
「あれが、今までおった地球です」
「ほな横に見える黄色い玉は?」
「月です」
「向うの赤いのは」
「あれは火星」
「青黄赤って信号機みたいでんな」
「うまいこと言いまんな。天窓開けまっせ」
天井がグワーと開きます。
「綺麗な夜空やな」
「ここはいつも夜です。あちらに見えるのがかに座、こっちがうお座」
「鍋にしたら旨そうやな。ついでにてっちり座やあんきも座もおまへんか」
「そんな星座がおますかいな」
言うてますうちにUFOがいきなりフラフラします。
「えらいこっちゃ、あんさんがさっきドンドン叩いたから装置が故障したみたいや」
「どないなりまんねん」
「とりあえず地球へ」
ドーンと元の河川敷に不時着。
「いたたた、頭打ったがな」
「大丈夫でっか」
「さすがUFO,目から星が飛びました」