ハロー、イノセント1巻2巻

酒井まゆ

(りぼんマスコットコミックス)

 

 

★あらすじ★

美形で文武両道、非の打ち所がない雪灯。高校も特待生として入学したが親はなく祖母と妹と暮らしている。

ところが祖母が入院してしまい、入るつもりだった剣道部を断念せざるを得なくなる。

そんな彼のことをわかってくれる人はいない、幼なじみの遥夏は事情を知っているけど、重荷を背負わせたくない…

そんなとき、突然出会った美少女・結以。きれいなのに服はあまり気を遣わず、そして乱暴な言葉を並べ立てる。

生き方が、雑。

ただ雪灯は、彼女に惹かれてしまった。彼女の寂しそうなたたずまいがそうさせたのか。

そして彼女は雪灯と同じクラスだった。

「私とは違う世界の住人」と言われてしまうのだが、二人はだんだん距離をつめていく。

りぼんの看板作家酒井先生の新作。

 

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「酒井さんの趣味が丸出しだなー」と一言出てしまう内容です。

少女漫画家にとって「男主人公」を描くのは夢だったりしますし、

相変わらず毒親とか孤独とか盛り込んでくるんですよね。

春田さんはすっかり丸くなって読者に顔を向けているんですけど、

この人は変わらないというか、さよミニの空いた穴を埋める狙いでもあるのか。

 

群青リフレクションとかは読者を楽しませる意気込みがあったと思うんですが、今回はとことん冷たい漫画を描いていこうって感じなんですかね。

主人公はパーフェクトキャラで、どんな女の子も「かわいい」と言えてしまう聖人です。

だけど家庭事情で息の詰まる日々を過ごしている。

一方ヒロインの結以はライブハウスの倉庫に寝泊まりし、彼氏もいる。

ただ、この彼氏はそうとうにクズなので彼女が家出していろいろ渡り歩いた結果なりゆきで付き合っている感じ。

もちろん非処女でしょうね。自分を大切にしていない、できない。

雪灯から見ると「ありえない、わからない、おかしいよ」だし、実際そういってしまうのですが、

正論で殴っても、彼女には通じないというか心を閉ざしてしまうだけ。

というか、今はこういう境遇の子が青年漫画やドラマなどでクローズアップされてきているので、

りぼんだとしても正論かますのは悪手なんですよね。

さらにいうと結以の父親めちゃくちゃ金持ちだと思われます。そうでないと雪灯と同じ学校(金持ち校)に入ってない。

彼女「お嬢様」なんですよ。ここがりぼんの限界かなと思います。

ハニレモの三浦くんなんかは父親が蒸発してて、教師はそれを理解し見守っているという設定までついているのに

どうも結以の書き方が古いんだよなあって思ってしまう。

 

そして2巻からは意外と平凡な展開になるんですよね…びっくりするほど普通の酒井漫画になってました。

雪灯の友達?の飯島がいい味を出している。

遥夏はとてもいい子で、結以とも仲良くするし妹の名桜ちゃんにやいやい言われても我慢しちゃう。

もしかすると、雪灯と結以はうまくいかんかもしれない。

そういう展開のために彼女がいるのかなと思うとこもあります。

酒井さんはMOMOでとんでもないウルトラCかましたことがあるんで…

 

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