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ふたりのポラリス 1 (りぼんマスコットコミックス)
484円
Amazon |
「わたしの ほんとうの気持ちなんか
もう誰も いらないんだと思ってた」
ふたりのポラリス1巻
柚原瑞香・りぼんマスコットコミックス
(りぼん掲載)
☆あらすじ☆
天宮星(ひかり)、高校一年生。友達に囲まれ明るく何不自由ない学校生活を送っているものの、極力面倒事を避けているため、気を使って疲れていた。
ある日、母が再婚したいと言い出す。しかし、再婚相手には娘が。
よりにもよって、同じクラスの鈴村深月だった。
いじめられっ子オーラがあり、現在パシり状態。
「星には苦労を掛けてきたし、パパがいればと思った」
それは私のためじゃない、自分のためだ!
はちきれそうになる星だが、深月の不器用なりのまっすぐさに心を打たれ、再婚を認める。
全然性格が違う二人の、同居生活が始まる…
「恋ばっかりの世界でわたしはキミと」で中学生の恋愛の難しさを描き切った柚原さんの新作。
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りぼんの「鬱まんががかり」から抜け出して、恋だけじゃない学校の日常と光と影を書き始めた柚原さん。前作は本当にいい作品だったと思います(その前のは…)。
さて、今回はガチで「友情もの」に取り組んだようです。単行本全部読んでも、男子という男子キャラがほぼ見当たりません。よくこれで連載会議通ったなと思いましたが、柚原さんだからこそ、なのでしょう。
まず、同居のきっかけが「再婚同士」なのが面白いですよね。
大体少女漫画では男女が同居するものです。それが、同じクラスの女子同士。
でも、まったく違う性格の女の子二人です。
主人公の星は明るく、友達もいて毎日楽しくやっている「カースト上位」の女の子です。しかし親が離婚してから「自分が母親を支えるんだ」と頑張ってみたものの、母が意外と「恋愛体質」で男性とデートしていたりして…頑張っても無駄だとあきらめているところがあります。だから、友達付き合いでも深入りはしませんし、男子とのつきあいも友人関係を壊す恐れがあるので避けています。
一方深月はいじめられっ子オーラがあり、高校入学から間もないのにノートを代理で書いたり昼食を買いに行かされたりしています。不器用なのですが非常にまっすぐな性格で、「相手に喜んでもらいたいから」とそのパシりをやめません。
彼女の行動は全部、星が母親にやってきた「無駄だったこと」。だから星はイライラして怒ってしまうのですが、
深月はそれを「うれしかった」と受け取ってくれるのです。
星が母親や友達に言えずにいる、本当の気持ちを。
ところが、親の再婚を許諾して同居をしてみると、星はおかしなことに気づきます。
深月が引っ越しの荷物をテキパキ片付けていたこと。
深月の父親が、「失敗するから」といって深月には食事を作らせていないこと。
さらにいうと、深月はけっこう成績がいいのです。
なのに自己肯定感がなくて、人に好かれようとして空回りをしている。
どうも、深月の実の母親がそうとう彼女を追い詰めていたみたいなのです。(それが離婚の原因かはわかりません。父親も彼女を低く見積もっているわけですし)
そりゃあ、そういう性格になるよなあ…と。
星は、そんな深月を陰ながら支えます。好きな食べ物を作ったり、お揃いのアクセサリーを買ってみたり。
そして星は、自分の本音を出さないためなのか
友達といても「私ここにいらなくない?」という気持ちにさせられることがままあります。
彼女がいないときのグループが、全然違うノリで楽しくしゃべっていたりする。
この先、本音を出さないためにグループから敬遠される可能性があるかなあ、と私は少々思っています。
二人が二人して、はぐれちゃっているんですよね。
しかし、同居によって本音を語り合い、ひかれあっていく。
厳しい描写もあるんですが、「それをどうにかしていこう」と思い始めている。応援したくなります。
ポラリスは「北極星」。地球から見ると、動かない星です。
彼女たちが見上げる空に、ポラリスはいつ輝くでしょうか。

