「でも どうして

葵との大切な時間を

『はずかしいもの』としていじくり回されてるの?」

 

 

恋ばっかりの世界でわたしはキミと3巻
柚原瑞香・りぼんマスコットコミックス
(りぼん掲載)


☆あらすじ☆
小学生の頃は考えもしなかった。
中学生になった途端、周りが恋の話を始めてしまった‥

森下ちえり、そんな空気についていけない中学二年生。
同じように「恋の世界」からはじかれてしまった乙桜(さくら)・一果と仲良し。しかしさくらが生徒会長と付き合い始めてから、三人の仲は少しずつ変わっていく。

 

恋をしたくない一果。しかし山吹は彼女に「恋愛感情」を抱いてしまい、距離が取れなくなってしまっている。

ちえりは自分の恋に気づき、「幼なじみとして大事に思われてる」葵に対し関係を変えていこうと決心する。

そんな中、林間学校が始まる。


なないろ革命で人気を得た作者の幼くもクリアな友情ストーリー、完結。


☆☆☆

終わっちゃったか。長続きはしないだろうと思っていましたが、

無駄にこじれなくてよかったと思います。


「親が夫婦交換」とか「不良が猫を拾ってる」とか「子どもタレントで家族が複雑」とか、りぼんの世界は絵空事。

しかしこれは、どこにでもだれにでもある中学生の物語です。


男子がなんとなく怖いちえり、男子ウケする外見のため誤解されやすいさくら、背が高くかっこいい性格の一果。
周りが恋バナをし、男女が近づいたらウワサをし、はやし立てる。

三人はそれにウンザリしていましたが、それぞれが少しずつ変わり始めています。

 

葵のことが好き、この気持ちは止められない。そう気づいたちえり。反対に、どうしても恋とか嫌なのに山吹に女性として見られて困っている一果。

さくらを挟んで二人はきまずくなってしまいます。

それでも二人が本音で語り合えないのはお互いがお互いを思うからということもわかってきます。

考え方が違うのは当たり前、お互いにわかっているからです。

 

問題の山吹は配慮のできない性格なので一果にまっすぐ感情をぶつけてしまい、ただ一果を傷つけてしまうだけ。

どうにかして彼の対応を変えようとちえりは山吹といろいろ会話するのですが、それを見た葵、勘違いをしてしまいちえりと距離をおいてしまいます。

が、とある事故で葵も「俺はちえりを裏切ってる」と言い出すのです。

 

葵は中学生男子としては非常に大人びていて、周囲に気を使い、告白してきた女の子にもどうやって傷つけないで断るか考えすぎる子です。

「恋がわからない・怖い」と言っていたちえりに対し、ずっと、ずっと気持ちを押し込めていた。

それが裏切りという意味だと気づいたちえり。

ようやく両想いです。

 

そこから最終回まで二人の幸せな日々が描かれるのですが、

ラストのラストになって恐ろしい出来事が。

2人のデートに出くわした葵の同級生たちが、それを盗撮し、LINEに流すという事件が発生するのです。

冒頭の抜粋はそれに対するちえりの怒りです。

この悪意は彼女が連載当初から嫌っていたものです。

恋ではしゃぐその反面で、恋をからかったり笑ったり。

それが嫌だからちえりは恋を怖がっていたのです。

 

ちえりと葵はそれを振り切るのですが、

 

ホントにどうして、人間は「他人の事」が気になって仕方ないんだろう?と考えてしまいました。

そんなことより「自分が何に興味を持っているか」「何をしたいか」を話せばいいのに、他人のことを娯楽として消費してしまう。

年を取るとテレビのゴシップをむさぼるおじさん・おばさんになるだけなのに。

 

3巻という短さは「こういうときにどうすればいいか、どう考えていけばいいか」という答えがすぐ出るから。

答えのない話を重い気持ちのまま読まされたらたまったもんじゃない。読んでいて小気味が良かったです。

そして、恋する気持ちに気づき、それが汚いものではないと配慮し、でも一方で恋じゃない関係を保っていきたいという気持ちも配慮する。

小中学生にとって、心にのこる物語になったのではないかと思います。

一果は結局山吹と友達のままですが、これはこれでいいのです。

 

この先どんな漫画を描かれるかわかりませんが、見守りたいと思います。願わくば、こういう方向で。

 

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