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中卒労働者から始める高校生活 11 (ニチブンコミックス)
648円
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「おにーちゃん自分が失敗したらどうするの?
真彩知ってるよ
自分の事許さないんだよ」
中卒労働者(ワーカー)から始める高校生活11巻
佐々木ミノル・ニチブンコミックス
(コミックヘヴン掲載)
★あらすじ★
片桐真実(まこと)、18歳、中卒。父が犯罪者、母は事故死。妹の学費を稼ぐために学校を諦め工場で働いている。
しかし現場で「中卒」をバカにされた真実は妹と一緒に「通信制」の高校へ入ることに。
76歳の老人、シングルマザー、玉石混淆の同級生の中、真実はお嬢様の莉央と出会い、「壮絶な事件」を乗り越えてつきあうことに。
真実の父が、バイト先の莉央と接触していた。
何も知らない莉央は真実に父の事を聞こうとするが、真実は固く拒絶する。
そして、悲劇は起こってしまった…
通信制を卒業した作者が紡ぎ出す、心にぐいぐい絡み付く青春ストーリー。
☆☆☆
ファンタジーより「無理ゲー」な境遇にいる主人公の、マジな格差恋愛モノです。
毎回コミックスを楽しみにしてますが、雑誌が隔月でもどかしい‥書店で見つけるのも難しい‥
ん?帯に「アニメ化」の文字が。
何事かと思ったんですがスマホのアニメ?
おめでとうございます。
主人公は中卒です。母を亡くし父は犯罪者、親戚に住み処は与えられるも同居は拒まれ、負けるものかと工場で働いてきた。
自己評価が大変に低く、卑屈で手も出やすかった。
しかし妹と一緒に通信制高校へ通いはじめ、少しずつ変わってきています。
お嬢様の莉央と付き合うことになり幸せリア充ヒャッハーか‥、しかし彼の「境遇」は学校の誰にも明かしていません。
莉央はアルバイト先のファミレスでとある配送業者の男性と知り合います。
苗字が「片桐」なのでひょっとしたら、とその話を真実にするのですが、真実にとって「父親」は誰にも知られたくない存在です。
彼の中で焦りが足音となってつきまといます。
ついに三人は顔を合わせてしまい、莉央にすべてを話さなければならなくなってしまいました。
しかし、父親・真の罪状は会社での横領と執行猶予内の傷害。
執行猶予期間にやらかしたということで収監が長かったんだなとは思いますが私は正直、殺人だと思っていました…
すべてを話して、もうこれで終わりだと思った真実。
でも莉央は「それで私が別れたいというと思った…?」と泣き出します。
受け入れるつもりの莉央が目の前にいるのに、
真実は自分だけが「白黒」になっていて、いくらキスをしても戻れないのです。
今まで通信制高校で楽しくやってきて、彼女もできて友達もたくさんいて、生徒会もやって。
そういう「楽しい物」を抱えて、逆に周りに「バレる」事がどんどん怖くなっていた。
それを彼は「弱くなった」と言います。
莉央はその手を離しても離さなくても、色のつかないままになってしまった真実に戸惑ってしまいます。
さて、ここで光になれそうなのは妹の真彩ですよね。
同じ境遇を生きているわけですから。
彼女はバカですけど、物事の真理をよくわかっています。
ただ真実からすると「死んでも守らなければいけない存在」なのですが。
そして父親から手紙をもらった真彩、父に会いたいと言い出します。駄目だ、バレたらどうするんだ、ひどい目にあうぞと真実は言いますが、そこで真彩が言ったのが冒頭の言葉です。
真実は融通が利かないというか、真面目というか、いろいろと敏感というか。それでいて怒りのコントロールができず、今まで周りとモメてきた。
真彩に見えるものが、彼には見えないんですよ。
彼は犯罪をした父を許せないし、
その息子である自分も許せないし、
そして、莉央に「迷惑かけた」自分も許せないのです。
これは別に「犯罪者の息子」である真実だけが抱える問題じゃないですよね。人を心無い言葉で傷つけたり、実際に傷つけたり、あとは自分基準で「失言した」と思ったり。
そういうときって、誰にでもありますよね。
もう単に、優先席で席を譲れなかった…なんてレベルの「失敗」だってありますよね。
日本は「世間様に迷惑をかけない」文化ですが、
それで苦しんで行き詰ってしまう人がどれだけいることか。
真実はそういう気持ちの、集積した存在になってしまっていると思います。あとは、一回やったことの引っ込みがつかないというか。
…不器用なんですよねえ。
私はだからこその「通信制高校」だと思うのですが。
一番最後のモノローグが大変気になりました。
彼の暗い感情が周りに影響を及ぼしてしまうかもしれない。
そして、来年は今と同じではないだろうという不穏な予知をしていた松井さんですが…
もしかすると、今いる「仲間」の誰かが失われてしまうかもしれない。そうなるまで、真実は大事なことに気づけないかもしれない。
まだ莉央の家族が和解できていないことも含めて不安です。
一方で唯一過去を知る中島あかりがすでに「協力者」となっているのが救いです。

