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恋ばっかりの世界でわたしはキミと 1 (りぼんマスコットコミックス)
475円
Amazon |
「ぜんぶ変わらずいるのは無理だけど
変わりながら
一緒にいられる関係でいたい」
恋ばっかりの世界でわたしはキミと1巻
柚原瑞香・りぼんマスコットコミックス
(りぼん掲載)
☆あらすじ☆
小学生の頃は考えもしなかった。
中学生になった途端、周りが恋の話を始めてしまった‥
森下ちえり、そんな空気についていけない中学二年生。
同じように「恋の世界」からはじかれてしまった乙桜(さくら)・一果と仲良しだが、ある日さくらが生徒会長とキスしているのを目撃してしまう。
びっくりして理解がおいつかないちえり。一果に「さくらはうちらを見下してる」と言われ、それも本音なので戸惑ってしまう。
そんなちえりが出した答えは‥?
なないろ革命で人気を得た作者の、幼くもクリアな友情ストーリー。
☆☆☆
抜粋した台詞、前作(全8巻)の結論じゃないですか‥と言いたいです。
自分と他人の区別がつかず周りを振り回す少女と戦うホラー漫画「なないろ革命」。
いつも主人公が傷つき、誰にも相談せずに悩み続け、三年間を無駄に過ごす話でした。
ただ毎回「気になるヒキ」を作っていたため、結局イライラしながら全部読んで「私は何をしていたのか」と途方にくれました。
サイコパスな友達との決着がもう少し特殊なのかと一応期待していたんですよね‥。
私はさんざんあの作品について「存在していいけどりぼんではどうなのか、いじめ漫画はまだ未開のジャンルでは」と書いてきました。現在また話題を作ろうと残酷な漫画がりぼんに掲載されていますが、ジャンプ+で一話公開するくらいならそこでやりゃいいだろうと思っています。
しかし、今回のお話はとても「いい!」のです。
前々作「うそつき姫」もこういう話だったし、本来はこの路線の作者さんなんですよね。
だからといって、なないろ革命の見方は変わりません。一人の漫画家が描くものでも良作とそうでないものがあります。
編集部の思惑も絡んできます。
そして現在、めちゃめちゃ面白い漫画を描いていた漫画家の酷い作品を目の当たりにしており(りぼんではありません)、世の中は無常だな‥と思ったりしてます。
前置きはここまでにして、「恋ばっかりの‥」のお話を。
学生時代を振り返ると、「なんで義務教育なのに小中を分けてたんだろな」と思います。
制服を着ただけで突然年上が偉そうにし始めたり、ヤンチャを始めたり。牧歌的な小学校にいたため、中学は謎の世界でした。海外ではだいたい一緒ですよね。
恋‥については小学生のうちからいろいろあったんですが、感覚はなんとなく変わりましたね。一緒に帰ると色々言われたし。
なんだったんでしょうね。
そんな「モヤモヤ」を切り取ったお話です。
男子がなんとなく怖いちえり、男子ウケする外見のため誤解されやすいさくら、背が高くかっこいい性格の一果。
三人は周りの「恋バナ」についていけず、そのままでいいよねと思いながら仲良くなりました。
ところがさくらに彼氏が出来て、ギクシャクしてしまいます。
一果は裏切りだと言うのですが、ちえりの幼馴染みの葵(男子)は「それでいいの?」とちえりに問います。
「彼氏がいてもいい、それでなんだかんだ言ったら周りの子と同じだ」
ちえりはさくらに謝り、素直になれなかった一果も元に戻ります。
しかし今度はちえりと葵の仲を疑われ‥。
いやー、めんどくさい!!
一果も男子に「ナシ女(女の子らしくないから)」と言われ続けていますし、ローティーンの世界はマジでめんどくさい。
しかし短いスパンでこの「たわいない悩み」に答えが出ますし、そのたびに三人の友情が深まっていくので読んでいて気持ちがいいです。三人ともいい子ですし。
ちゃおのやぶうち優先生がこういう「あるある」得意なんですけど、
「りぼんもようやくこれを物語る時代になったんだな」と思いました。
かつてのりぼんもあったかな?
いや、もっと現実ばなれしたドラマチックなものが多かったといいますか‥
次の巻で一果の話にも決着がつきそうなのですが、これからどう展開するのか。
ちえりと葵にもうひとつ進展があるでしょうし。
お話がまっとうな分、なないろ革命ほど長続きはしないと思います。でも、それでいい。
三人がなれ合わずお互いの距離を保ち、性格がかなり違うので影響しあえている。
この先いきなり誰かが闇堕ちしない限り、小中学生にオススメしたい作品です。
相変わらず絵もすごくかわいいですし。

