「人が踊る理由に正解なんてないよカナデ

それは誰かに教えられることではなく

自分で考えるべきことだからね

君は自由だ」

 

 

絢爛たるグランドセーヌ10巻
Cuvie(キュービー)・チャンピオンREDコミックス
(チャンピオンRED掲載)


☆あらすじ☆
バレリーナを目指す中学一年生の有谷奏。鋭い観察力を持ち貪欲に自分の力にする才能の持ち主。

YAGP日本予選でマルセイユの短期留学に受かった奏。ステイ先にアンドレアがいて驚くが、言葉の壁がありなかなかうまく話せない。しかもアンドレアを怒らせてしまう…


華麗なるバレエの世界に飛び込んだ少女が力強く、伸びやかに舞う!!本格的バレエ漫画!!


☆☆☆

バレエは少女の夢で、チュチュは乙女ちっくの象徴で、バレエ漫画は少女雑誌に掲載されるもの‥。
それが「チャンピオンRED」という青年誌に掲載されています。なんというミスマッチか?!

しかしバレエのすみずみ(お金の問題とか、トウシューズを慣らす方法とか)まで描写する本格的バレエ漫画なのです。

主人公の奏は平凡な家庭に生まれ、特に身体能力や感覚がいいキャラではありません。ただしのめり込むタイプで素直、上手い人を妬んだりせずそこから技術を貪欲に取り入れます。誰とでも仲良くなれる明るさも才能ですね。

少年漫画のヒーローが女の子になっただけ、と言えなくもありません。だから少女漫画のように湿っぽくならない。
奏は「ちはやふる」の千早と同じタイプだと思います。

ついにマルセイユへ留学することになった奏(ただし一週間)。

両親は言葉などものすごく心配してますが、時差ボケはあったものの会話に関してはあまり問題もなく、日本人もいました。

(洗濯もしてもらっている)


しかし、「コミュニケーションモンスター」の奏ですらコミュニケーションできない相手が登場します。

奏と同じ「ディアナ」を踊り、奏の心を震わせたアンドレア。

奏はアンドレアの踊りをネットで見ただけなのですが、ステイ先で一緒になってしまうのです。
一年の留学をしていて奏とはえらい違いですが、彼女の出身はベネズエラで母国語はスペイン語。英語はできるけどフランス語がおぼつかない奏は、なかなか話ができないのです。

そして「到着してから一日両親への連絡を忘れていた」奏に対し激怒。それから全く話をしてくれなくなります。

前巻の滝本先生の事を思い出しました。先生はロシア人とのハーフ、そして若いころあの国は「ソ連」だった。

アンドレアの故郷ベネズエラは政情不安で、家族には「帰ってくるな」と言われるしネットでやり取り中「停電」になって通信が途切れてしまうのです。

そんなアンドレアからしたら、奏はものすごい親不孝者ですよね。
彼女に理解してもらおうと努力する奏ですが、アンドレアはまた、別の事でも心を悩ませている模様。

 

しかし奏はこの短期留学で彼女とのつながりを感じていますし、さらにつながる「きっかけ」をつかんだような気がします。

この巻の前半でコンテンポラリーを習いますが、それも奏に有利に働いていると思われます。

 

ほんっと、この漫画は面白いです。読んでいると奏と一緒にドキドキしたり慌てたり、そしてのびのび踊っている気がします。

それはこの漫画がバレエを緻密に、しかもわかりやすく説明し表現してくれるからだと思うのです。奏が新しく技術を知るときの気持ちよさといったらない。

ライバルとの葛藤とか、主人公の悲しみとかドラマとかはほとんど排除されているから、そちらに気を取られることもない(葛藤を持っているのはさくらや翔子たちばかりですよね)。

人間関係もどんどん斜め上の展開になっていて、小さいとこで悩んでいる場合じゃない。

色んな意味で「スケールの大きい」漫画だと思います。

 

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