「やり直し(リセット)なんて許されない。
芝居とは本来、生きるか死ぬかの中
演るものなんです。」


天使とアクト!!13巻
ひらかわあや・サンデーコミックス
(週刊少年サンデー掲載)


☆あらすじ☆
凰生為人(いくるみあくと)、政治家の父を持つセレブで優秀なイケメン。しかし声は天使のような女の子!!
そのせいか否か、人としてどうよな性格。
人気声優春坂なりとの衝撃的な出逢いによって、アクトは声優になって彼女を追いかける。

アクトは「戦隊ガールズ」の主役を勝ち取った。仲間役の声優たちと心を合わせていかなければならないのだが、どいつもこいつもクセモノだらけ!
最後の仲間・ビターガール役の清々雲昴はモブ役も貰えない、「先生になろうかな」と思っている大学生。

ところが彼女は演技が上手すぎて際立ってしまうだけだった。
昴のおかげで自分の役が霞んでしまう。
焦ったアクトの前に現れたのは‥?!

なりとの出会いで世界が変わる?声のせいで「女」にされる?
「國崎出雲の事情」で新しい世界を切り開いちゃったひらかわあや先生の声優ラブコメ13巻発売!!


☆☆☆

「天使とアクト!」は「見た目が女の子」だった「國崎出雲の事情」に対し「声が女の子」というまたまたイカれたキャラクターが主人公です。
アクトはセレブな生い立ちと声のコンプレックスで非常に傲慢な性格をしています。基本的に人とマトモな関わりができません。
しかしアクトは声優春坂なりと出会い、声優の世界に飛び込みます。

アクトはなりと並ぶため、なりが初代を演じた「戦隊ガールズ(プリティでキュアキュアっぽいやつ)」の役をつかみました。これで売れっ子声優の仲間入りですが、一年間演じきらなければいわゆる「大爆死」になってしまいます。
ところがアクトの勢いに影響されすぎちゃった北条プロデューサー、仲間になるキャラの声優にもアクの強い人たちを呼び寄せてしまったのです。
恋愛体質(ただし無自覚)の姉嵜明日葉、噺家の京楽亭豆千代、コミュ障っぽい忍腹しきみ、そしてなんとなく人生やってきちゃったらしい大学生の清々雲(すずのめ)昴。


今回はまるまる昴との関わりに苦戦するアクトが描かれています。

アイドル声優星月璃子いわく「舞台荒らし」の昴。上手すぎて他の演者を食い荒らし、しかも「上手い」という自覚がない。役になりきる憑依型なので周りの様子に目が届かない。
予想だにしなかった相手に、アクトは悩み、焦り、姉嵜たちを怒鳴ってせっかくできつつあったチームを壊しかけます。

そこに現れたのがシュガーガールを競った総生鳳也。ライバル役として参加することになりますが、アクトは彼に悩みを打ち明けます。
下におさえつけたいわけじゃない、一緒に掛け合えるようになりたい。
昴はベテランとしか「掛け合うことの楽しさ」を知りません。そしてそのせいで自分の才能に自信がない‥。

そしてここでとんでもない強敵が現れます。アニメ創成期から声優をしている玉貴朱鷺子がラスボス役として現れるのです。
冒頭の抜粋は彼女の講義のものです。当時はぶっちゃけ「声優」など存在しません。みんな「俳優」です。舞台なども兼ねていますから、やり直しがきかないのは当たり前なのです。

いつもは穏やかな感じなのですが、悪の女王としてスイッチが入ると空気が変わります。
まだアクトたちと直接掛け合いをしていませんが、今の状態でやれば潰される。


アクトは自分がなりや鳳也に動かされて演技を引き出された経験から、昴に引っ張ってもらう手段をとります。
これはアクトだけでなく姉嵜たちもぐんと演技が向上するのですが、
昴は周りにも気を配らねばならず、疲弊していきます。
案の定朱鷺子にそこを突かれてしまいますが‥
どうもアクトはまだ想定内の様子?


今回、昴の「キャラクターの平凡さ」がすさまじいなと思いました。
今まで演技とは無縁の人生。ただなんとなく声優になってしまい、しかしモブから始めるとダメ出しをくらうのであきらめて教師になろうとしている。
他のキャラクターは「声の演者」としてそれぞれクセもアクも強いのですが(漫画チックなキャラクターとも言える)、昴にはそれが全くありません。どこにでもいそうな、ふわふわした大学生なのです。リアクションもいちいち地味。
漫画にしにくいキャラだろうに、それを存在させているひらかわ先生がすごい。
そしてこの巻のラストで朱鷺子に演技を引っ張られ、彼女は「青年誌お仕事漫画の天才主人公」めいた顔をします。
ああいう漫画はリアリティ至上主義といいますか、「普段は日常に溶け込んでいるが、自分の仕事をするときだけ別人になる」というキャラが多いんです。スガ●カオの曲が流れます。
昴は「サンデーのコメディ漫画」のキャラではありません。朱鷺子によってもっと向こうへ行ってしまうかもしれない。
しかし昴は何が一番「大事」なのか?
それを「心から欲しい」と思わせるようなことを、アクトはやってこれたのか?気づいているのか?


次の巻からはとんでもない新展開になりますが、とりあえずシュガーガール編の着地がとても気になります。

 

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