「翔子ちゃんのこと情けないなんて

私 思ったことないからね」

 

 

絢爛たるグランドセーヌ8巻
Cuvie(キュービー)・チャンピオンREDコミックス
(チャンピオンRED掲載)


☆あらすじ☆
バレリーナに憧れる有谷奏。鋭い観察力を持ち貪欲に自分の力にする才能の持ち主。
家庭に余裕のない奏はYAGPに参加し、スカラシップを掴まなければならない。

ロイヤルバレエスクール校長・オリバーはアビゲイル・ニコルズが推す奏を見て「あの子は君の器になりえない」と報告する。

自分の忠告通りにオーロラを踊らなかったからだ、と思った彼女は奏に自分の踊ったディアナの動画を送りつけてきた。

「演じられないなら真似ろ」―その強烈なメッセージに、奏は…?

華麗なるバレエの世界に飛び込んだ少女が力強く、伸びやかに舞う!!本格的バレエ漫画!!


☆☆☆

バレエは少女の夢で、チュチュは乙女ちっくの象徴で、バレエ漫画は少女雑誌に掲載されるもの‥。
それが「チャンピオンRED」という青年誌に掲載されています。なんというミスマッチか?!

しかしバレエのすみずみ(お金の問題とか、トウシューズを慣らす方法とか)まで描写する本格的バレエ漫画なのです。

主人公の奏は平凡な家庭に生まれ、特に身体能力や感覚がいいキャラではありません。ただしのめり込むタイプで素直、上手い人を妬んだりせずそこから技術を貪欲に取り入れます。誰とでも仲良くなれる明るさも才能ですね。

少年漫画のヒーローが女の子になっただけ、と言えなくもありません。だから少女漫画のように湿っぽくならない。


さくらや翔子と違い、家が裕福ではない奏。YAGPで成績を残し、絶対にスカラシップをとらなければならない‥!!
世界的ダンサー・ニコルズは奏を気に入っているため、「オーロラ」を踊れと言いますが、滝本先生は奏に「ディアナ」を踊るよう指導します。

「オーロラ」は子供でも演技を掴みやすいのですが、「ディアナ」はそうはいかない。滝本先生は奏の身体能力を見込んで演目を選んだのですが、奏は予選で「舞台が広くて思いっきり踊れる!」ことに気がいってしまい演技を忘れてしまいます。

ニコルズと滝本先生は昔同じ場所で踊っていた関係。けれど二人にはそれぞれの考え方がある。その上ニコルズは奏を「自分のコピー」に仕立てたいような…あまり喜ばしくない見方をしているため滝本先生が警戒しているんですね。

 

そしてニコルズは奏にディアナの動画を送ってきた。見れば真似のできる奏ですが、さすがに今回そのまんまをやるわけにはいかない気がする(自分で自分のできることが分かっている)…ではどうしたらいいのか?と大事なスカラシップオーディション前夜も眠れずに過ごしてしまうのです。

 

ここで意外なところからきっかけが生み出され、奏は自分のディアナを踊ることになります。ものすごく奏らしい考え方で生き生きとしており、見ているこっちが楽しくなりました。

 

一方、翔子はオーロラを踊っています。彼女が先に踊っていることで奏がステージの空間把握ができるなど、奏にとってなくてはならない親友でありライバルです。

ところが翔子は藤田絵麻が同じオーロラを踊ることで対抗心を抱いています。一方で絵麻はスカラシップに興味がなく、ただ自分を試したいという「一途さ」で参加しています。これは前巻でいろいろあり、彼女が彼女なりに考えているからなのですが翔子は絵麻のそういうところが気になって惑わされてしまう…

やる気はないけれど天才肌の絵麻、でも今はやり直そうとしている。天才にやる気が加わったら恐ろしい。ただの怠け者だったなら翔子も見過ごせていたのですが…どうなっちゃうんだろう。

 

今回予選で落ちてしまった子達のそれぞれのドラマもあり、日本のバレエ人口とその需要のアンバランスさをいやというほど見せつけられます。

バレエ人口が多いのは昔から存在していたバレエ漫画のせいです。ですが日本では見る人がいない。

だから日本でバレエを志しても海外へ留学しなければいけないし、プロになれるのは一握り、夢はことごとく潰されてしまうのです。

この漫画がもっと読まれて日本のバレエがどんな状況かもっと広まればいいといつも思っています。

 

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