「あのころとはいろいろかわってしまった
わたしは中学生になって
フクは病気になってしまった
きっとこれからもかわってしまう
けど―」
ゆずのどうぶつカルテ~こちらわんニャンどうぶつ病院~
伊藤みんご(原案協力日本コロムビア)・KCなかよし
(なかよし掲載)
☆あらすじ☆
森野柚、11歳。5歳の時に父を亡くし母親と二人暮らしだったが、その母親が入院してしまい叔父の秋仁に預けられることになった…が、そこは動物病院!
柚は動物が苦手。しかし人手不足なので手伝いをさせられる…
寂しいし理不尽な状況の中でいじめられている勇気とグレートピレニーズのリオンに出会う。
勇気は「リオンがいれば平気」と強がるが、リオンは十歳の老犬で、しかも心臓病にかかっていた…
動物病院と人と動物と。いろんな感情が絡まってはほぐれていく、ゲームとのコラボ漫画。
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この前本屋に行くと、おばあさんかな?と思われる人が書店員さんに「小学生の女の子に漫画を買いたいのだがどれがいいのか」尋ねていました。
店員さんはやっぱりというかなんというか、りぼんの棚へ連れて行って、そこでおしまい。
…なんだかなあ。
一冊くらい勧められるものがあればいいのに。
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というわけでこの漫画を紹介します。
これが元のゲームみたいですね。ぶっちゃけ、コラボ漫画です。
私は「コラボ漫画」と言われると「あー…つらいな」と思ってしまいます。
読者の興味を引くため漫画の外から何かを持ってくるのは邪道、と思っている向きがあるからです。マガジンになっちゃうけどAKB49もコラボ漫画と言えます。
でも、読んでみると現物を越えるほど面白くなっていることがある。
なかよしもコラボものがとても多くこの漫画もハッキリ言ってナメてました。
が、漫画家の技量により、それを打ち破ることがあります。
恐れ入りました。
とても面白いですし、なかよしでも人気が高かったようでこの単行本にはナンバリングがありませんが、現在も連載が続いています。
「いくら人手不足だからって獣医の手伝いはあかんだろ」というそもそものツッコミはおいといて(これはなかよしの漫画だから仕方ない)、
主人公の柚が意外と重い境遇であること、おじさんが獣医として非常に人徳があること、
やってくる動物の病気と、飼い主の心情が非常によく書き込まれている上、まとめ方もうまい。
あと、病気のバリエーションも多く、結構きわどいところまで掘り下げているのです。
この単行本には4つの話が入っていますが、
まず最初が「老犬の拡張型心筋症」
次が「ティーカッププードルのクッシング症候群」
3話目が「子猫の電池誤飲」
最後が「認知症の迷い犬」です。
病名だけ抜き出して、主人公を「駆け出しの見習い獣医」にしたらビーラブでも連載できるラインナップだと思います。
比較するのはアレなんですが、ちゃおでシリーズ連載されている「ある日犬の国から手紙が来て」だと動物は犬限定だし、天国から死後のメッセージが送られてくる設定なので犬は必ず死ぬし、死因がぼんやりしているため、「猫も扱うし助かる話もあるし病気にも詳しくなる」こちらの方が面白い。
そして孤独ながら奮闘する柚が動物や飼い主と関わっていくうちに「なかなか退院できない母親へのいら立ち」「転校したばかりで友達ができない焦り」から少しずつ解放され成長していく姿も見届けることができます。
私が書店員だったら、間違いなくこれを薦めます。まだ1冊ですし。
3話めの物語の運び方も好きですが、やはり認知症のお話がすごかったですね。
迷い犬・フクを保護したら、何か様子がおかしいので調べてみると認知症。
そして飼い主(中学生)がやってきてくれたけれど、認知症なので彼女を覚えていない…
最近忙しくて構えなかったし、認知症だと知らずいうことを聞かないので当たってしまったことがある、だから忘れてしまったんだと悲しむ飼い主。
しかし「昔の記憶」はフクの中にあり、それを理解した飼い主はこの先認知症が進むことを承知したうえで家で飼い続けることを誓います。
人間も勿論大変だけど、最近はペットの「看取り」についてもドキュメンタリーで取り上げられることが多く、見ているとかなり大変なことが分かります。
ペットを飼うということは命を預かること、最後まで見届けること。
ペットはかわいいだけではないのです。一緒に生きる家族です。
そこまで具体的に踏み込んでも「小学生向けの少女漫画」としてわかりやすくまとめ上げていることがすばらしい。
この漫画の存在はもっと知られてほしい。
とりあえずちゃおの読者には知られてほしいですね。今回単行本を探すのに苦労してしまいました(最近なかよしの配本全体的に少ないんですよ)。


