- キミとだけは恋に堕ちない 1 (りぼんマスコットコミックス)/集英社
- ¥454
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「オレ 嫌なんだよねそーゆーの
がまんしてのみこんで
のみこんで のみこんで
どこにやればいーんだろうねぇ?」
キミとだけは恋に堕ちない1巻
酒井まゆ・りぼんマスコットコミックス
(りぼん掲載)
☆あらすじ☆
頼もしいお兄ちゃんも、高校生になればうっとおしい小舅‥高校に上がったばかりの星崎すばるは兄二人(同じ高校)に監視され困り果てていた。
透と航、どちらも美形で何かと目立ち、校内では有名だ。しかしすばるの門限は厳しいし、特に航はすばるの行動をダメ出ししてばかり。
一方同じクラスの吉田新。中学時代は盛大にやんちゃしたと噂ですばるにとっては「異星人」。
だけど自由すぎるテンポにすばるは惑わされ、狂わされ、そして‥?
りぼんの看板として君臨し走り続ける酒井さんの新作登場。
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「シュガーソルジャー」で女の子の強さを描ききった酒井さんの新作です。
とはいえ、読むとやはり「これぞ酒井節だけどよくもありわるくもあるんだよな」と感じます。
最初の印象は「みんながしんどそう」‥。
美形の兄貴に負けず劣らず主人公も普通にかわいいし、そこに絡んでくる吉田もイケメンだし「シスコン兄貴とイケメンが主人公をめぐって対立!!私のために争わないでっ☆キラキラのスクールライフヒャッハー」のはずなんですけどね、ここに「酒井節」がひっかかってくる。
酒井節‥親子や兄弟姉妹関係から発する「葛藤」のあれやこれやのことです。酒井さんの漫画は家族を抜きにして語ることができません。
最初の連載作「ボクたちの旅」は母との確執、次の「永田町ストロベリィ」は親が総理大臣、「ロッキンヘブン」と「シュガーソルジャー」は相手側が親と戦い、「MOMO」はどうしようもない親に振り回される主人公の話でした。
「少女漫画だから当たり前じゃないの?」と思うでしょうが最近はそーでもないのです。春田ななさんは家庭で話を作りませんし、今は親子関係が「対立」から「友達」に移行しているため漫画の風景も変わりつつあります。
では酒井さんの物語が古くさいのかというとまた違うんですよね。ただ対立しているわけじゃなくなってきている。
今回の「キミとだけは~」はさらに複雑そうだな、としょっぱなから感じます。シスコン兄貴に困っている主人公に無事恋人は出来るのか?ここがとりあえず主題でしょう。
まず、すばると下の兄・航の関係が妙です。
上の兄・透は「航の比較対象かな」と思うほど普通のお兄さん。父親のいない星崎家で父がわりをしているのみです。
ところが航はなんやかんやとすばるに絡む。学校は同じだけど普通学年が違えば校内で顔を合わせることなんてほとんどない。
ところが花ゆめのように「妹につく悪い虫はゆるさない」と過保護炸裂。
極めつけは「母さんに心配かけるな」です。
他のことをダシにしてすばるを縛るのがずるいといいますか、「正直気持ち悪い」と思っています。つばホタの鳥羽といい、イケメンの皮を被った獣はこえーなあ。
一方ケガをしても家族に明かせない‥そんなすばるをやすやすと見抜く自由人(?)の吉田。
門限を破るためわざわざ航に相談してしまうブラコンなすばるに対して冒頭の台詞です。
すばるはまだ、「何が他の子と深刻に違って、何が辛いのかわからない、さらに辛いかどうかもわからない」状態(高校生で門限6時半だってことで気付けー)。
その「しんどさ」を彼は見抜いていて、すばるを解き放とうとしているようなのですが‥
この吉田も「芯がない、もしくはブレッブレ」なのです。
周りからの心象や先輩からの絡まれ方、それに対する「自分を大事にしなすぎる言動」。表向きは明るくバカっぽく振る舞っていますがやぶれかぶれなとこが露呈してきます。
ちょっと村田真優さんの男子キャラに近いとこがありますね。
巻の最後の最後で「あ、やっぱり家庭でなんかあったな」的な部分がチラッと出てきます。
兄に騒がれるため何かあっても黙ってしまうすばると、いろいろ頑張った痕跡があるのに無駄に帰したらしい吉田。
この漫画は二人が「壮絶」ではないけどチリチリした切り傷を抱えて成長する話なのではないかと思います。
とりあえず最終的な対立相手は「航」でしょうか。すばるに対する感じ方がおかしいのは‥やはり血が繋がっていないか、すばるが幼少時に「誘拐された」等の重大な事件があったかではないかと。
何もないならないで、「単に三人兄弟の繋がりをたちきりたくない、その甘い関係から抜け出せない」だけかもしれません。
すばると航が透と違いやたらに子供っぽいとこで証明しています。
そう‥すばるは今までの主人公たちよりえらく子供っぽいのです。リアクションも、兄に対する強がりも全部。「兄に守られる甘い関係」がそうさせている。
「我慢」も「沈黙」も、その「ご褒美」の代償。すばるはこの先、何を選ぶのでしょうか。
精一杯にキラキラのりぼん漫画で球技大会や相合い傘などお約束も目白押しなのに、もう最初からただ者ではない空気をまとった作品です。
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