イロモンガール 1 (ジェッツコミックス)/白泉社
¥648
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「お笑い業界―
一見 華やかに見える世界も
実は過酷な競争社会である
日本中の誰もが知っている売れっ子芸人はせいぜい数十人
その下には何万人もの名もなき若手芸人たちがひしめき合っている」


イロモンガール1巻
原作:ラリー遠田・漫画:瀬口たかひろ
ジェッツコミックス
(ヤングアニマル掲載)


☆あらすじ☆
日本一の女芸人を目指す玲奈。
しかしその芸は全く笑えず、事務所ライブでも最下位常連。
芸人仲間と同居し居酒屋でバイトをしているが貧乏ぐらし。
しかしついに「次のライブで最下位だったら契約解除」とマネージャーに通告される。
私、もしかしてスベってる?!


「お笑い評論家」ラリー遠田氏が監修!ナベプロ協力!
売れない芸人の実態を描いたお笑い漫画!!


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私はいわゆる「キャブラー芸人世代」です。爆笑問題、くりぃむしちゅー、アンジャッシュ、この辺りの方々を信奉し、その後は主にナベプロの芸人さんをおっかけました。
去年トークライブでラリー遠田さんをお見かけし、「この人はお笑いの動向が本当に分かっている方だ」と思いまして現在ニコ生を拝見してます(毎週水曜日配信してますよ!)。
この方はどんな芸人さんもけなしません。そこが素晴らしい。

そのラリー遠田氏原作の漫画が出る!!ということで即買いに行ったんですが‥


‥主人公は昔から人を笑わせたい一心でいろいろやらかしている女の子。名古屋から上京し日本一の女芸人を目指しています。
ところが、「日本中の女の子の憧れになりたい」と言ったり、売れている芸人を素直に尊敬したり、一般的な「売れない芸人」とはかなりかけ離れた感覚の持ち主。
しかも自分の芸が「スベってる」と気づいていない。これは致命的です。
もしやこの「打たれ強さ」が彼女の持ち味なのか?!と思ったら、話の途中でようやく自分のスベり具合に気づいてスランプに陥ります(芸歴二年‥)。


この漫画、前半は売れない芸人の実態を描く「お笑い入門編」なんだと思います。仲間とルームシェアは当たり前、稼ぎはバイトが90%、ライブに出てもギャラ貰えるか分からない。とにかくど貧乏なのが売れない芸人の姿です。
センパイの家の二段ベッド、そのスペースが「住処」、男の芸人さんだとここまで行きます。


で。

主人公の玲奈の考え方があまりにも甘いというか「芸人なめてる」レベルだったので「もしかしてこの漫画はゆるふわ系だったのかな?」と思ったら‥玲奈が自覚し、ネタ出しに没頭し始めます。
それまでは目を通しもしなかったアンケートが自分に刺さる、観客の反応が怖い‥

後半からぐいぐい引き込まれました。
自分の芸が面白くない、そこに気づいたって一朝一夕でネタが変わる訳じゃない。
玲奈は本を買い込んだりライブでネタを試したり徹夜を続けたり自分を追い込んでいきます。

前半の玲奈のズレた感じは芸人の実態の重さを「明るくする」為だったんだろうと思いました。


現在「エンタの神様」も「爆笑オンエアバトル」も終了してしまい、ぶっちゃけお笑い氷河期です。M-1などの賞レースはありますが、優勝してもブレイクできない。
テレビのお笑い番組(ほぼ特番)ではネタが小間切れ。ライブで見る半分しか流れない。じわっとした笑いは伝わらない。
だからピン芸人さんの一発ネタ、またはリズム系のネタしかウケません。
最近では賞レースで決勝に残ったコンビが解散しまくり。三ヶ月くらいライブで様子見ながら作ったネタが尺めっちゃ切られて5分足らずで消化されていく。やってらんないですよ。

駆け出しの芸人・売れない芸人を見る「お笑いマニア」もものすごく少数です。
新宿などにある小さな劇場(50人しか入れないのがザラ)で500円払って新人を見てる人‥私もそんな一人に近いものがあったんですが、会場に行くと「同じ顔触れ」に出会うわけです。
つまり‥マニアは一定数しか存在せず彼らがあちこちの会場を行き来しているだけなんです(漫画に出てくる事務所ライブの観客がまさにソレ)。

この情況を一体どうしたらいいのか?ラリー遠田さんは懸念していました。
地方に出向けないしハコは小さいし。今かなりどん詰まりです。

しかしお笑いブームはテレビ番組ありきなのだろうか?私は一方で思います。
音楽もCDの売れない時代ですがライブ動員は延びています。また、テニミュとかオタク向けの「舞台」もものすごい盛り上がりです。
これは「モノ」ではなく「やる人間」に対する「愛着」へとファンの心が移動しているからなんでしょう。AKBも「会えた」から成立していたのです。

お笑いもテレビ以外で活路が見出だせたらと思いますが‥どうなのでしょう。
ただしお笑いは「ハコのキャパが400超えると見えない、笑えない」という壮絶な弱点があります。

漫画の方に戻りますが、芸人の中でも「女芸人」はさらに厳しいです。いわゆる「お笑いマニア」のほとんどが女性なんですよね‥だから余程でないとスルーされやすい。
そして成功した芸人さんが今も「お笑い」を中心にやっているか、というと実はドラマ中心だったり。女芸人さんは売れると一気に有名になるんですが、「なにかちがうもの」になってしまう。

玲奈は1巻の最後で「ある方向の芸」を掴みそうなのですが、あやうい路線のため、それで通していくのか非常に気になるところです。

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