- おとむらいさん(1) (BE LOVE KC)/講談社
- ¥463
- Amazon.co.jp
「そんなのわざわざ見なくても
・・・ほら
ここには『本物』の人間ドラマがたっっくさん詰まってるから」
おとむらいさん1巻
大谷紀子・BLKC
(ビーラブ掲載)
☆あらすじ☆
音村いづみ、28歳。「死体役」ばっかりやってる売れない女優。
ところが「この人に撮ってもらいたい」とあこがれていた映画監督が引退してしまう・・
そんな折、「声がいいから」と「司会の仕事」を紹介された。
結婚式の司会ならやったことがあるしと仕事を受けたいづみだが、行ってみるとそこは「葬儀場」…⁈
人生の集大成・葬式。
売れない女優が「最高のヒューマンドラマ」に挑む!
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祖父が亡くなってから、もう二年経ちます。そろそろ「三回忌」です。
それまでは脚立に乗りながら柿をもいでいたのに、倒れてから五ヶ月、あっという間でした。
大往生でしたけれど、悲しいのは変わりない。
葬儀場には祖父の写真ややっていた書道の掛け軸が飾られました。
しかし実を言いますと、祖母は30年以上前になくなっています。
当時は自宅で葬儀をするのが当たり前で、祖母の知り合いが仏具をもって鳴らしたり棺の釘を石で打ったりしていました。あれこれ棺に入れてましたし、好きな服も着ていたと思います。
で、祖父はといいますと・・パジャマの上に綿を重ねていき白装束のように見立てる状態でした。
おそらく今は「炉を傷める」などの事情があり、棺に入れる物の制限もされているのだと思いますが・・なんというか割り切れないものもありました。
さて、なんとなく書店で「面白そう」と手に取った漫画です。
「僧職系女子」が終了して寂しかったんですよね。誰もが避けて通れない「死」をめぐるお話は好きです。
読んだら途中でボロ泣きしてしまい「ううう・・・当たりだ…」と思いました。ちゃんと発売日に買えばよかった。
美人だけど「薄幸そう」な女優、音村いづみ。
巨匠の映画にあこがれ「いつかあの監督に撮ってもらうんだ」と上京したものの監督が病気で引退。
少々心が折れていたところマンションの階下にある花屋の杉浦くんが司会の仕事を紹介してくれます。
彼はいづみの「声がいい」という。そしていづみも司会は経験あり。
結婚式の司会だろうと思って引き受けたら…その逆、葬式の司会だった。
葬儀プランナーの産神はクセのあるキャラで「ドラマなんか見ない、嘘くさくて」と言い出す。
いづみはむっとしますが、答えは冒頭の抜粋です。
葬式と結婚式は見ていると「その人そのもの」なんですよね。
私は結婚式のバイトをしていましたが、「ああ、この夫婦はこれから先幸せだな」と思ったりその逆を考えたりしたものです。
人生の儀式、もう一方が「お葬式」です。
ドラマよりも生々しい、濃厚な物語が展開します。
死体は演じているけれど、死体を送ったことはない。いきなり葬儀の世界に飛び込んでしまったいづみ。
こういうお仕事漫画だと「素人」が「何も知らないから」いきなりポカをやらかすかな…?とハラハラしたのですが、いづみはさすがに女優として経験があり司会はそつなくこなしていました。
最後の最後でプロになり切れなかったけれど。
これがまず「当たり」ポイントでしたね。最近「お仕事漫画(ドラマ)のお荷物素人」を見るのに飽きています。
誰でも最初は素人だけど、それ以上に余計な事をやったり考えられない失敗をするので。
いづみも余計なことをしますが、彼女の「経験」が生きていました。
それから作者さんの絵がうまい。いづみは地味だけど「パッと見て美人」だとわかりますし・・葬儀では避けられない「お年寄り」の書き方がとてもうまい。
「かわいらしいおばあちゃん」をそのとおりそのまま描ける人、なかなかいないなあと思ったんです。
(たしかマーガレットで書いてた人だと思うんだけど…コミカライズも多かったような)
そしてプランナー産神のとんでもない技術。
今は葬儀業も「競争」の時代ですから、サプライズイベントもあるんですね。へー、へー、と思いながら見ていたら…なくなった女性の「着替え」を布団をかぶせたまんまササッとやってしまうのです。
これは昔からもしかすると葬儀屋さんがやってきた仕事なんだろうなと思うんですが・・私の祖父が「そうでなかった」ことを考えると今できる人は少ないのだろうと思いました。
あとはもう、泣かずにはいられないですよ。いづみのように「身内の葬式を経験したことがない」人を除けば、読みながら親類の葬儀を重ねてしまうでしょう。そのくらいよく葬儀が描けていると思いました。
ただし、まだ1巻では比較的「円満な」葬儀しか出てきていません。
「直葬」や、「遺産で揉める葬式」とか「若くて悲痛すぎる葬式」を経験していくのでしょう。
しかしいづみの感じからして致命的なミスはなさそう。安心感があります。
おすすめです。
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