- 絢爛たるグランドセーヌ(5): チャンピオンREDコミックス/秋田書店
- ¥607
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「本番前はいつも怖い
どんなに集中して どんなに練習しても
まだまだ私たちよりもっとうまい人がいるのに
その人をさしおいて
今自分がこの舞台に立つ
それがなんで怖くないっていうの?」
絢爛たるグランドセーヌ5巻
Cuvie(キュービー)・チャンピオンREDコミックス
(チャンピオンRED掲載)
☆あらすじ☆
バレリーナに憧れる小学生の有谷奏。鋭い観察力を持ち貪欲に自分の力にする才能の持ち主。
さくらとの対決から一年、奏は6年生になった。
翔子と一緒に「眠れる森の美女」のダンサーオーディションを受ける奏、一回は補欠で受かるも、捻挫をしてしまう。
悔しい奏だったが「怪我でもやることはある」と梨沙がバレエの歴史について教えてくれる。
一方翔子は、舞台に出た後父親と衝突してしまう。
バレエという不確かな世界を単に否定しているわけではない、その父親に翔子と奏は・・・
華麗なるバレエの世界に飛び込んだ少女が力強く、伸びやかに舞う!!本格的バレエ漫画!!
☆☆☆
バレエは少女の夢で、チュチュは乙女ちっくの象徴で、バレエ漫画は少女雑誌に掲載されるもの‥。
それが「チャンピオンRED」という青年誌に掲載されています。なんというミスマッチか?!
しかしバレエのすみずみ(お金の問題とか、足を慣らす方法とか)まで描写する本格的バレエ漫画なのです。
主人公の奏は平凡な家庭に生まれ、特に身体能力や感覚がいいキャラではありません。ただしのめり込むタイプで素直、上手い人を妬んだりせずそこから技術を貪欲に取り入れます。誰とでも仲良くなれる明るさも才能ですね。
少年漫画のヒーローが女の子になっただけ、と言えなくもありません。だから少女漫画のように湿っぽくならない。
さて、5巻。まったく息切れしないですね。
上達することでの「苦悩」にもぶつかってきてますます面白くなっています。
今回は翔子の話が中心でしょうか。
翔子は奏より一つ上、奏と同じバレエ教室で一緒に頑張っている「仲間」であり「ライバル」であり、なにより「親友」でしょう。
翔子は走り出したら止まらない奏と違って、落ち着いていて練習熱心で真面目。
現在は私立の中学に通い、いずれ留学も考えています。お金持ちなので進路は問題ない。
ところが、翔子の父親は翔子が「お稽古」ではなく「本気で」バレエをしているのを知り、教室に行くなと言いだしたのです。
現在日本人ダンサーが海外で賞を取ることは珍しくなくなりましたが、それはほんの一握り。
翔子がプロになる確証は一つもなく、挫折するのがほとんど…
そういう「ふわふわとしたもの」を追い求めているから父親が反対している…というならまだ簡単だったかもしれません。
翔子の父親には、翔子の知らない「すごい過去」があったのです。
夢を見て、練習して、苦痛に耐えて。それを経験しているからこそ、翔子を心配している・・・
このくだりを読んだときやっぱりこの漫画には他のバレエ漫画にないものがあるなと思いました。
他の漫画にはあるんだけどバレエ漫画にはなかったというものか。
今までのバレエ漫画は少女漫画でしたから、主人公の視界から見えないものは描かれなかったというか。
この漫画が「青年漫画」のカテゴリだからできたことだったのかな・・?
そうでもなかったのかな?
どうしても「トウシューズに画鋲」「嫌がらせといじめの世界」が拭い去れないと言いますか。
絵麻に翔子が言ったこと(今回の抜粋)、奏がバレエの歴史に触れて感動したこと、翔子の悲痛な叫び、翔子の父親の重い言葉、母親の言葉、ピチカートを踊るにあたって咲希に言われた痛ーい言葉…
いろんな感情を帯びていて、辛い言葉もある。
でもみんなそれぞれを生きている。
この漫画は本当に味わい深い。
私は願っています。この漫画が長く長く続くことを。
奏たちが無事に大人になるまで読みたいのです。
たとえ、プロのバレエダンサーになれなかったとしても・・・
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