弟の夫(1) (アクションコミックス(月刊アクション))/双葉社
¥670
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「こっちで良くて
あっちがダメなんて
そんなの変!」


弟の夫1巻
田亀源五郎・アクションコミックス
(月刊アクション掲載)


☆あらすじ☆
小学生の娘・夏菜と二人暮らしをしている弥一。ある日、カナダ人のマイクが弥一の家を訪ねてきた。
弥一は訪問を知っていたし、迎えるつもりでいた。しかし気持ちは複雑だった。
何故ならマイクは亡くなった双子の弟・涼二の結婚相手だったからだ‥

「ゲイアートの巨匠」と呼ばれる作者が一般誌に登場。愛のかたちとはなんなのか、問いかける作品。


☆☆☆

色んなタイプの作家さんが雑誌を移動してそこで「化学反応」を起こすことは珍しくなくなってきました。
BL作家が一般誌に出て売れっ子になるのもよくあること。しかしまだ触れられていないジャンルはあります。その一つがゲイ作品。

私はこの漫画がバカ売れで重版かかったときいて買いましたが、田亀先生の既刊については全く知りません(ハードらしいですね)。この漫画は家族モノですが中心に「同性愛」が存在します。しかも、BLとはかなり違うもの。逆にBLがファンタジーですから‥


さて、読んでみるとかなり価値観がひっくり返ります。同性愛について偏見ない立場でいようと思っていても、全然理解できてないと思い知らされる。
今年のあらゆる「漫画賞」待ったなしの作品だろうと思います。


主人公の弥一は女性と結婚し娘がいます。しかし双子の弟は恋愛の傾向が違い、カナダへ移住しマイクと結婚。ところが一ヶ月前弟は突然亡くなる。残されたマイクは日本へ。

マイクは愛した人の生まれ故郷を訪れ、そして家族にも会いたかったわけです。が、弥一と弟の涼二は瓜二つ。


ここでBL脳を働かせると、「瓜二つの主人公にカナダ人が惚れ込んでしまい、ノーマルだった主人公もだんだんほだされて」というストーリーが出来てしまいます。


それは弥一も同じだったようで、会うなりマイクに抱きしめられ、拒否反応が出ています。

同性愛者と異性愛者。
双方当たり前に生まれ、当たり前に生きているのに、その溝は深い。


しかし娘の夏菜は違います。冒頭の抜粋(カナダでの同姓婚は認められているが日本ではアウトな件)のように、素直な心で見つめる。夏菜は新しく現れた「カナダ人のおじさん」が嬉しくて、マイクと仲良くなります。
子供にはそんなものかもしれません。


一方、マイク。
「男だからなんでも好きな訳じゃない、お前だから好きなんだ」これがBLの常套句ですけれど、彼も同じです。
いくら恋人と瓜二つの兄だとしても、それは失われた思い出の「かけら」でしかない。彼はそれをわきまえています。酒に酔っても弥一に感じるのは恋愛でなく哀しみです。


そんな二人の反応に少しずつ変わっていく弥一。両親はすでにいませんし、涼二の事は夏菜にも黙っていた。彼は家族への想いを封印していました。
この漫画は同性愛についてだけでなく、弥一自身が家族を振り返る物語だったりします。

彼にもいろいろと謎があります。彼の職業がまず一つ、そして巻末で「えっ?!●●●じゃなかったの?!」という驚きもありまして、続きが気になるところです。一巻は三人だけで話が動いていましたが、これからいろいろな人が現れ、きつい展開も予想されます。
いや、それナシで話が動くかも。私なんぞが予想する「偏見や差別のイベント」など、作者にとって陳腐かもしれません。


とても衝撃的であり、かつゆったりした物語ですが、気になる事はあります。

まだ初期の初期だからか、「同性愛」についてのレクチャー漫画、という感じは否めない。
モーニングやビッグコミックなどの青年誌では、とあるスポーツやとある食べ物などの「ウンチク」で読者をうならせ楽しませる部分があります。
それと「同性愛」が同列になってるような気もする。

しかし説明する必要はありますし、とにかくLGBTには誤解が多くてもどかしいものです。


ここを読んでいるみなさんはどんな愛情のカタチを持っていますか?
「私は正常だ」と仰っても、それはあなたの一つのカタチでしかないのです。

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