- 中卒労働者から始める高校生活(1) (ニチブンコミックス)/日本文芸社
- ¥600
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「なんで俺ばっかり‥
俺だってふつうがよかった‥!!」
中卒労働者(ワーカー)から始める高校生活1~2巻
佐々木ミノル・ニチブンコミックス
(コミックヘヴン掲載)
★あらすじ★
片桐真実(まこと)、18歳、中卒。父が刑務所に入り、母は事故死。妹の学費を稼ぐために学校を諦め工場で働いている。
現場で指揮係になれると思った矢先、コネ入社の大卒に係を奪われる。しかも「中卒」をバカにされた真実は、妹と一緒に「通信制」の高校へ入ることにした。
76歳の老人、シングルマザー、玉石混淆の同級生の中、真実はお嬢様の莉央と出会う。
なぜ彼女が通信制に?笑わず他と関わろうとしない彼女と真実はぶつかる。ぶつかる、ぶつかる‥そして、見えて来たものは‥?!
通信制を卒業した作者が紡ぎ出す、心にぐいぐい絡み付く青春ストーリー。
☆☆☆
1巻は新宿の福家書店で見つけました。「中卒」という単語と表紙のアンバランスさが非常に気になったのです。
タイトルが長いので何かラノベ系のノリかもしれないな‥と恐る恐るページをめくりましたが、これがなかなか重い。ズシンと来ました。
主人公は最近の漫画では珍しいタイプだと思います。
母を亡くし父は服役中、親戚に住み処は与えられるも同居は拒まれ、負けるものかと工場で働いてきた。しかし中学の頃は優等生で、学校への憧れもあった。
大卒の人間に「中卒で働いてるなんて泣けるね」と言われると途端に拳が出てしまう。
周りは中卒の自分を笑ってるんだ、底辺だからバカにしてるんだ、周りはクズだらけだ、そんな卑屈な感情が渦巻いています。
妹の真彩に対してはしっかり育てないと、という責任感がありいつもは非常に実直な青年。
‥が、その真彩がとんでもないバカで、「名前を書けば受かる」高校に落ちてしまいます。受験しなくても入れる通信制を教師に勧められた真彩は、一緒に行こうと言い出します。
通信制は週1のスクーリングとレポート提出で単位が取れるため、働いていても通うことができる。だから生徒は年齢も境遇もバラバラ。
ところが真実は見るからに育ちのよさそうな美少女・莉央と出会うのです。新という「お目付け役」をそばに置き、つんけんしている。男性に触れられるのを強烈に拒み、どこか諦めた目をしているお嬢様。
家のお金でどんな学校にも行けるはずの彼女が何故通信制にいるのか。真実は彼女に惹かれるも、自分の卑屈さに負けて莉央と言い合うばかり。
莉央が真実を拒むのは別に、油まみれだからじゃない。格差ではない。
莉央には、深い深い、誰にも言えない心の闇があるのです。
2巻で理由が明らかにされるのですが、犯人は非常に卑劣で、莉央を巧妙に追い込んでいた。
こんなんやられたら私も誰にも言えないわ‥と身震いしました。
で、コミックスを読み終わって巻末を見てびっくり。この漫画はどうやらコミックヘヴンという「美少女雑誌」に掲載されているらしいのです。他の連載の紹介もあるのですがどう見てもジャンルが違う。というか、絵柄はどちらかというと少女マンガですし、美少女そんなに出てきてないよ?と首を傾げてしまいました。
‥2巻で一旦話の区切りがつきますので、是非一気に読んでいただきたいです。
バカだけど底抜けに明るい真彩、シングルマザーだけどデパートで売上トップを守りつづける若葉、その娘で学校のアイドルになってるひなぎくなど、女の子キャラがかわいくキラキラしているのですが、全体にわたってほの暗い感じがつきまといます。
青春は眩しいかもしれない、だけどそこからこぼれる人間は確実にいて、彼らにもたらされるのは光ではなく影。
その中でも一生懸命学びあい進んでいく群像劇という面もあります。
真実は自分の闇とどう折り合いをつけていくのか。沸き上がる劣等感が邪魔をし、莉央を傷つけるばっかりになってしまう。それでも2巻のラストは痛々しく、辛く、悲しく、熱いです。
作者も通信制を卒業しており、リアルな部分も描写されています。地域で集まって勉強しあう「支部会」というのも初めて知りました。
私にも進路の「選択肢」があったらな、と今はしみじみ思います。私の時代、私の住む町にはなにもなかったし私は無知だった。
学ぶとは何か、生きるとは何か、戦うとは何なのか。
青年誌だと「テーマ」があればそこに終始していくのですが、これは雑誌のカラーなのか恋愛を織り交ぜて重い話とバランスを取っている。美少女モノ、あなどれない。
掘り出し物の漫画だと思います。
- 中卒労働者から始める高校生活(2) (ニチブンコミックス)/日本文芸社
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今調べたらこの作者さんジャンプスクエアで描いてたんですね…!
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