國崎出雲の事情 14 (少年サンデーコミックス)/小学館
¥440
Amazon.co.jp


「お互いなりたい自分と才能がかみ合わないけど、
その自分を受け入れつつ高みを目指していくのも
また一つの強さなのよね・・・」


國崎出雲の事情14巻
ひらかわあや・少年サンデーコミックス
(週刊少年サンデー掲載)


★あらすじ★
國崎出雲16歳、男。しかしそこらの女の子より超絶かわいい!!
息子萌えの父が危ないので別居していたが、歌舞伎一家の國崎家へ戻ることになってしまった。
腐っても國崎家の跡取り、梨園が放っておくわけがない。
男にばっかりモテて苦しむが、ずっと嫌っていた「女形」に何度も挑むことになる?!

新年のあいさつ回りで出会った役者、駒野に「ナヨナヨしてる」と言われた出雲。
駒野は公家悪を得意としていて、出雲を次の演目「女暫」に抜擢する。
後輩に嫌がらせをしていながら悪役の存在感は圧倒的。しかし、彼の本当の姿を知った出雲は・・・?

また、紗英に愛されている出雲に「新たなフラグ」が立っちゃう?!

女の子にしか見えない出雲と梨園のイケメンが新しすぎる世界をを開くカオス漫画!!
ラァブも新展開の14巻。


☆☆☆

少年漫画における「男の娘漫画」というのは、かわいすぎる男の子に他の男子が翻弄されるものであり、それが面白さでした。
この「國崎出雲~」もそういう漫画だと思っていたのに、求愛し続けてきた紗英に対し12巻で出雲が振り向いてしまいました。出雲は現在紗英のことで悩みまくっています。
大手出版社の漫画でガチなモノが始まるのは衝撃です。


さて、前巻から出雲は大人の役者と競演するようになってきました。演目もバリエーションが豊かになっていますね。
今度は公家悪がアタリ役の役者、駒野蝶介(コマさん)が相手です。

見た目は「マツコ・デラッ●ス…?」という感じでもちろんオネエ言葉を使ってます。
しかも「ワイルドな役者が好み」ということで紗英と梅樹に密着し壮絶なイヤガラセ(笑)をしまくり。御曹司たちはコマさんが怖くてしょうがない。
それでいて悪役を演じるとすさまじい威圧感を発揮し、出雲はすくみあがってしまう。

一体彼(彼女?)が持つ力の源は何なのか?
…彼はかつて幸嶋庵寿郎のような女形を目指していましたが失恋(相手は引越し屋のお兄さん…)をきっかけに憎しみを役に生かし悪役の道を進んできました。
愛しても愛されないなら、好きなことをやって周りを恐怖で固めていく。
これは歌舞伎の悪役や時代劇の悪役の姿そのものかもしれません。
人は恐怖でいくらでも従えることができる。しかし、それはとても空しい。

「女暫」は「暫」の主役をそのまま女形にあてはめたものであり、これぞ勧善懲悪!な演目です。
正義は正義で、悪は悪。そして悪役は倒されてしかるべき。
しかし出雲はコマさんの「偽りの威圧感」に気付き恐怖心を振り払い正面から立ち向かいます。
幕切れは勧善懲悪そのものでしたが、二人にとっては全く違う結果になるのです。

一緒にいるだけで逃げたくなる相手というのは誰でもいると思います。
しかしそれを憎しみにして相手を倒しては何も始まらない。
出雲はコマさんの寂しさを理解し歩み寄り、コマさんと「呼吸」を合わせるまでになります。
よく考えると現在紗英が気になってしょうがない出雲ですから、コマさんの失恋も「気持ち悪い」とは思わないわけです。
また冒頭のセリフのように、二人ともギャップの悩みもある。似た者同士なのかもですね。

ただ、出雲側が「歩みよってやんよ」という感じがしまして、私はそこがちょっと納得いかなかったりし何度もこの話を読み返すことになりました。
「あの人は本当は弱いんだ・・・」と出雲が決めつけたように感じた部分もあったので。


さて14巻はもう一つ、とんでもない展開があります。

出雲が働いているメイド喫茶のNO.2、橘杏李ちゃん。彼女はNO.1の出雲に対しライバル心をむき出しにしているのですが、ピンチの時に出雲にかなり助けられておりその時ドキドキして困っているのです。出雲はバイト先で「女の子」として働いているので。

ですが、「それって、本当は男の子じゃないの?」とクラスメイトに指摘され杏李は動転。
いろいろな騒動の末、出雲が男であることを知ることになりました。

そんなわけで「私はアイツにドキドキしていいんだわ!」となった杏李ちゃん。
ついに出雲も普通に女の子から愛されることになったのです!
おめでとう出雲!


幼馴染の柚葉をさしおいて「本命ヒロイン」の座を獲得した杏李。
しかしこの漫画には「本命王子様」が存在するんですよねえ・・・
杏李と紗英を同じ位置に並べてみると彼女は「性別が女の子」という事くらいでしかアドバンテージが取れてないなと感じてます。現在は、ですが。

まず杏李の気持ちが出雲に伝わってないこと(杏李の性格上そんな簡単に気持ちを明かしたりしないと思いますが)。

そして正体を知った途端、安心をしたこと。

紗英も紗英で出雲のことを「歌舞伎のために男装してる女の子」と勘違いしたままなのでどっちもどっちと見て取れるのですが、前の巻で潜在的に気づいてるんじゃないの?という態度をとっているんですよね。
紗英が出雲の性別を知ったら、どうなるのか。

しかし出雲を男だとわかった上で意外とまんざらじゃないキャラクターがいたりします。
松樹は最初出雲を國崎屋のメイドと思い込んで告白寸前まで行きかけました。男だとわかったので思いとどまっていますが結局今もメイド喫茶に通い詰めているんですよね。
梅樹との仲をつないだ恩を忘れていないし、ちょくちょく出雲に「お前の良さはどんな奴も内に引き入れることだ」とアドバイスをしていたり。今回もコマさんについて的確なことを言ってます(ただしコマさんと梅樹を重ねているようです)。
松樹は今もまだあきらめてないような気がするんですけれどね。

そして、杏李はなぜか出雲の好きな人を松樹と勘違い。杏李からしてみれば紗英なぞただのアホにしかみえないでしょうから当然かもしれませんが、杏李と松樹の組み合わせも面白いよなあと思ってます。


オマケ漫画も相変わらず恐ろしいテンションですね。
三番目のやつはつい右手でガッツポーズとってしまいました。何に勝ったのかって話なんですが。

にほんブログ村 漫画ブログへ
にほんブログ村