- 「ラブコメディ」とは何か―?混迷を極めている今日この頃。 そして面白いラブコメがなくて悩んでいる人にお勧めしたい一冊です。
- 実は私は 1 (少年チャンピオン・コミックス)/秋田書店
- ¥440
- Amazon.co.jp
「それはとても当たり前のことで
それはとてもありふれていることで
例えば少し人と違う・・・そんな秘密
だから『これ』はそんなに珍しいことでは無いのかもしれない―」
実は私は1巻
増田英二・少年チャンピオンコミックス
(週刊少年チャンピオン掲載)
★あらすじ★
思っていることが全部顔に出てしまう「アナザル(穴の開いたザル)」、黒峰朝陽。
それでも必死で守り通してきた秘密がある。それはミステリアスなクラスメイト白神葉子への恋。
いつも無表情で言葉少なく、でも学校は楽しいようで毎日来ていて、誰よりも早く登校し誰よりも遅く帰る。
そんな彼女と近づきたい―玉砕覚悟でアタックした黒峰だったが、そこで白神のとんでもない「秘密」を目の当たりにしてしまう!?
「透明人間の作り方」「さくらDISCORD」で圧倒的な実力を見せつけチャンピオン読者の心をひきつけてやまない増田先生の最新作!
ツンデレも優柔不断な主人公もいない!
ど直球でいながらギャグも楽しめる最強のラブコメディ!
今読まないと、損をする!
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最近のラブコメはいろいろと行き詰まっている、そんなことを思う人は多いのではないでしょうか。
何を読んでも「ツンデレ」と「優柔不断な主人公」にぶちあたります。
「あ、あんたなんかぜんぜん好きじゃないんだからね!」顔を真っ赤にしながら主人公を罵倒する女の子。
しかしよく考えてみると好きな男子にどうしてそんなことが言えるのかと思ったりします。照れ隠しだとしても、主人公が空へ飛ぶほど殴るのは何故なんだろう。病気でしょうか。
さらに言いますと、主人公でなくても男なら「全然すきじゃないんだから!」と誰でも殴っちゃう女の子が存在するラブコメもあります。これは確実に病気です。医者に行った方がいいでしょう。
また、ラブコメではいろんな女の子に愛される主人公がつきものです。
主人公が一人を選んで他の女子を拒否すれば物語が終わってしまうからです。
読者の中には本命でない女の子のファンもいますから、主人公がその女子を振れば大変なことになる。
だから主人公はいつもあいまいな態度をとって女子と関係を保ち、そして最低の男になっていくのです。
…正直、ツンデレも最低男もおなかいっぱいです。もう見たくないのです。
しかしラブコメを長続きさせるためにはこの二つの要素が不可欠。
だと、思っていました。
増田英二先生は前作「さくらDISCORD」で青春ぶっちぎりのラブストーリーを堂々と完結させました。
恋をすることの恥ずかしさ、思い返したら赤面するような青春群像をごまかすことはありませんでした。
正直、増田先生の漫画はセリフ回しとかキャラクターの動作が「クサい」です。しかもちょっと古い。
でも、「さくら」のなかにツンデレと最低男はいませんでした。
そして満を持して現れた新作「実は私は」。前作と違いマジメ度はかなり薄いです。かなりギャグ。
しかし、どこをどう読んでも、やはりツンデレと最低男は出てこないのです!
黒峰朝陽は思っていることが全部出てしまう主人公。しかもバカです。白神葉子への恋を「秘密」にしているつもりでしたが、周りはみんな知っていました。
白神葉子はいわゆるクールビューティーで口数が少なく物静か。ミステリアスな雰囲気を醸し出していたのですが、
…実は、吸血鬼。
と言っても、日に当たっても灰にはならずものすごい日焼けをするのみ。キバを隠すため会話を極力してこなかったが実は関西弁で明るいし、カンオケは高級品なのでなかなか買えない・・・という残念な設定だったりします。
しかも片づけられない系の女子だし、食欲旺盛だし。
正直、アホです。
しかも「アナザル」黒峰の想いに全然気づけないというものすごい鈍感。
黒峰は素直でアホかわいい白神を発見し、さらに恋を深めます。そして「バレたら退学」だという白神のために必死で彼女の秘密を守ろうと決意するのです。
白神、すごいかわいいです。外見はきつめ美人ですが、素直でバカで好奇心旺盛で黒峰の頑張る姿をきちんと評価する女の子。しかし「鈍感」であるために黒峰とぜんぜん上手くいきません。
これが物語を長続きさせるポイントになっています。
そしてだんだんと女子キャラが登場し「ハーレム漫画」の様相を呈してくるのですが・・・黒峰は最低男にはなりません。
幼馴染の朱美みかんは外道女で、人の嫌がることが大好き。黒峰とは変なとこで対立関係にあります。
おそらくは彼に「恋愛感情」を持っているかと思われますが、それ以前に黒峰(どころでなく全員)をハメることばっかり考えています。
また、白神の前に黒峰が恋した真面目委員長の藍澤渚。その時藍澤は完膚なきまでに黒峰をフるのですが、白神に近づいている黒峰を見てモヤっとしてきます。さらに藍澤もとんでもない「秘密」を持っており…それがバレて…
藍澤はツンデレの一種かなと思うんですが、まじめな分冷静に物事を眺めることができるキャラクターです。巻末まで読んでいただけるとわかると思うのですが、黒峰にある意味の信頼を抱くのです。
藍澤も「バカ」のつく真面目なんですけどね。
次巻以降もいろいろな女子が登場しますがあくまでも黒峰は白神だけを愛しています。目移りはしませんね。
というか、どいつもこいつもバカすぎて話にならないんですが(笑)。
みんなバカで愛おしいです。
というわけで、「バカ」と「鈍感」でラブコメは持続するんだなあ…と思いました。
時々恋愛そっちのけでバカ丸出しのギャグ話が差し込まれていたりします。とくに3話目、「弁当を食べる」だけの話なのにどうしようもない女子のバトルが発生し爆笑してしまいます。
これはシチュエーションコメディの形も取っていまして、笑った後によーく読むと構成の絶妙さに気付くのです。
ぶっちゃけ、アクションもホラーもミステリーも描ける先生なんです。
話の組み立て、フラグにブラフ、その回収も全部できる。
なのに「バカなラブコメ」をあえて描いてくる、その姿勢が素晴らしい。
しかもその仕事に誇りを持ち、丁寧に漫画を描いている。
この先「ラブコメ作家」といわれてもクサることはないと思います。
この漫画が「チャンピオン」というレーベルに埋もれず評価されることを強く願います。
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