アゲイン!!(8) (KCデラックス)/講談社
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「ロミジュリやるにはぜんっぜん人数が足りないんだよ
シェイクスピア劇はセリフがクソみたいに長くて難解で多いんだよ
蜷川幸雄が演出したって早口で訳分かんねーのに
演劇素人がいきなりやって
覚えられるようなそんなもんじゃないんだよ
シェイクスピアは!!」


アゲイン!!8巻
久保ミツロウ・KCDX
(週刊少年マガジン掲載)


★あらすじ★
今村金一郎は高校三年間を友達も思い出もなく終えようとしていたが、藤枝暁(アキ)と階段から落ち三年前に戻ってしまう。
高校生活をやり直せる?!

応援部の廃部を食い止められたはいいものの、いきなり「目的」を失って茫然とする今村。レオは告ってくるし、ヒロはアゲインでウザいし…
しかもヒロは「将来アイドルになる女子が学校にいるから関わっとこうぜ」と言い出した!
ところがその花高、ブスでズボラなどうしようもない底辺女だった。ほっとけなくなった今村は、彼女の演劇部を「応援」することになったが…?


「トッキュー」で高い技術を発揮し、「モテキ」で男女の恋愛の深淵を掘り起こした久保ミツロウの青春群像劇。

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

7巻の感想をすっ飛ばしていますが、「応援部編→演劇部編」への移行期間なのかなーという感じで特にどうって感想が起こらなかったんですよね。
レオが頑張っていたのは分かるんですが8巻を読むとその「前置き」だったんじゃないかと思えるし。
そしてヒロが非常にウザかった。やつは…ラスボスなんでしょうか。
アゲイン!!(7) (KCデラックス)/講談社

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でも、8巻を読んでいろいろとモヤモヤモヤモヤしてきました。

私は先日「山田くんと7人の魔女」について「描かなくていいものを描かない漫画」と説明しました。
少年漫画というのは本来こういうものであり、コマとコマの間に「時間」が流れていることがあります。
わざと離すことでギャグにすることができますし(4コマはとくにそうですよね。情報量が限られてるし)、読者はいろいろと行間を想像することができます。
漫画家は「どこを強調すべきか」「何を伝えたいか」を考えながらコマの取捨選択をしています。
楽しい漫画にしたいなら、悲しい部分はメリハリに使うだけにして極力避ける。
戦う漫画にしたいなら、ラブコメ部分は切り取る。
でも、「匂わす」ぐらいの提供はするわけです。

ただ漫画を読みなれた大人が少年漫画を読みますとツッコミどこ(省略した部分)が目についてきて鼻で笑いだす。だからツッコミどこを全部拾う小難しい「大人漫画」が登場したのです。
少年漫画はトンデモスポーツ漫画が多かったので今は大人漫画の成分が逆流してとてもいいことになっていますが、私は大人になりきれませんので、「山田~」みたいな漫画を読むとホッとするんですよね。


で、「アゲイン」はその逆。描かなくていいものがどんどん出てきて困ってしまう。
久保先生は「モテキ」を通過したことで青年漫画家になっちゃっているんです。マガジンに戻ってきてもスタンスはそのまんま。もうトッキュー時代には戻れない。


8巻を読んで過去のいろんなトラウマをつっつかれた思いでした。
実はオタク女子は意外と演劇部に所属しているのです。私の周辺で「部活何やってた」と訊けば「美術部」か「演劇部」のどちらか。
そして私も、演劇部。
久保先生も演劇部。みんな同じところを通ってるんですよね・・・おそらくね、演劇って自分で脚本も書けるし演技をして自己顕示欲を満たすことができるからなんだと思うんですよ。


花高はブスで、人の話を聞いていないもしくは覚えていなくて、いい加減な返事や謝罪をして周りをイライラさせるどうしようもない女子です。それなのに演劇部に所属しているということは、まさに「痛々しさ」そのもの。

最初彼女をみて「なんだろうこの子は、ブスで自分に自信がなくてオドオドしているまでは分かるんだけど人の言ってることを覚えてないあたりは何かアレな方向か?」と思っていたんですが・・・今村達応援部が演劇についていい加減なことを言い出してブチ切れ、冒頭のセリフ(さらに20行ぐらい続く)を吐き出すのです。
つまり花高は演劇が非常に大好きで、好きで好きでしょうがないんだけど自己嫌悪が邪魔をしてどうしていいかわからずグルグルしていて頭の中がいっぱいで、だから他のことが見えないだけなんでしょう。


さて、冒頭の抜粋について。
まあここは久保先生をはじめ演劇部に関わっていた人間なら全員が「わかる」話だと思います。
演劇部をモチーフにした漫画って結構ありますよね。でも、だいたい彼らがやるのはロミジュリだったり童話だったり。それを見て「ふざけてんなあ、でも漫画だからしょうがないか」と思ってしまう。
実際の演劇部って、ものすごい地味で悲しい存在なんです。漫画のような演劇部なんて地域に一つあればいい方なんですよね…

花高の「その後」を含め、よくもまあ久保先生はここまでぶちまけたなあと思いましたが…同じ立場の痛い私すら「いいぞもっとやれ」とは言えない。
マガジンを水曜日の楽しみとして買う読者(男子高校生~会社員)はどう受け止めていいか戸惑ってるんじゃないかと。


「描かなくてもいいものを全部書く」「吐き出す」というのは漫画の一つの手法になりつつあるんですが、久保先生が恐ろしい何かに変わっているような気がします。
今村と花高は同じ人種ですが今村はまだ「男」だったから婉曲フィルターがかかっていた。
ですが女の花高はもう、久保先生そのものです。
最近露出が多くついにオールナイトニッポンのレギュラーにまでなっちゃいましたが、いずれ先生のお仕事が「漫画を描くこと」じゃなくて「自分をさらけ出すこと」になってしまうんじゃないのかと。
アゲインが最後の漫画作品になったらどうしよう。もう漫画描かなくても食っていける人になってますし。


そして、なぜアゲインが応援部編で終わらず「演劇部編」へ続いちゃったのか。
これは引き伸ばし…としか言えない気がします。おそらく将来メディア化が約束されていて、それまでは続けなきゃいけないんでしょう。
まさか先生それに対して全力で…?
マガジンの掲載順は人気と関係ありませんが、最近ずっと巻末の気がするんです。


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