キミは宙のすべて 1 (フラワーコミックス)/小学館
¥420
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「オレだってなりたくてなったわけじゃないよ
本当の母親が死んだのも父親が再婚したのも
‥だからオレと莉花が出会えたのは
悲しいこと乗りこえたごほうびなんだよ」


キミは宙のすべて1巻
能登山けいこ・ちゃおコミックス
(ちゃお掲載)


★あらすじ★
三国莉花、笑うことが苦手な中学生。彼女の両親は離婚し、父親が忙しいため家ではひとりだった。
再婚した母親の様子を見に行こうとした莉花は一人の男の子と出会う。
明るく思いやりのある少年・源星夜。実は再婚相手の息子だった。あたたかく賑やかな源家に迎えられた莉花は‥?

子供では太刀打ちできない理不尽な悲しみを受け入れ、幸せになろうとする女の子の姿を描いた「今いちばん親子で読んでほしい」ちゃおの正統派漫画!!


☆☆☆

「恋×カギ」「放課後エデン」で大ブレイクし、ちゃおの看板になった能登山さん。ド直球の少女漫画を毎回楽しむことができる大好きな作家さんです。


少女漫画とはなんぞや!

恋だ愛だいってるだけがしょおじょまんがではありません。主人公がいかに成長していくか、それが日常(恋愛)を通して描かれるもの。最近主人公が全く成長しないままイケメンとうまくいってしまう漫画が多くなり、少女漫画イコール恋愛と見られてしまいます。


今回の「キミソラ」は恋カギと同じく家族がテーマです。
母親の再婚相手には三人の子供がいて、莉花はその一人・星夜を好きになります。

その一方でいつも家にいる小説家の旦那さん、優しい子供たちに囲まれ幸せそうにしてる母親を見て、嬉しいけれど取り残された気になる莉花。


昔に比べたら‥離婚は多くなりましたよね。そして様々な理由がある。

漫画で「リコン」というと、冷たい家と怒鳴り合う両親、暴力、浮気、借金、失踪‥親に関わる話になりますよね。
絵面も派手になり目を引きますし。


しかし莉花の両親は、互いが嫌で離婚したわけではありません。父方の親類が母親をいじめ抜いたからです(かばえなかった父親は情けないですが)。
「ちゃお」だからきつい話を避けたのかもしれませんが、逆に説得力があり重い。
莉花は両親が大好きだし、両親も莉花を愛しています。自分がわがままを言ったところで関係は戻らないし、親を困らせるだけ。自分ではどうにもならない状況を黙って耐えて来ています。


能登山先生は一貫して、そういう状況を子供が無理矢理解決するのではなく、受け入れた上でどうやって幸せになるかを描いています。
莉花の前に現れた星夜も、実母の死と父の再婚を乗り越えている。しかし彼はひたすら明るく前向きで、莉花を幸せにしようと頑張ってくれる。

優しい想いは人を動かし、莉花も星夜と家族のために一歩踏み出すのです。ただし莉花はもともと他人をよく見ていて、「自分より他人」の為に行動する女の子。星夜もそんな莉花を好きになります。


教育的な漫画であり、話が出来過ぎで星夜が都合良すぎと思うかもしれません。でも莉花の両親は何をやっても元に戻らない。

「どこで踏ん切りをつけ、どこを大事にするか」。大人でも難しい主題が物語に横たわっています。


途中から莉花の幼なじみ・銀河が登場しますが、彼も「取り戻せない過去をたぐろうとしている」存在です。
小さいとき莉花を守ってやれなかった事を悔やんでいます(小学生男子じゃしょうがないけど、なんとも切ない)。星夜が現れて大切なものを奪われまいと頑張り始めますが、彼がその先に見つけるものはなんでしょうか。


そして能登山作品は親子で読んでほしいですね。友達にはどうすればいいか、好きな子にはどうやったら振り向いてもらえるか、親はどのぐらい子供を愛しているか、辛いときどうやって一緒に乗り越えるか‥
読みながら話し合って欲しいものです。


またこの単行本には前作放課後エデンの番外編が収録されています。放課後エデンが好きだった読者さんはぜひどうぞ。

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