コミンカビヨリ(1) (KC KISS)/講談社
¥450
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「夢が叶うなら他のものは手に入らなくてもしょーがないよ
あたしごときがすべてを手に入れられるなんて
思ってないからね」


コミンカビヨリ1巻
高須賀由枝・KCKISS
(KISS掲載)


★あらすじ★
明石萌、アラサーのイラストレーター。なんと、築80年の古民家購入。
古民家を買ったのには大きな理由があるのだが、ある日イケメン建築士池内慶が家を気に入り「リフォームさせてくれ」と言い出し‥?!

「グッモニ」シリーズでりぼんとクッキーを支えてきた高須賀先生が講談社で描くプチ田舎ライフ!!


☆☆☆

グッドモーニング・キスと同時発売です。最近は出版社がタッグ組んで漫画を売りにかかりますが、高須賀先生も例外じゃないようです。

しかしKISSの読者は先生をどう見てるのかな?と思いました。子供の頃はなかよしを読んで育ってるから知らない‥?
そうでなくとも高須賀先生が活躍した90年代のりぼんは読んでないかもですね。
そうだとすれば、見開きカラーが女の子のたちんぼ、周りはスプレー吹き付けただけだったりするから度肝抜かれたりしてるんでしょうか。
背景もアシさん任せですよー。


それでもりぼんを支え、現在はクッキーの屋台骨。
私もグッモニが始まるまではずいぶんごり押しされてるなあと思ってました。
ただ、なんていうか‥理論的には説明しにくい魅力があるんです。恋愛漫画で日常茶飯事のドロドロ、嫌がらせ、奪い合い等が全くない。何もないという「リアリティ」を感じさせるのです。


さてこの「コミンカビヨリ」ですが、たしかはじめは「こみんかぐらし」というタイトルだったかな、と思います。シリーズ化されたから微妙に変わったのでしょう。
また、「瀬戸内ほっこりサバイバル」とサブタイトルついてるのが講談社らしい‥つーかダサい(笑)。ほっこりはほっこりですがサバイバルはたぶんない。
あと、作者が住んでいるので舞台は松山と判断できますが漫画で言ってないのだから(東京から800キロな場所は他にもあるでしょう)勝手にキャッチフレーズをつけないでほしいものです。


主人公の赤石萌はまだ若いのに古民家を購入します。よく「独身女がマンションを買うと婚期が遠退く」と言われますが、それどこじゃねぇ設定です。
よくある「ナチュラルオーガニックでオサレなゆるふわスローライフ」でも目指してるのかと思いがちですが(実際池内はそう思った)、萌には深刻な事情が。
萌の家系は恐ろしく長寿であり、彼女は常に70年後を案じています。最近定年65歳制が叫ばれておりますが、もし百歳まで生きたらその後35年生きるわけです。
老後、稼ぎもないのにどうやって生きるのか?だから彼女は若いうちに安い家を買って貯蓄することに決めたわけです。敷地160坪で700万じゃ確かに破格。


これ、結構深刻ですよね。自分もつい考えてしまいます。
「結婚して子供作ればいいじゃん」って簡単に言えるかもしれないけど、結婚できなかったら?
結婚しても、子供ができなかったら?
子供ができても面倒見てくれなかったら?

今周りにある老後ライフの「当たり前」は、運よくゴールした人たちのものではないのかと考えてしまうわけです。

それにしても主人公の萌は石橋を叩きすぎて壊すタイプだなと思います。男性と付き合ったことがないというし、彼女は学生時代何があったのでしょうか‥?高須賀漫画なのでそこまで深刻な話ではないと思いますが。

一方でテレビにも出てしまう有名建築家の池内は何もしてないのに全てが手に入ってしまうリッチな育ち。世間を知らない言動で萌をイライラさせ古民家に「民子」と名前をつけて愛する困ったイケメンです。
彼が「民子」を通して萌もまるごと愛せるのか、萌が自分を解放できるのか、これから気になるところです。
そういえばなにげにグッモニの大家さんが出てましたね。


さて、高須賀先生の作品には少女漫画で誰も描かない「風景」があります。

モータリゼーションでぶっこわされた‥いえ、構築された「どこにでもある田舎ライフ」です。
グッモニでは菜緒が一年田舎の実家に戻り生活する時期があります。鉄道はほとんど通ってないし、買い物もめったにできない、映画館もないと言われていた場所。
ところが近くにイオンができて、クルマさえあればプチプラな服が手に入りそれなりにかわいいカフェも行ける状態になっていく。
菜緒は彼氏の上原くんより先にクルマの免許をとってしまうまでになります。
すっかり田舎の女の子としてなじんじゃうわけです。

萌も話の最初から愛車のマーチでドアtoドアの生活を展開しています。松山(仮定)だったら市電やらイロイロ走ってるはずなのにすでに使われていないということなのか?


「田舎」‥といっても、都心からちょっと離れればだいたい国道沿いにショッピングモールが存在し、通勤は電車でも食料調達はクルマという生活をしている人は多いのではないでしょうか。むしろ今日本人の大半がそんな生活かと。

しかし漫画の主人公はほとんど鉄道のある都会に住み、歩いて暮らしています。西炯子先生など地方を舞台にした漫画は多くなっていますが、その場合の地方都市は「市電」がありクルマがなくても生活できるようになっています。


多分‥漫画家はちょっとアレなんです。鉄道など公共交通が好きなんだと思います。電車やバスで起こるハプニングは魅力的ですし。私も本当は「モータリゼーションなんてアホだ」と思っています。

しかし高須賀先生にはそこいらへんの抵抗がないんだと思います。これ、今のところかなり強みじゃないかと考えますがどうでしょうか。

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