わがままなツバサ 1 (フラワーコミックス)/中嶋 ゆか
¥420
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「人間は 死んだら
なにもかも 終わってしまうの?」


わがままなツバサ1巻
中嶋ゆか・ちゃおコミックス
(ちゃお掲載)


★あらすじ★
上野紗良、12歳。中学に入学したばかりだったが病で命を終えた。
しかし紗良は全てが終わったわけではない。今まで励ましてくれた両親や親友の優しさにこたえるため、天界で「天使」に志願する。
天使になるには「ツバサ」と一体になることが必要。ところが紗良の「ツバサ」はひねくれ者で誰の言うこともきかない男の子だった。
紗良は彼に「ニコ」という名前をつけるが‥?!

ちゃおの正統派が生命と愛について描く優しい物語。


☆☆☆

子供時代の自分はホラー漫画がどうにもこうにも好きになれず、全く読まなかったんですよね。
ところが昔からどの年齢層にもホラー漫画は受け入れられていましたし、現在ちゃおでは夏だけでなく冬にもホラー増刊が発行されています。

ただし、ちゃおの場合は単なる「怖いバッドエンド」より「最後に救われる物語」の方が人気あるんじゃないかなと思います。
後者は死者が主人公に対しメッセージを届けたり、愛情を示したりします。まいた菜穂さんの漫画がそれですね。


読者の子供たちがホラーを好むのは、「未知の世界」を知りたいから。
そして、「人間は死んだらどうなるのか?」という誰にも分からない問いを探しているからではないでしょうか。


この「わがままなツバサ」は、まさにそこを突いた作品です。
この物語の中では「死んだら天使になる」という「可能性」を子供に提示しているのです。


主人公の紗良はたった12歳で天に召されます。身体をなくした紗良は誰にも見えないし、触れない。味も感じません。

そんな絶望の中でも紗良は「天使になって生前の恩返しをしたい」と決めます。12年しか生きられず、自分の無力さにうちひしがれながら命を終えても。


紗良のきれいすぎる心は思春期入った読者からすれば「うっとおしい」かもしれませんが、トシの行ったオイラからすると「このくらい良い子でないと天使になれないだろうな」と感じます。

「死んだ人がだれでも天使になれるわけではない」わけです。

なので「自分は天使になれるだろうか」「死んでしまった友達やおじいちゃんおばあちゃんは天使になっているといいな」と読者に考える部分を与えているのです。


それだけでも幼年漫画としては素晴らしいなと思いますが、天使につきものの「ツバサ」が人間の姿をしている設定が面白いです。天使の力を使うには「ツバサ」と心を一つにしなければなりません。
紗良のパートナーである「ツバサ」は天使志願者を何人も諦めさせてしまった問題児。紗良もいきなりイジメられますが、天使になりたくて仕方ない紗良は負けません。まず彼を「ニコ」と呼び個人であることを尊重します。ツバサには名前がなく、天使とは待遇が違うようなのです。
そしてひたすらにニコがいい子であるだろうと願い接し続けます。紗良の「きれいさ」が漫画の隅々まであふれています。


1巻の見所は2話目、親友だった木ノ下彩との話です。幼年漫画で長いネームはご法度。限られた台詞とモノローグで紗良と彩の気持ちがわかります。この技術はすごいです。


「未知の世界」への想像力を読者に与えた上で、「いい子は決して格好悪くない」「意志を貫く大切さ」を押し付けがましくなく表現しています。

親御さんも安心して買える漫画です。最近のちゃおは胸を張って紹介できる作品が多く、嬉しいです。


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