- スピカ ~羽海野チカ初期短編集~ (花とゆめCOMICSスペシャル)/羽海野チカ
- ¥500
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「どうだ?
美園はオレを笑うか?」
スピカ ~羽海野チカ初期短編集~
羽海野チカ・ジェッツコミックス
(小学館flowers他掲載)
★あらすじ★
父が見つめる動物園のキリン、親に心配されながらバレエを続ける少女、小さな冒険心を胸に駆け回る少年。
「3月のライオン」で現在大活躍中、羽海野先生の短編が単行本として発売されました。
印税は東日本大震災の義援金になるという、羽海野先生の優しさがつまった一冊。
☆☆☆
「3月のライオン」6巻とほぼ同時に発売され、羽海野先生の漫画がたくさん読めるぞーとウキウキ買いに行きました。
単行本はA5サイズなのに500円ポッキリという安価。しかも売上が義援金になるという仕組み。
これは羽海野先生を知らなくてもさっくり買っていただきたいなあと思いました。
合同同人誌だと作家の好き嫌いがあるし‥こういうテもあるんだなと思いました。ただビッグネームじゃないとできないけれど。
さて内容ですが、時期的には「ハチミツとクローバー」を執筆してすでに大人気だったころの短編だと思われます。確かにあの頃各所で寄稿していたなあと思い出しました。今はあまりやってないですよね。
ですから「初期」というには完成度が高すぎです。元々が同人の方ですから、本当の「初期」となると大手の出版社では出せませんけど。
羽海野先生の漫画はふわふわと優しく、まるで「森ガール(笑)」御用達みたいに見られていますが、全く、全然、違います。
「光を表すときに闇を描く」と先生もおっしゃるように(イノセンスを待ちながら)、優しさと冷たさ、笑いと静寂がいつも隣り合わせに存在していると思っています。
先生の作品にみられるギャグ→シリアスへサッと移動するやり方は「同人誌的」と考えることもできるかもしれません。
うすいほんは少ないページで話のカタをつけなければならず、読者を抱き込むにはその制限内でシリアスもギャグも何もかも「詰め込めるだけ入れる」事が必要だからです。
しかし、人間は本来感情がコロコロ変わる生き物。
どんなに悲しくても、ふとつけたテレビ番組が可笑しくて笑ってしまったり、人に優しくしながらもうっすらと相手に優越感を抱いたりする。
本当は大人になったからといって、気持ちが一定になれるわけがない。
ただ、一定ですと振る舞っているだけ。
それがふと暴かれる瞬間の描写が非常に上手いのではないでしょうか。
この本の中では表題作「スピカ」が好きです。
子供は親から「夢を追いなさい」と言われながらも、ある程度の時期を過ぎると手の平を返し「実直に生きろ」と言われます。
その頃には子供も分別がついているので親の変化を受け止めますが、
本当はとても淋しい。
夢に敗れたら全てが水の泡、先に何があるのかわからない。
真っ暗な宇宙に投げ出されたような気分になるかもしれない。
バレエが好きでしょうがない美園優香は毎日母親から「失敗したら笑われるのよ」と言われつづけながらもレッスンに打ち込んでいます。
野球部の高崎たちに出会い彼等も同じ想いを抱えてやってることに気づきますが‥
高崎の言葉は美園にとって一つの星みたいな光だったかもしれません。
‥つーかさすが羽海野先生、メガネ男子描かせたら最強。高崎どストライクですがな。
あとBL雑誌に掲載されていたものも入っていますが、「夕陽キャンディー」みたいな人物を今はあまり描かないような。たしかにかなり初期の作品ですが‥今の羽海野作品は男性の書き方が「枯れ専」になりつつあり、あからさまな美形がいないんだなあと思いました。
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