脳内ポイズンベリー 1



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「ただ あたしは
あなたと関わると頭の中が‥
頭の中がわーわー大騒ぎになって収拾がつかなくなるの!」


脳内ポイズンベリー 1巻
水城せとな・クイーンズコミックス
(コーラス掲載)


★あらすじ★
今、櫻井いちこ(29)の脳内で会議が開かれている。駅のホーム、飲み会で出会った早乙女(23)を偶然見かけたのだ。

声をかけるか、かけないか。

メンバーの一人・池田は「三十路前の女がやることじゃない」といい、ハトコは「声かけちゃえ!」と思いつきで叫んでしまう。
いちこの脳内にいる五人はうっかり脳内マイクをONにしてしまったり、思い出したくない記憶を引き出してしまったり。いちこも自分が選んだ行動にあわてふためくばかり。
それは相手が早乙女だからなのだろうか‥?

あらゆる場所で少女漫画の可能性を模索し切り開いてきた名手、ついに集英社登場。


☆☆☆

磯野カ●オが道端でお金を拾うと、「ネコババしろ」と囁く悪魔のカ●オと「警察に届けましょう」と囁く天使のカ●オが出てきますよね。

多くの漫画やアニメには「脳内の天使と悪魔」が扱われ、キャラの中で葛藤を起こします。
現実世界にいる自分らも、感情がぶつかりあって悩んでしまうことがあります。

別コミやプリンセスで素晴らしい漫画を発表してきた水城先生。今回はその「心の葛藤」を「見える化」し、題材にもってきたのです。

ただし脳内にいるのは単に「善と悪」ではありません。ネガティブな感情を請け負う池田、ポジティブ感情の石橋、感情まかせのハトコ、記録と記憶を淡々とこなす岸、そしてまとめ役だが前例のないことは嫌がる吉田(皆何故か名前がある)。
いちこの思考は五人の意志を統合して生まれる‥はずなのですが、勝手にいちこの行動を支配することもあります。

ユング心理学で言うと五人は「自我」です。意識的な精神であり、知覚・記憶(岸)・思考(池田と石橋)・感情(ハトコ)等で構成されています。
意識的ではあるものの、経験から分析して行動したり(吉田)、逆に感情が押さえられず動いたりする(ハトコ)。人間の人間たる人間くささはこうやって作られているのかな、なるほどと思いました。

そして真っ黒なドレスを着た「謎の女」もいるのですが、これは多分いちこの奥底にある「無意識」だと思われます。「魔がさした」「ついうっかり」がこの辺ですね。
無意識は生まれてから今までの生活でこっそり積み重なってきた「個人的無意識(トラウマも含まれる)」と、生物が生きていく中で培ってきた本能‥「集合的無意識」に分かれますが、「謎の女」はどちらなのか今のところわかりません。(プリンセスで連載されている黒薔薇アリスは生物の本能が主題)


そんなわけで早乙女と出会い混乱するいちこは脳内のメンバーを騒がせています。ここまで騒いだことはないのかもしれない。ポロッと本音が出たり、思いもつかない薄汚さがでたりする。早乙女はそれだけ特別な男性なのでしょうか?

それから三十路のいちこの脳内は池田が結構幅をきかせています。もし早乙女やあるいは越智の脳内が覗けるなら、メンバー構成はかなり違うでしょうね。
というか、脳内メンバーはこの漫画の人間に「標準装備」されているものなのか、それともいちこだけにいるのかは謎です。
メンバー各々がそれぞれの人格を持つ者であるなら、何故脳内にいるか?という謎もできます。


あと、「脳内会議」という新しい手法をとっているこの漫画ですが、外から見れば「ちょっとイイなと思った男性に声をかけ、恋を成就させる話」であり掲載誌コーラスに忠実な物語だったりします。

いちこがフェルト細工をコツコツ作るふんわり系女子だったり、早乙女が美術を志していたり越智が出版社の編集だったりといかにもコーラスっぽい。水城先生が意図的にやってるのかもしれません。

「編集のお仕事がない?ならデザイナーになればいいじゃない」そんな不思議な世界観を持つ集英社女性漫画。
水城先生が書きたい「恋愛」とは?今はまだ普通の物語ですがいずれゾッとするどんでん返しが発生するのではないかと期待しています。雑誌の雰囲気に呑まれる作家さんではないですから。

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