アーサー・ピューティーは夜の魔女 (MFコミックス フラッパーシリーズ)/木々津 克久



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「能なしの猿の大群め
霊長類とは我々のことなのに」


アーサー・ピューティーは夜の魔女1巻
木々津克久・MFコミックス
(コミックフラッパー掲載)


★あらすじ★
地球全体をパンデミックが襲った。細菌に感染した者は凶暴化し、感染していない者をただ殺す。
今まで豊かな暮らしを送っていた少女アーサーは住み処を追われ、従者のアタルと世界を回っていた。
自分と同じく感染していない同胞がいると信じて。

しかし地球は、そして世界はただ真実を見せ付けるのみだった‥

「フランケン・ふらん」「ヘレンesp」で人間の心を内臓からえぐり出してきた鬼才がさらなる進化をとげる!!


☆☆☆
「ヘレンesp」を読んですっかりハマり、作者買いをしています。エグい描写がこちらの心をグサリと刺し、ついつい考えさせられてしまいます。
今回は出版社がマイナーなために見つけるの苦労しました‥

しかし、しかし。
1巻の最後まで読んで「あー‥」と頭を抱えてしまいました。これは自分にはキツかった!!

「アーサー‥」は最近の「フランケン・ふらん」で顕著に描かれている「消費経済」「民主主義」への問い掛けが抽出され、より深く作品が作り上げられています。

世界は上に立つものと虐げられる者で構成されています。
しかし虐げられる者は簡単に従わない。だから上の者はうまくなだめすかし時に脅迫する。

だけど「ずっとウソだったんだぜ!!」とか言われたら黙ってはいられないでしょう。主人公のアーサーはずっと上に君臨し、彼らから利益を貪っていた。自業自得といえばそうです。


ただし、この漫画のカラクリはちょっと違っています。
「感染する者」がどこで区分けされているのか‥そして何故こんな菌がばらまかれたのか‥こちらはまたまた悩んでしまいます。


木々津先生の作品は本当に素晴らしいです。昔の漫画っぽさはありますが、今のライトな漫画の中でどぎつく深く記憶に残ります。

過去に「虐げる者」だったアーサーに、生きる権利はあるのか。虐げられた者もまた同じ。一体どうなってしまうんでしょうか?



さて、ここからはチャンピオンコミックス「ヘレンesp」1・2巻を読んだ人だけ見てください。↓



ヘレンesp 1 (少年チャンピオン・コミックス)/木々津 克久



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ヘレンesp 2 (少年チャンピオン・コミックス)/木々津 克久



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最後の章でアーサーはパンデミックが起こった因果律を変えるために「猿の手」を探します。
猿の手とはよく都市伝説などに出てくる、どんな願いも三つだけ叶える道具なのですが‥


何故か「猿の手」を持っていたのは視覚と聴覚を失った美少女。

そう、「ヘレンesp」の主人公高原ヘレンなのです。彼女は不自由をあるがまま受け入れて清く優しく生活しています。

だからヘレンは猿の手に「ささやかな願い」をします。


しかしそれはアーサーにとって非常に‥非常に残酷な願いだったのです。


ここを読んだ時、温かく優しい「ヘレンesp」の世界がすっかりひっくり返ってしまいました。優しいおじさんと暮らし、いろいろな人に助けてもらい、クラスメイトと楽しく生きているヘレン。

そんなヘレンですら悪魔になりえるのだと気づかされてしまいました。しかし、これが生きとし生けるものの真理なんでしょう。


ヘレンespの連載が終わった時、「どんな形でもいいから再登場してほしい」と願いましたが‥これは本当にすごい再登場でした。
これからまだヘレンは物語に関係してくるのでしょうか。楽しみです。

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