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「その日 人類は思い出した
ヤツらに支配されていた恐怖を‥
鳥籠の中に囚われていた屈辱を‥」


進撃の巨人1~2巻
諫山創・マガジンKC
(別冊少年マガジン掲載)


★あらすじ★
エレン・イェーガーは高い塀に囲まれた街でミカサやアルミンと、そして家族と暮らしていた。
それは特別なことではない。107年前、突然発生した巨人が人類の殆どを食い尽くしたのだ。知能はなく、捕食の必要もなく、しかし巨人はただ食べるために人間を襲う。その理不尽さに人類は怯えるしかなかった。
人類は自らの身を守るため巨人が入り込めない高い高い塀を築き、つかの間の安息を得ていた。
ところがその塀を超える「新しい」巨人が現れ、エレンの住む街は崩壊した。母を喰われ、エレンは復讐を決意し軍隊に入る。5年後訓練を終えたエレンたちだったが、またあの巨人が街に‥?!

創刊間もない別冊マガジンをいきなり支えた衝撃の少年漫画。



☆☆☆

マガジンは何故か「○○マガジン」や「マガジン○○」など増刊を作りたがります。あまりに多くて何が何やらだし、店頭に並んでくれないし、販売意欲があるか微妙。ただ週刊連載ではじかれたものを拾ってくれる。
ところが別冊マガジンはちょっと意気込みの違う雑誌。ぶっちゃけ「矢沢あいを受け入れるために作った焼菓子」みたいな部分があった。

でも話題になっているのはこの漫画だったりするわけです。ネットや口コミで騒がれていて、古本が見つかって読んでみたら衝撃。


おそらく未来の世界だと思います。文明が微妙に退化した街。でも人間はここにしかいない。なぜならみんな巨人に喰われたから。

巨人は人間のカタチはしているものの性別はなく知性もない。だけど人間以外に興味がなく、ほかの動物は食べない。大砲で頭を潰しても数分で復活、うなじの肉を切り取らない限り不死身。

不可解で意味不明な存在です。私たちは事象に「意味」を求めますが、意味のわからないものに圧倒される恐怖は限りない。この漫画のキャラは「死亡フラグ」が立とうが立つまいが、手当たり次第に食いちぎられます。

少年漫画は「努力友情勝利」、あと「希望とロマン」が必要です。ところがこの漫画にそんなものはありません。救いのないシナリオをのみこむしかないのです。少年漫画として逸脱してるというか、むしろ大人が読む作品かなと思います。


そして強烈なのが巨人の書き方です。知性の抜けた顔で悪びれもせずただ食べる。作者のペンが荒々しいのも手伝ってなんとも言えない存在感です。また、表紙にいる表皮のない巨人だけが異常に大きく知能があるようです。こいつが雑誌の表紙にいることが多く、インパクト抜群。


ですが同時に「すごいな」と思ったのが「立体機動装置」。うなじの肉を切り取るには巨人の頭上まで上がらなければならない。人間はガスで動くモーターを背負い、ロープを投げて巻き取らせる事により「空を駆ける」ことができます。単純な装置ですが、背負う限界の機械だし人間の訓練次第でたしかに跳べそうだなと感じるからすごい。
しかもガス切れが起こると役立たずになるリアルさもいい。

それが人間に残された「希望」であり、ヒロインのミカサは抜群の才能で巨人の首を切ることができます。しかしミカサ以外はあくまで人間らしく欠点があり、そこまで戦うことができない。アルミンは頭がいいけれど体力がないし、エレンは一巻でいきなり食べられてしまいます。

主人公のはずであるエレンがアウト。シャレにならない状況で読者を追い詰めます。最強であるミカサはエレンが唯一心の支えというあやうい面もあり、どこまでページをめくっても絶望の連続。

しかしここまで酷いとこちらは読まされてしまうのです。


その力は何なのか。

「それでも希望を見出だしたい」と願う力でしょうか?


私たちはこの漫画の住人ほど毎日危険にさらされていない。学校や仕事、面倒臭いことや辛いことがある。いきなり死ぬこともある。だけど、ここまでにはなっていない。


漫画はいいことも悪いことも振り切れるまでの表現ができます。そしてこちらの感情を動かします。まるでその空間にいるように。


これが漫画の力なんでしょうか。

久々に極限まで振り切れている漫画を読みました。続きが気になって仕方がないです。


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