アラタカンガタリ~革神語~ 6 (少年サンデーコミックス)/渡瀬 悠宇
¥420
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「替え玉立ててこんな世界に逃げ込んでやがったか、
そんなに俺が怖かったのかよ、え?!
ビクビクオドオドして逃げてばっかでよ!!
それがこっちじゃ『最強の劍神の鞘』だ?! 『大王』になるだ?!
ざっけんじゃねぇよッ、クズッ!!」


アラタカンガタリ6巻
渡瀬悠宇・サンデーコミックス
(週刊少年サンデー掲載)


★あらすじ★
日ノ原革(あらた)、いじめと裏切りによって異世界に迷い込んでしまったがそこで大きな使命を託される。
それは劍神「創世」でその世界に平和をもたらすこと。
しかし、革を不登校に追い込んだ門脇が何故かこちらに来ていて、革に戦いを挑んで来た!劍神「逐力」の持ち主となり革に深い怨みを抱いて‥!!

少女漫画に革命をもたらした「ふしぎ遊戯」の作者が挑む少年漫画、大人気の6巻発売。


☆☆☆

5巻まで異世界に来たいじめられっ子の革が心を育て勇気を養う物語でしたが‥やはり現実を突き付けられる事態になりました。

ネタバレになるのでまだ読んでない方はご注意。




☆☆☆

革はただ迷い込んだわけではなく、異世界の秘女族の男子・アラタと入れ代わっています。革とアラタは対になる存在らしく、入れ代わったというのに周囲の人は気付きません。

いじめられっ子の革と違いアラタはいかにも「ヒーロー」のキャラクターでして、門脇がいくらいじめてもかわし、まっすぐ門脇に関わり、門脇から取り巻きを遠ざけるまでになったのです。
門脇は親が金持ちで、その権力で自分の後ろに仲間を引き連れていました。彼には友達などいないし、母は家を出てます。父は全てを周りのせいにするタイプで「母さんがいなくなったのはお前がふがいないせいだ」と言い続けていました。

アラタが門脇の周囲を変えたことで門脇はアラタ(=革)へさらに憎しみを募らせ、しかも革とアラタが入れ代わっている事を理解した途端異世界に引き込まれたのです。

本当は門脇は革が好き、とは言わないまでも非常に「関わりたい」のです。門脇が革をいじめるきっかけになったのは革が陸上部で絶対に勝てる競走をわざと負けてみせたから(革は生まれつき人並み外れた体力があった)‥門脇は革が本気を出してくれなかった事を「バカにされた」と思い込んだ。
どうやったら平等に関わってくれるだろうかという想いが捻れていじめと暴力に変わったのです。

冒頭の言葉は再会を果たした門脇が革に言い放ったもの。革はこの物語で「ヒーロー」になろうとしてましたが、結局「いじめから逃げた卑怯者」に引き戻される。

いじめはいじめる人間が悪いのですが、かと言っていじめられた情けなさをリセットすることはできません。いじめられっ子がヒーローになる話は他にもいろいろありますが、その場合いじめた側はだいたい「いつの間にか」主人公を認めて応援しちゃう。
「アラタカンガタリ」はそこから徹底的に逃げない方針ですね。ヒーロー物、正統派少年漫画は「いじめた人間といじめられた人間」が現実的に何をすればいいかなんて描かない。なんか大きな力で事態をひっくり返そうとしてしまう。
しかも門脇が冒頭の台詞を出した後、革が怒りで我を忘れその「なんか大きい力」を暴走させてしまう。
ひっくり返す、というのはヒーロー物では当たり前だけれど‥現実では無理。無理で終わらず悲劇になることだってあります。


ではどうすればいいのか?
少女漫画の方が対処に早くたどり着いていると思います。

渡瀬先生の「ふしぎ遊戯」やその他の話も実にシビアです。人は死ぬし、壮絶。ただ、解答には辿り着けていると思います。


そして現代に取り残されているアラタが大変です。
門脇と入れ代わりに十二神鞘の「ハルナワ」が来てしまい、アラタはハルナワの術で命を少しずつ削られようとしています。
そして本誌ではついに‥

この件でアラタこそが革に怨みを持たないか心配になってしまいました。革には少しずつ仲間がついてきてますが、アラタには異世界の事が唯一理解できるオリベしかいないのです‥


6巻は壮絶なイベントが発生しましたが、その後はコミカルなイベントに移行します。そのバランスはサンデーらしくて大好きです。スエヒロのキャラクターも印象深かったです。
あ。あとミヤビ!彼女は世界を変える救世主かもしれませんね(笑)。