ジャンク的漫画日記-Image2289.jpg


「約束だよ
毬菜の1番の親友になってね」


友達ごっこ7巻
竹内文香・マーガレットコミックス
(マーガレット掲載)


★あらすじ★
親友に偽プロフを作られたり、バレー部の後輩にレギュラー争いで嫌がらせをされたり、主人公佐久間紫月の学校生活は波瀾万丈。でも持ち前の明るさと根性で乗り越えて来た。
ところが3年生に進級し、かけがえのない親友・百合や奈美とクラスが分かれてしまった!!不安な心境の紫月だが、鈴木毬菜という女の子が近づいて来て‥?
「いじめ」ではないけれどその寸前の友達関係を深く追求する名作、7巻。


☆☆☆

「友達ごっこ」も連載2周年だそうです。マーガレットで10巻近く続けるのは大変ですよ。
しかも竹内さんはつい最近まで「現役大学生」でした。そして毎回〆切り10日前に上げるなど、集英社には珍しい「職人肌漫画家」なのです。

華々しい絵柄の中でちょっと霞んでしまうシンプルな筆致ですが、自分はこの漫画がマーガレットで1番すごいと思っています。内容も真摯ですし、いつかNHKとかでドラマにならんかなー。全く、漫画というのは「絵だけではダメ」ですね。


さて7巻ですが、新展開です。メインキャラがかなり入れ代わって、漫画のテーマも少し変わったようです。


‥本誌読んだときガクブルしました。

「うぇぇ!!経験ある!!あるから超こぇぇ!!」


百合たちとクラスが分かれてしまった事も驚きですが、3年で同級生になった3人も濃い。
まず1年で同級生だった上原千秋、その友達の内藤詩織、


そして鈴木毬菜(表紙にいます)。


この毬菜が7巻のメインであり、とんでもないキャラなのです。

まず春休みにチカンから助けてしまった事で、紫月は毬菜にものすごく好かれてしまいます。

まず、紫月の持っている文房具を真似てくる。
毎日ずーっとメール&着信。返さないと怒る。

これだけでも「ヤバイ」と思うわけですが、毬菜が紫月としか話さないために千秋と詩織が離れてしまいます。

そのうえ百合や奈美と絡んでいるのを嫉妬し、勝手に携帯のメモリを消去する。

しかし紫月が毬菜を諭そうとすると泣き出し「死んじゃう」とブログに書くのです。

紫月は2年の時の嫌がらせ経験から「堪える」「慎重になる」事を学んだのですが(感情直結型だったんで)、毬菜についてはそれが逆効果になり、唯一毬菜の監視が行き届かないバレー部を「天国」と思うくらい疲れてしまいます。
ところがそこにもマネージャーとして入って来て、さらに‥


もう、ホラーとしかいいようがありません。同じ時期に「ちとせ」が始まったのですが、そんな場合じゃねぇよという気持ちでした。

コミックスの欄外にも「周りに毬菜みたいな子がいる!とたくさん手紙を貰った」と作者が書いてまして、「やっぱりどこにでもいるんだな束縛系‥」としんみりしてしまいました。
何も「束縛系」は子供に限った事ではありません。自分なんか20すぎてコレやられてますから。

何だろうね、あの束縛系というのは‥。過去にいろいろな経験があって、「今度こそ嫌われたくない」と思うからこそ相手を思いやらずに友達の境界線を越えてしまうというか。
だけど仲良くなるアプローチが真似っことか連絡の回数とか周りとの関係を妨害するとか‥やっぱり違う。
それを相手に無理強いする子は、5年後関係続いてると思えない。


しかし「りぼん」などでも束縛系のお友達はかなり出てきます。白●社系だと束縛系をキャラクターとして認めてキレイに流してしまう部分があり、「束縛される・しあう関係は魅力的」「もっと親友は深く繋がらなきゃダメ」みたいなストーリーになってしまう。一悶着あっても仲直りしちゃうし‥束縛直らないし‥

自分は少女漫画のエ/ロ描写よりコッチのほうが余程問題だと思っています。年齢が低いほど身近な問題ですから。「友情は美しい」と定義づける大人がいて認めてしまうからこそタチが悪い。

現実の束縛系は漫画キャラのようにキレイごとじゃないし、束縛されたら息もできないくらい苦しいのです。「友達ごっこ」は紫月を通して「束縛系の恐怖」を美化なく書いています(ギャグはあるけど)。


さて紫月は毬菜を見るだけで胸が締め付けられるまでになりますが‥

一方で百合と奈美が同じクラスになったバレー部の山本(いい子)と自分抜きで楽しそうにやっている。

それを見て紫月はたまらず、涙をボロボロ零してしまう。いつもは泣かないキャラなのに。

紫月はこの感情が毬菜と同じ「嫉妬」だと気付くのです。


束縛系はマズイと思った時点で切ればいい。リアルな友達付き合いでは悩んでしまいがちですが、高校生ですし、抱え込むよりはそのほうがいい。

そして漫画であれば上段から説教をする展開で、相手がショックを受けて改心する。

しかしこの漫画は違います。紫月が毬菜の立場に一度立ちます。そして‥。


毬菜の問題は7巻だけでまるっと収まります。既刊を読んでなくても恐怖とその顛末を味わえるかも。

8巻では詩織の問題になり、さらに本誌では千秋の話が始まっています。みんな「クラスに必ず一人いるタイプ」ですが、個々が絡むと摩擦が起こる。

皆さんも学生時代(現在の人も)勉強より友達の事で頭がいっぱいになりませんでしたか?
いじめではないけれど、胸が痛くなる毎日。彼氏が出来るとそれはそれでまた、折り合いが難しくなるし。

少女漫画はいつも恋愛を書きますが、よく考えてみれば「毎日恋してる」なんて事は有り得ない。

友達ごっこはマーガレットの中で唯一恋愛のない漫画ですが、本当はこれを「少女漫画」と呼ぶべきではないかと思ったりします。

学生生活で一番身近なのはやはり友達関係ですから。

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