ジャンク的漫画日記-Image2224.jpg

「おまえがいいに決まってるだろ!!
時雨だとドキドキするんだからっ」


わたしに××しなさい!2巻
遠山えま・なかよしKC
(なかよし掲載)


★あらすじ★
氷室雪菜、学校では「絶対零度の雪女」とよばれ恐れられている。理由は鋭すぎる目付き!
しかし人間大好き観察大好き、その特技が携帯小説家「ユピナ」として大人気に。だが彼女の小説には恋愛が存在しない。恋したことがないのだ。
そこで学校の人気者・北見時雨の弱みを握り、恋人がすることをやれと命令する。時雨はムカつきながらも恋愛に対してイノセントな雪菜にだんだん惹かれ‥
しかし雪菜のいとこ・霜月晶も雪菜に迫って来て‥?!
各所で話題の少女漫画、2巻発売。



☆☆☆

1巻の記事を上げたところ大きなサイトから紹介されびっくりしましたがそれだけこの作品が全年齢から注目されているんだなと思います。

この漫画は小学生対象のなかよしに掲載されている「幼年向き」の漫画ですが、大人が読んでも十分満足できる内容です。


それは何故か?


まず、絵が抜群に上手いこと。それだけでなくあまり書き込まず見やすい画面であること。これは幼年漫画のお約束で編集側も画面作りはチェックが厳しい。(それでも見づらい画面を平気で出してくる漫画もありますが)
基本に忠実なのは子供だけでなく大人に受け入れられやすいのです。


次に主人公雪菜の性格。きょうび「明るくてドジでおっちょこちょいで好きな子には素直になれない」みたいなお約束キャラでは「子供だまし」だし、子供も見向きしません。今のアニメは出来がいいですから、キャラクターを見る目が養われています。
雪菜は頭がよく、普通の思考を持っていません。小説を上げる事が彼女の「一番の目標」であり恋愛はその材料でしかない。時雨を脅迫してもなんともないし、時雨に仕返しされてもさらに仕掛けを企てている。

「雪菜は私みたい」なんて思うような読者はいません。雪菜に感情移入はできません。しかしこの漫画は現在なかよしの看板作品です。
主人公に感情移入ができなくても、漫画は売れるのです。

国民的少女マンガ「君に届け」が人気なのも、貞子(爽子)に感情移入するからだけではない。爽子はかなり変わってますからね。爽子を眺め「よかった」「がんばれ」と思う友人の千鶴とあやねに感情を委ねる事ができるからです。


「×しな!」の雪菜は読者からすれば「かっこいい」「あこがれ」の存在。
でも大人から見るとその行動はちょっと危なっかしい。
大人が視点を下ろすのは相手役の時雨でしょう。人気者ですが周りを小馬鹿にしており、優等生のふりをして世渡りしようとしています。ですが本性は意外と普通で、雪菜の行動を見て驚いたり困ったりしてます。高飛車な雪菜にムカつくのもわかります。
しかし、恋愛に無知ゆえ突然まっすぐな言動をしてくる雪菜にドキドキしてしまうのです。予想つかない雪菜を「楽しむ」読み方があります。

さらにそんな雪菜と時雨のぎこちないやりとりを「眺める」楽しみ方もあります。

この漫画にはいろいろな楽しみ方があるのです。

少子化の現代、漫画はだんだん大人のものになり、大人も漫画を読むので子供が読む漫画に干渉してくる親御さんもいるでしょう。残念ながら財布を握っているのは親ですから、そちらが納得する漫画でないとダメです。いやらしいシーンについては親も昔隠れて読んでいたのですから過度でなければスルーしてくれるとは思いますが、「内容」には厳しくなっているはずです。

それから現在一番漫画を買ってくれるのは「大人のオタク」です。少女マンガっぽいアニメが増えて少女マンガに理解を示す成人男性が増えている。少女マンガを生かす道はそちらにも門戸を開くこと。

しかしそうやってできた漫画が必ずしも「萌えに媚びている」訳ではありません。大人のオタクだって厳しい。媚びているのがわかった時点で読むのをやめます。
雪菜はとりあえず全く媚びません。かといって「わかりやすいツンデレ」でもない(最近ツンデレ飽きたなーと自分は思う)。よく考えられたキャラクターです。


しかしこれだけサービス精神が旺盛な幼年漫画の影で、いまだ「思春期にしかわからない漫画」があります。
感情だけで周りを左右し困らせ、泣き喚き、地味な子や一生懸命な子を無意識に小馬鹿にし、意味もなく大人に反抗し授業中に飛び出すような主人公でもイケメンと彼氏彼女になれる漫画‥

思春期真っ只中なら「わかる!わかる!うちらと同じぃぃ!!」と感情移入できますし、いい子ちゃんを嫌いますからね。彼女たちの好みをどうこういうつもりはありません。それを取り上げるのは過干渉。
しかし‥自分は努力しない主人公の漫画はいただけない。お金を使ってくれる層も買わないですよ。

昔は「中高生のリアルを追求しないと買ってもらえな」かったと思いますが、現在「思春期」が全体のどれだけいるのかが問題なのです。しかも思春期が漫画だけを読むかって違うし。残念ながらそれが現実。
(だからちゃおとなかよしはさっさと思春期主人公を捨てて努力型主人公を作り大人の理解も拾おうとしている)

問題は需要がないのにそういう漫画が多いため、少女マンガが誤解されやすいということですね。早くなんとかしないと少女マンガは消えます。まあ‥少年漫画や青年漫画に上手くテイストが吸収されてますので大人はいたくも痒くもないけど‥他の二つが健在なのに少女漫画だけ消えるなんて悲しいし、子供がマンガを読む入り口なのですから。

さて、2巻の内容ですが今まで沈黙を貫いていたいとこの晶が雪菜に迫ってくるようになりました。しかし雪菜はあまりに昔から一緒にいすぎたため彼にいとこ以上の感情は持ってません。
それに晶がまずいのはいままで雪菜が友達を作らなかったのをいいことに雪菜を独り占めしていたこと。
雪菜が孤独なのは半分晶のせいでしょう。
そんな男に雪菜はやれません(笑)

そして時雨にも「水野マミ」といういとこがいるようなのですが時雨はその名前を聞いた途端に青ざめています。
この子が電波で束縛系だったらそれはそれで「楽しめる」要素が増えそうですね。
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