「日本人の寿命は大体80年ときく
たかだか80年だ
好きなように生きればいいじゃないか」
MOMO3巻
りぼんマスコットコミックス・酒井まゆ
(りぼん掲載)
★あらすじ★
小田切夢、高校1年生。母は離婚し、父はほとんどいない。かつかつの生活をしていて名前のように夢を見られる立場ではなかった。
しかし彼女の前に幼女が現れいきなり言い放つ。「モモちゃんは大魔王なのだ!」
モモは宇宙の安定をはかるために惑星を整理する存在。そしてターゲットは地球。しかし生物のいる惑星を壊す場合は生物の代表者に存続の試練を与えている。ポイントを7つ集めれば地球は救われる。
夢がバッチリ指名され、しかし慈悲深い心を持つ彼女は着実にポイントを集めてきていた。
今回はモモの付き人ナナギの過去が暴かれる。何故彼はモモを慕っていないのについてきているのか?
☆☆☆
りぼんの中でも抜群に安定している酒井さんの作品です。絵のかわいさもさることながら、他のりぼんの書き手さんと違い「まっとうな倫理感」を持っています。
コミックスの帯には「常識を壊してあげる」とありますが、そんなのはりぼんを読むお嬢さんたちの中の狭い「常識」であり、この世ではごく当たり前の事が沢山詰まっている。
冒頭の台詞は夢のアパートの大家さんにモモが言った一言です。大家さんは70歳を越えて息子にアパート経営をやめて同居するよう言われ、「アパートの経営好きだしまだ若いつもりだし孫の世話任せるつもりだわ‥でも70年好きに生きてきたしあきらめないと」とモモに打ち明けるのですが、
「まだ初めてのことがいっぱいあるのだ ケーキも ゆどーふも プラネタリウムも 百億年生きてもまだなのだ」とぶった切るのです。
モモは幼女の姿をしていますが宇宙と同じだけ生きてるんですよね!
しかし百億年だろうが80年だろうが、人生に何の違いもない。
りぼんなのに話し相手が70歳のおばさんだというのも珍しかったのですが、酒井さんに備わった「考え方」の多様さを見た気がします。
実は3巻のメインは付き人ナナギの「過去」でありモモとの「確執」ですが、これは読んでいただきたいのであえてここでは書きません。
しかし主人公夢がナナギの秘密を知って出した答えは‥憎んだ相手だとしてもいつまでもその関係ではいられない、そのしがらみから脱却する前向きな選択が必要だということ。
夢は地味な女の子ですが(前の記事で書いたように、絵的にはかわいいのに普通と認識される少女マンガの定番です)、わりとシビアに生きて来たためにちょっとした幸せがとてつもなく大事だと知っています。
その「当たり前」を知っているきちんとした女の子です。2巻もすごかったですが、さすが「救世主」ですね。
さて、こうして読んで来て作者の酒井さんがどうやってこの話を考えているのかなってふと思ったんですよね。しかも仕事に追われながら。
結構哲学的な事を突いているんですよ。かなり読書家なのかな。
ぶっちゃけた話りぼんの先輩の吉住先生とか、恋愛の(ヘンな)多様性は書けても人生観を真剣に書けてないつーか。しかも酒井さんは小学生に解りやすくやれてます(ちゃおの篠塚先生もこれができる人)。
書いちゃいけない時代だったかもしれませんが。バブルだったし。
「昔のマンガはよかった」とか言って文庫を買う人はソンしているな。
そう思った今日このごろ。
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