「やっぱり、今更 血の繋がりだけで、家族になんてなれないんだ」
SEED1巻(第1集)
今井大輔・ビッグコミックス
(週刊ビッグコミックスピリッツ掲載)
★あらすじ★
SEED5ヵ条
一、公務によって生まれた子との接触禁止
二、公務によって生まれた子の親との接触禁止
三、施設外での一切の種の取引の禁止
四、緊急の呼び出しにも直ちに応じる事
五、食事、睡眠、適度な運動を心掛け、常に健康な「種」を維持する事
‥環境ホルモン等が作用し、ほとんどの男性が生殖能力を失った近未来。種の存続をかけて「SEED」プロジェクトが始まった。
日本の成人男性一万人に一人。稀に生殖能力を持つ男性を「SEED」と呼び、彼等は公務として生殖活動をしなければならない。
桜井スナオ16歳。SEEDと判定された。彼女もいる。打ち明けた時にどうなってしまうのか戸惑ううちに、初めての「公務」がやってきた。そこで出会ったのは「産むプロ」と呼ばれる美少女で‥?!
☆☆☆
給料が入ると気が大きくなるので、ついオビ買いをしたのですよ。作者は新人さんらしいですね。自分にとっては非常に珍しいことで、何故ビッグコミック系が月末に発売されるのかようやく理解しました。
「人類存続」というテーマが好きなんです。けれど自分が思っていたのは「地球へ‥」的な世界でした。
子供は親を選べませんから、性格は環境によって変わる。では子供たちから平等に親を取り上げて育てたらどーなんのかな、といつも考えています。
しかし、この漫画はもっと重い主題をかかえているのです。
この漫画の世界は現代と変わらないように見えて「家族」に一切の血の繋がりがありません。SEED以外男性に生殖能力がないため、夫婦は養子申請をしてSEEDが作った子供を「買う」のです。みんなそうなので「養子だから」等のこだわりはないみたいですね。
しかしスナオがSEEDだとわかったのに、父親の態度がちょっとおかしいんですよね。SEEDになると国から生活を保障され、学費も全額免除されます。だから「喜んで」いるんです。
スナオは「公務」といえどこれから多数の知らない女性と行為をしたり精/子を提供しなければならない。「種/馬」みたいなものです。
そして生活を優遇されることがやっかみの対象になるかもしれない。なのに父親はわからないんです。祖母はわかっているみたいなのに‥ここが「子供を買った」家族のズレなのでしょうか。
スナオの彼女・サチが真実を知った時の反応や、子供を買ったからといって尻尾やツノをつけてペット扱いするバカ親や、もうなんともいえない光景がスナオに飛び込んできます。
しかし、スナオが初めて「ライブ」(つまり本番)を行った相手は「産むプロ」の美少女。SEEDもいれば逆に受け入れる側の女性もいるのです。彼女は自らすすんで仕事を志願した。だから怯えるスナオに現実をたたき付ける言葉を放ちます。
彼女の名前は桐島ナツメ。SEEDとその相手は以後出会わないようになっているはずだった。しかし‥二人は再会してしまうのです。
そこから先は是非実際に読んで見てください。いやー、オビ買いをしたけれどこれはまさに「当たり!!」でした。子供を買うのが当たり前というちょっと歪んだ世界、モラルも低下してるしその代償は計り知れない。でも人類滅亡には代えられないのです。
文字列に気を使いながら書かなければいけない内容ですが、いやらしいとかそんな印象は全くありませんでした。それよりも読み終えた後なんともいえない気持ちが体中を駆け巡った‥ただただ、切ないのです。
そしてスナオたちの話はこの巻で完結しています。2巻はまた別のSEEDやそれに関わる人間の話になるでしょう。
環境ホルモンは実際じわじわと影響してますし、ありえない未来ではありません。しかし何故私たちは種を残していかなければいけないのでしょうか?少子化対策にしろいろいろと利権が絡んでいる。
人間のエゴではないのか?
‥その問いもこの漫画で見つかるかもしれません。
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