名作「放課後保健室」の興奮覚めやらぬまま水城先生の意欲作登場。1巻が出た当初、これは2巻まで読まないと何も言えない‥と感想は控えていました。
なので2巻一緒の感想です。
黒薔薇アリス1・2巻
水城せとな・プリンセスコミックス
(月刊プリンセス掲載)
★あらすじ★
1908年、ウィーン。花形テノールのディミトリはあまたの女性に愛されていたが、彼はただ一人天使のようなアニエスカを愛していた。
流浪の民だった彼を見いだした侯爵の息子テオドールの婚約者。テオドールとは兄弟のように仲良くしていた。アニエスカはとても奪い取ることができない手の届かない存在‥
そんな折、突然ディミトリは馬車に轢かれてしまうが、何の怪我もなかった。
ところがディミトリの回りに奇妙な自殺が勃発し、マクシミリアンという男が「あなたはヴァンパイアになった」と告げる。
諸々の衝撃を受けたディミトリはテオドールを殺しアニエスカを奪って全てをおわらせようとするが、アニエスカはその前に首を掻き切って死んでしまう‥!!
2008年日本。28歳の高校教師菊川梓は教え子生島光哉の一途な想いに悩まされていた。知的な梓は「あんなの思春期の一時の迷い、いつか別の女の子をみつけるわ」と思いながらもその時を思うと心が張り裂けそうだった。
二人はタクシーに乗っている時に事故にあってしまう。
一命を取り留めた梓の前にヴァンパイアのディミトリが立っていた。光哉が死んでしまうと告げられ、「私に何をしろといいたいの?!」と言うと‥
次に梓が目を覚ました時、ディミトリを含む4人の男性に囲まれていた。そして梓は‥アニエスカの姿になっていたのだ!
☆☆☆
1巻では話の本題にたどり着いていませんでしたが、2巻で確信しました。
間違いなく名作!
ディミトリの悲劇も忘れてはいないのですが、やはりアニエスカの体に入って「アリス」を名乗ることになった菊川梓が素晴らしいキャラですね。光哉の命を助けるために自分の身体を捨ててアニエスカに入った。そこにためらいはなかったのです。
梓は生前(?)カタブツな女性教師でした。言い訳したりズルしようとする生徒を見抜き、正論でたたきつけるカッコイイ女性。だからこそ光哉は惚れ、ディミトリも目をつけていたようです。
ディミトリたちヴァンパイアは「吸血鬼」ではなく「吸血樹」で、人の形をした植物。種族を繁栄させるために人間の女性と交わり子孫を産ませなければならない。
交わったら男女とも死んでしまうのですが、そうでないかぎりは永遠の命をもっているそうです。
しかし吸血樹たちは子孫繁栄が1番の「光栄」らしく、レオ・櫂・玲二はアリスになった梓にいろんな手で求愛をしてきます。
みんな美形だしそれぞれに個性もある。外見は少女だけど28歳の女性がモテモテ‥一見「逆ハーレム」なのですがとんでもございませんよあなた。結ばれたら死ぬんやで。逆ハーのアンチテーゼだろ。
梓は光哉を愛したのでそれ以上はないと踏んでいます。彼女は切り替えが早い。彼が生き返ったからもういい、魂も身体もどうなってもいい。
約束を違えば光哉は殺されるかもしれませんが、すでにアリス(梓)は割り切って「吸血樹の優秀な子孫」を残すために「オス選び」に専念するようです。
それがどう転ぶかはわかりませんが‥
乙女の理想・逆ハーレム。
それは本当に幸せでしょうか。
人間以外は本能で「優秀な子孫を残すのが誰か」を見極め、そこに「愛情」などは入りません。
実際に男性に囲まれる情況もあるでしょうが、本当は人間もあまりかわらないかもしれない。
本当はそれが真実かもしれない‥
だからオスがたくさん求愛をしているのに、「恋愛もの」とはとても言えない、渇き切った漫画だなあと思っています。
だが、それがいい。
ラブい場面に「胸キュン」ではなく「ズキズキする」。この新鮮な感覚はなんだろう。
水城先生は1巻の前書きで「愛と繁殖について考えた」と書いています。
先生のそれは何なのか、じっくり待ちたいと思います。ここはプリンセスですからまた完璧な結末が待っているでしょう。
楽しみです!
- 黒薔薇アリス 1 (1) (プリンセスコミックス)/水城 せとな
- ¥420 Amazon.co.jp
- 黒薔薇アリス 2 (2) (プリンセスコミックス)/水城 せとな
- ¥420 Amazon.co.jp



