ジャンク的漫画日記-Image1466.jpg
「ただそなたを信じています」


アラタカンガタリ1巻
渡瀬優宇・少年サンデーコミックス
(週刊少年サンデー掲載)


★あらすじ★
八百万の神々がおわす世界。秘女王を交代しなければいけないのに、受け継ぐはずの秘女族には男のアラタしかいなかった。アラタが女装して儀式に望むが、そこには陰謀が?!
一方、現代。日ノ原革(あらた)は常人ならざる力を秘め、クラスメイトとの軋轢に思い悩んでいた。
二つの世界がリンクするとき、伝説が始まる‥


☆☆☆
連載10年以上というマンネリ漫画を二つ抱え、原稿紛失問題を起こすしょーもない雑誌サンデー。
そこに現れたのがこの「最終兵器」、少女漫画家の大御所・渡瀬先生でした。

少女漫画家だと?とかいう戯れ事は言わせません。
昔からのサンデー作家と比べたら、小学館の少女パートは不安定でした。
サンデーは比較的「連載打ち切り」がない雑誌で、人気がなければ少しずつ最終回への準備をして大団円で終わらせるシステムがありました。しかし渡瀬先生の代表作「ふしぎ遊戯」を読んだ方は多いと思うのでお分かりでしょうが、多分スジ的には朱雀全員集めて6巻で終わったかもしれません。それを青龍側の横槍で失敗、玄武・白虎の領土まで行き、残酷な戦乱を繰り返しやっと終わったと思ったらちょうどアニメ化になり、誰も予想しなかった「第二部」が出来てしまった!第二部は最後、打ち切り感がありましたね。
引き延ばしや打ち切りを要求されても描ける、そんな修羅場をくぐり抜けて来た人です。サンデーにそんな作家いますか?

その後も「妖しのセレス」等、少女マンガの枠を出ない程度に抑えつつ残酷な展開の漫画を続けてきましたが、所属の少コミでは内容がハイブローすぎ、別コミやflowersの田村由美、篠原千絵、渡辺多恵子などと比べると「子供っぽい」、というわけで今まではふしぎ遊戯の玄武編を独自雑誌で描いていたというモロ特別扱い‥というか、どこの雑誌にも合わせることができなくなっていたわけで。それでも熱烈なファンがたくさんいるので、その雑誌はかなり売れていたんですよね。

だからアラタカンガタリがサンデーに来たことを「珍しく英断」と思いました。
人をたたき斬ったり拷問したり、味方は死ぬし、おいそれ生き返らないし、少年漫画の「ご都合」とは違うことをやっていましたから(そのかわり少女マンガのご都合は守らなければいけなかったけど)。

初っ端からあんなカワイイ秘女王がぶった切られるなんて、少年漫画家にはできないでしょう。あれができるのは他にCLAMPだけじゃないでしょうか。いずれコトハも◎女喪失させられたり、顔などに一生残るキズをつけられるかもしれません。

サンデーにも女性少年漫画家はいますが、素地が違うので意識的にキャラの扱い方も少年側になってしまうと思います。

キャラの本当の危機をあっさり描ける、人気キャラを殺せる、話のメリハリについては天才的な方だと思います(それがシナリオ的によいかは置いといて、少なくとも展開が気になる漫画になります)。週刊雑誌にはもってこいじゃないでしょうか?


‥引用の言葉は、弱気な革に秘女王が語りかけたものです。人は理由があるから他人を信じる。だけど革は自分が何もできないと思っている。だから信じて貰えないと人間不信に陥っていた。
しかし秘女王は「ただ信じる」と言うのです。なにもない革にどれだけの力を与えたでしょうか?


とりあえずこの漫画は女子も買うので、サンデーは少し持ち直すと思います。最近本屋の新刊台にサンデーコミックスが並ばないんですよね。それだけ今までが不作だったわけで。
これが今、山積みなんだろうと思うと、よかったなと思います。だってオイラも昔はサンデーのファンだったんだから。


あとは柳宿や軫宿みたいなキャラがでてきたらいいなー、なんて。柳宿が死んだ時に泣いた人、手を上げてください。