ブログネタ:好きな匂いは? 参加中キンモクセイの匂い、ギンモクセイの匂い、通り過ぎてふと振り返り、意外と遠くに木が立っている。
ただの木の匂い、剪定をしたあとの切り口のお茶みたいな匂い。雨上がりの草の、渇きを乗り越えた匂い。
土の匂い、もくもくとした砂埃が雨で落ち着いてなずむ匂い、渇いたアスファルトが鏡面のように水を張って街路灯に反射し連鎖していく、ちょっとした油の混じった匂い。
排気ガスの匂い。友達は潮の匂いに似ていると言った。彼を思い出し、学生の頃を思い出す。
引越ししたばかりの、新しい壁紙の匂い。クスリと接着剤の匂いなのに、吸うと不安な気持ちが安らいだものだった。田舎からこちらに来て、向こうに「風光明媚」しかないならこちらが提供してくれるのは白くて光って埃やカビを一切閉じ込める匂いだった。
それが嫌いな奴もいるが、私はとても好きだ。
そして実家に帰ると、匂いがあったことに気付く。新しい部屋の匂いに慣れたから、もう自分が実家に拒否されたのかと思う匂いだった。
昔の家にはよくある古い木の匂い、しっくい、畳。枯れた自然の匂い。自分がいた場所が他とあまり変わりなくて、でも畳に突っ伏した。
もうすぐ冬が来る。
雨がなくなり、草は生えなくなり、切り口の匂いは全くなくて、遠くの焚火が音だけで匂いを運んでくる。
冷えて冷えて、気温が万物に気化する事を許さない。だから冷たく高く青く光る空のように、何も混じりモノがなく匂いがただそこにある。
冬の匂いが好きだ。
だけどまた枝に黄緑が咲いて、黄緑がたくわえるわずかな水分の匂いを求めるはずなんだ。
ただ私がいるだけでこれだけの匂いがあって、
ただ私はぼうっと日に当たる。
