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自分はりぼんの250万乙女でした。しかし今、ちゃおとなかよしを読みりぼんは読んでいません(つーか普通そこに戻らない)。

谷川さんはリアルに「きもち満月」や「くじら日和」など読んでいて好きでした。
今でも大人の人と漫画の話をすれば「りぼん=谷川史子大好き」と返ってきます。これがまた、必ずです。

何故なんでしょうか。谷川先生はリアル時代、長編でヒットしたことがないのです。自分もたしかに好きだけど、もっとコメディ作家とか天ないとかのほうが好きだったりするんで。


自分は実をいうと今の谷川先生をある「記号」だと思っています。谷川先生大ファンの方はこの先を読まないことをお勧めします。
いや、谷川先生については示唆してないか。



くらしのいずみ
ヤングキングコミックス・谷川史子


★あらすじ★
結婚をめぐるたくさんの夫婦の風景。明るく楽しく、やさしく、哀しく、せつなく‥温かい。
独特の温かさと細やかな視点。りぼんで愛された作家の青年誌デビュー作!


☆☆☆

さすが、うまい!泣けますね。実は「島岡家」でグッときてしまいました。島岡‥お前は‥
きっと昔だったらここじゃなくて矢野家で泣いたかもなと思います。

やっぱり青年誌だからコマが横割り、中心に人間を据えて回り空白のコマが多いけどそれでいい感じです。

逆に小嶋家は非常によくある女性漫画というイメージがあります。
読み切りは‥自分よく結婚式のバイトで手紙読んで泣く友人代表を見てましたが、多少なりと女性はこういう感覚を持っていると思います。当たり前でも掘り下げたら「えっ」と足をふと止めるものを逃さず書いています。


本当によい作品だと思いますよ。だけど、だけどね。

自分が疑問なのは、

何故この本が少年画報社から出るんでしょうか?

はい、実はヤングキングアワーズ、前にもBL作家のコミックスを出しているんです。もしかするとコミックハイの評判のよさを読んでいるのかもしれません。
男性が少女漫画の許容ができるようになっているし、女性ファンはお金になりますから(単行本を買う)。


しかし、しかし。

谷川先生は講談社でも連載を書いています。こちらはBeth(廃刊)→Kissなので女性向けですが。


‥じゃあ集英は?
何を取り逃してるんだ?
一応コーラス所属みたいだけど‥??



「岩館真理子・陸奥A子など集英社の乙女ちっく路線、身近な恋愛ものが現れ始めた反面で、小学館の萩尾さんや竹宮さんは、世界と生命の問題について根差した漫画を書いている。私はどちらが良いとも言わないが、スケールを感じたいのであれば‥」
これは1970年代に発売された小学館少女コミックの増刊「地球へ‥」ファンブックに書いてあったような気がします(この前博物館で見た)。竹宮さんの本ですから竹宮さんを称賛する文章になっていますが、このころから集英社は「小さい」話を書いていて、小学館とは一線画すことになりました。


小さい、というのは悪い表現のように見えますが吉本ばななが文学界に踊り出て「ふつうの中の輝き」を世間に認めさせてからこの乙女ちっくはいろんな方向に育っていったのです。たかが恋愛、されど恋愛。手に届く範囲の幸せと華々しい仕事とほっこりした暮らし。


その間SF側の小学館としては苦渋をなめていましたが、現在蓋を開けてみると小学館FLOWERSは売れていてコーラスは何?みたいな。ハチクロが逃げ出す雑誌です。


今女性は女性漫画を読まないです。モーニングの中に安野モヨコとよしながふみがいるのですから。
そして講談社ビーラブが主人公老若男女多種多様、いろんな仕事をする女性の漫画を書くのに、集英社YOUはアパレルか編集者で仕事はなんでもなくこなして恋愛に今だ悩んでいます。


さて、くらしのいずみですが。

どこの家も「編集」「先生」「プラネタリウム」等、キラッキラした職業。仕事がわからなくても一軒家かドきれいなマンションに住んでいる。

そんなとこで「忙しい」「残業」いわれても実感わかんわー!とこちらは叫びたくなるわけです。


でもそこは問題ではないのですよ。先生が書きたいのは夫婦の心理模様であり、ギスギスしたものではないから。
少しでもそこに下世話な要素を入れると成立しないお話なのです。


そのお約束が成立するのは‥本当はりぼんなどの「少女まんが」ではないかと思うんですが、読者が大人になってりぼんを買うのが恥ずかしくなり、大人のための乙女ちっくが現れた。今も岩館先生や陸奥先生が全く同じ事をしています。

しかし少女を無理矢理大人にした漫画はどこか歪みを感じ、そういった現実とのかみあわなさに疑問を感じた読者が講談社に移っていった‥
ハチクロではぐは森田も竹本も選ばなかった。それが今の女性の答えです。


谷川先生は「最後の乙女ちっく」という記号です。ただの乙女ちっくではなく、圧倒されるカタチを成立させています。突っ込める筈の要素すら愛おしい。
しかし沈みゆく集英社で回りと同じ事をしていても呑まれて終わるだけと判断したのでは?

講談社Kissもアワーズも、他に「乙女ちっく」は存在しません。初めて谷川先生を知った人は感動するし、元からのファンはずっとついてくる。

英断だと思います。本物はちゃんと残っていくべき。問題は谷川先生を追い求めた方々‥はまだいいんですが、小さいことしか書けなくなってしまった現在の集英社少女漫画家なんです。
授業がだるい、さぼるのかっこいい、相手がきにいらなければ歯に衣着せぬ物言いをする、それでも彼氏を離したくない、素直が格好悪い‥

彼氏と自分とダチだけの世界が現在こういうカタチでりぼんに残っていて、ポケモンやら男子と同じ遊びをやってきた世代の少女たちががっかりしてちゃおに逃げました。ちゃおの主人公もわりとはぐに近いものがあります。


でもまた20年すると時流が変わるかもしれませんね。
その時に集英社(女性側)が残っているかわからないですが‥

そういえば渡瀬先生のサンデー、さすがですね。これは読ませる。
あと井上先生のサンデーに寄せた漫画がものすげー皮肉でウケます。他社に仕事あるんだから早く逃げてほしい‥