Image0835.jpg

上野の森美術館に行ってきました。この展示はBRUTUSなど各誌で取り上げられてるし、若い世代は先生を「神」と崇めているかと。
しかも生原画見れちゃうんだぜ!


素材が素材だけに「休日行ったら芋洗いだ」と思っていたのですが、それでもある程度の行列になっていました。


やー、これはすごかったですよ。美術館内が一冊のマンガ本なんです。
漫画には誌面の右上に「決めゴマ」を作るルールがあります。何故かって、ページをめくると1番最初に見る部分だからです。

その「決めゴマ」の部分が展示室の突き当たりだったり、壁を曲がらないと見られないようになっていたり、あとはバカでかいキャンバスの絵になっていたり。

先生がどこで印象深くしたいのか、パネルやキャンバスの大きさではっきりと区別しています。

それから階段を上り詰めるとそこに誰かが構えていた‥など、主人公と一緒に体感をする部分もあります。

現在博物館学では「いかに体感体験をするか」に的が絞られていて、近くの国立科学博物館もリニューアルしてから体感展示が増えました。

漫画展だからといってただ漫然と絵を飾ればいいというわけではありません。

主人公と一緒に砂を踏み締めるなど、漫画を体感するとはこういうことですね。

そしてスタッフは入口で「飛ばし読み可能です。自分のリズムで見てください」と説明してくれます。

読むのが早い人はサッサと字と場面を把握すればいいし、原画がみたい人は筆跡など心ゆくまで見ればいいわけです。
(しかし休日は飛ばし読み不可能だろうな‥)

まさに漫画の読み方ですよね。バガボンドが嫌いな人はモーニングをバサッとめくるように飛ばせばいいわけで(そんな人はここに来ないけどあくまで可能性として)。でもそういう人もすごいコマにぶつかるとふと手を止めたりしますよね。

漫画を一話全部展示するって前代未聞です。前も高校の黒板にスラムダンク描いたわけですが、井上先生は本当にすごい。漫画をどう世界に知らしめ、芸術に仕上げていくか常に模索してますよね。

いつもお疲れ様です。




‥しかし、しかしですよ。

これはスラムダンクとバガボンドを描いた井上先生だから出来る事です。後で同伴者と「他の作家で誰がこんなこと許されるか?」と話し合ったんですが、

浦沢先生
矢沢先生
二ノ宮先生
秋本先生
尾田先生
鳥山先生

‥あとは現在あまり描いてない大御所あたりだろうという結論になりました。
展示することを許され、なおかつ収入が見込めるとなるとこのぐらい。


そんで「幼年漫画大好き」な自分からしてみりゃ、コロコロりぼんなかよしちゃおの作家がこんなことしようもんならいろんなとこから鼻で笑われるんだろうな~って。
でもここで10年前「赤塚不二夫展」あったんですよね。原画はもちろん、シェーをする実物大のイヤミとか展示してあったっけ。

赤塚不二夫も藤子不二雄も手塚治虫もみんなみんな子供に漫画を書いていたんです。それを晩年になって評価するなんてやはり寂しい。昭和時代、漫画は「ポンチ絵」とされていたんだし。
井上先生だってスラムダンクで爆発していた時期にこれはできなかったでしょう。青年誌の「モーニング」のバガボンドだから許されるんです。

そしてこの展示がされている一方で雷句先生みたいな方もいるんです(金色のガッシュ!!の作家。カラー原稿をなくされ、訴訟を起こした。詳しくは先生のブログを見てください)。

井上先生の原稿‥今回キャンバスに和紙を貼って水墨画のようになっている大きな作品があります。
つい「バラ売りしたらいくらになるんだろう」と考えてしまいました。

これをもし搬入搬出の過程でなくしたり破損したらどのくらい賠償金が支払われるのでしょうか?

サンデー編集部みたいに「1.5倍で手打ちにして下さい」とか言ったら大変ですよ。


雷句先生だってガッシュを2年もアニメにすることができたすごい作家です。だけど少年漫画=ガキの漫画だからと原稿をどっかにうっちゃる事が平気で行われてしまう。

漫画は芸術です。
しかし漫画に貴賎はありません。
評論家の方、青年漫画ばかり評価してないでちゃんと全部見て!
評価しないから原稿の扱いに差がでるんです。
このままでは本当に漫画は腐ってしまいます。


‥そんなことをしきりに考えさせられた展示でした。

ちなみにこの「最後のマンガ展」の話はネタバレになるので内容は明かしませんが、
先生にとっての一番言いたかった「主題」の表現方法は誰でもやる形なんですが、それは突飛だと理解してもらえないからあえて控えたのか、それとも真剣にこう捉えているのか‥

それから若い子の感情はその時代背景とは関連せず、むしろ「K藤!アキバじゃなくてこっち見ればよかったのにな!」という感じでした。

でもやっぱり井上先生はスゴイ。


ゲーム・アニメ・趣味急上昇ランキング