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「初恋限定(リミテッド)。」1巻
ジャンプコミックス・河下水希


というわけで桃栗みかん=河下先生が万を辞して贈る最強のラブコメでございます。ジャンプの掲載順がビミョーですが、オイラはすごい作品だと思ってます。
ただし、少女漫画として‥


面白い少女漫画に共通するのは何でしょうか。

「星の瞳」の香澄と久住くんより、沙樹と司が気になりませんでしたか?
「天ない」の翠と晃はもちろんだけど、タキガワマンとマミリンにハラハラしませんでしたか?

「花男」は優紀と西門の関係が出てくると心配で、「ハツカレ」はチロとハシモトくんよりイブシとちゃーちゃんを応援したくなる‥。

人気作に共通するのは「主人公の親友の良さ」だと思うのです。

フルバの透にうおちゃん・花ちゃん。君届の爽子にちづとあやね。ママレの美希には茗子。

紆余曲折ありますが、みんな主人公に親身に関わり、一生懸命応援してくれます。そんないい子たちがモテないはずはない。
ただし、主人公と違って性格がとんがっていたり、大人っぽかったり。そんな恋は少し変わっていて面白い。

少女漫画は「恋をかなえる」のが目的ですが、人気になって片思いが長引くと「くっつけ!」と言われ、いざくっつくと今度はライバルが現れて破局寸前になり、元に戻ってもまた「さらなる敵」が強さを増してやってくる。

「恋のインフレ」です。長編少女漫画はドラゴンボールみたいなもんです。

「一つの恋」ではネタが尽きます。でも浮気したり相手を取っ替え引っ替えしてたら反感を買ってしまうし、実際失敗している作家がたくさんいます(吉住渉「ランダムウォーク」など)。

だからインフレ型恋愛漫画で親友の恋が挿入されると、新鮮に感じるのです。王道ではないだけ余計に‥。そっちのほうが気になって読み続けたり。


‥前置きがやたら長くなりましたが、「初恋限定。」は少女漫画のジレンマをうまくクリアした作品です。

【あらすじ】
中学2年の有原あゆみ・江ノ本慧・土橋りか・別所小宵・千倉名央は仲良しのクラスメイト。性格はみんな違うけど悩んだり助け合っています。そんなある日、あゆみに伝説の不良からラブレター。あゆみは驚愕するが、彼はあゆみの好きな財津くんの兄でした‥

これが第一話ですが‥



【第二話】
財津衛(弟)はあゆみに好かれているのに全くその気がない。賑やかし系の友人・楠田が問い質すと、実は隣に住む美人のおねいさん・山本岬にしか目がなかったのでした。


第三話は舞台が山本さんの高校になってしまいます。
この漫画に「主人公」はいません。毎回主役が変わり、それぞれの恋が展開します。男女問わず感情も非常に丁寧です。リアリティのある回と、逆にそれをぶっ飛ばしている回があるのもメリハリがあって面白い。


メインは中学の5人ですが、初回のあゆみを仮に主人公だとして、親友4人の恋も同じだけ動きます。

あゆみ→思い込んだら一直線。ちゃおの主人公に近いです。
慧→大人っぽいけど恋で格好悪いことをしたくない。意地を張って相手を怒らせたりする。りぼんの主人公に近い。
小宵→激しいブラコン!純粋でフェチっぽい主人公はちゅちゅに多いです
土橋→サバサバしたカッコイイ女の子。白泉社の逆ハーものは読者の反感を買わないために主人公が女性らしさやがっつき感を出さない。例:藤岡ハ/ルヒ
千倉→少し男性の理想が入った文科系。

例えあゆみに飽きたとしても回りがいる。毎回違う恋、でもみんな初恋で、ちっとも不純物がありません。しかも成就しているのはたった一組。経過も追うことができます。

ジャンプをめくり、気になっていたキャラの話が出れば嬉しいし、あゆみ・小宵・千倉には兄、慧には姉がいて、どんどん関係が派生していくのでそちらでも楽しめます。
自分は美人でモテるはずの慧の恋がおもろいと思ってます。まさか相手がアイツだったなんて!
あと、山本さんの友達渡瀬さんの恋も好き。これはまだコミックス収録されてませんが。

しかもパンチラなし、エッチなシーンなし、男性向けご都合展開なしなのも嬉しい(ジャンプでビミョーなのはこのせい?)。

しかし‥そうなるとこれは完璧に「少女漫画」であり、ジャンプに載っている必要があるのかという疑問が出てきますが、

少女漫画雑誌では「主人公は一人!」「あくまで主人公がメイン、たとえ相手役でも視点をあまり切り替えるな」という制約がある上に大体が月刊ですからペースも変わってくる。

少女漫画がこだわりを捨てないために、ジャンプで「純粋な少女漫画」が発生してしまいました。しかもジャンプ一冊でりぼんなかよしちゃお白泉社‥全部把握できてしまう。自分的に、ハツリミを越えられるのは君に届けだけだと思っています。

男性の方で「ハツリミ」が面白い!と思ったらもう少女漫画が読めます。まず「君に届け」からいかがでしょうか。