瑞穂にも大井町にもショッピングモールがある。自分は運転出来ないが友達がクルマで連れ出してくれる。どこも電車の駅から遠く、送迎バスを使うかクルマをつかうしかない。田んぼの真ん中にいきなり建物がそびえる。横にはどてかい駐車場。

でも田んぼだったとは思えないほど人がごった返し、店が並んでいる。

そして武蔵村山にダイヤモンドシティができた。武蔵村山に線路は通っていない。ぎりぎり市境を越えたところに多摩都市モノレールの上北台があるだけだ。やっぱり田んぼの真ん中にある。

だが、中に入ると「ここは新宿か‥?」と錯覚する。三越が入っているのだ。他にもナイクラやAgplus、ヴィレッジバンガード、コールドストーンアイスクリーマリー‥ここに来ればなんでも買える。

武蔵村山の市民は今までバスを使って立川で買い物をしていた。立川だってすごい。ルミネは自分もよく行く。
‥立川が打撃を被っているらしい。中央線がガンガン走っている駅ビルが、である。

母方の祖母の家が小田原にある。

小田原はテツに「5人の駅長がいる駅」と認知されている。JR東日本、新幹線があるのでJR東海、小田急線、スイッチバックで有名な箱根登山線、お寺参りに便利な伊豆箱根鉄道大雄山線がある。交通の要所だ。

久しぶりに祖母に会いに行くと、小田原の駅は変わっていた。綺麗な駅舎に変わっている。しかも駅ビルがある。すごいなと思ったが目的地は小田急線で数駅北上したところにあり、でも次の電車が20分後。少し外を見てみた。

「あれ?」

たしか祖母に連れられて回った頃には駅前に丸井があった。建物はあるが看板が違う。最近流行りのマンガ喫茶とビリヤード場などが集まった施設になっている。
そして‥とにかく人が街を歩いていないのだ。

10年前と違う。

祖母の家に泊まると次の日、「じゃあ買い物に連れてってやろう」と伯母がクルマを出す。線路を越えて国道を走り、一つ道を折れるとクルマが渋滞する。

30分くらいノロノロやってるとやがてでっかい建物が現れた。百貨店を取り込んだショッピングモールである。

うわっ、と思った。なんでここが?瑞穂などは鉄道が走っていない。なんで小田原に。しかもめちゃくちゃ住宅のある場所に建っているからクルマが混雑する。道路も昔からあるもので拡張は難しいらしい。

中に入ると確かに品物が揃っている。プーラフリームやSM2がある。

「梅宮辰夫さんが食材を買いに来るのよ」
祖母は誇らしげに言った。え?梅宮って‥熱海だよな?

小田原の隣駅鴨宮から送迎バスで10分。もともと工業団地だったがいきなり引き払って空き地ができた。そこにできたのだ。少し歩けばシネコンがある。イトーヨーカドーもある。
しかし‥祖母の家は小田急線の駅から徒歩でたった5分。小田原まで10分くらい。
気合いを入れれば30分たらずで街に出られるのにそこには何もなく、クルマで渋滞にうんざりしないと行けないところにモノがあるのだ。

小田原駅周辺から丸井が撤退、西武関連のデパートが潰れ、地下街は倒産して会社再生法を申請しているそうだ。

テツとして、怒りが込み上げる。

小田原では鉄道が意味をなさなくなってしまう。あれだけ走っているのに。

2年前岐阜に出掛けた。名鉄岐阜市内線が廃止されるからだ。
乗ってみて廃止される理由がわかった。両側をクルマが走り、路面電車は申し訳なさそうに走っている。つまりジャマなのだ。
でも‥

電車に乗って数駅通過したところに大きなデパートがある。

「廃止になったらここ、どうなるんだろう‥?」

バスには限界がある。鉄道と違って渋滞で遅れる。かといってクルマで来ると駐車場がなくてその辺をうろつくことになるだろう。
こんな状態で駅から離れた国道沿いにショッピングモールができたら岐阜はゴーストタウンになる。

タイトル等は忘れてしまったが、街が活性化のためにショッピングモールとシネコンを誘致したら市民がバカになってしまったという小説がある。

そこで消費するものの全てが満たされてしまうので市民が外を見なくなってしまうのだろう。鉄道がだんだん本数を減らせば、クルマに乗れない子供は親がいないとどこにもいけなくなる。つねに親がついて買い物をするのだ。おっかない‥!!

どうしたものか‥

クルマだって好きだ。だけど‥。
廃止になっていく鉄道を見ているとやるせなくなる。