突然の腹痛に、保険の利用を思いつき、
マイアミの提携病院を紹介してもらう私。
自分の旅で得た土地勘を過信して、
「バスと徒歩で行こう。」、そう、タクシー代を
節約してしまったがために起きた出来事・・・。
前日その辺りへは、バスで行っていたので、
まず最寄(と勘違いしていた)バスストップで下車。
そこから住所を照らし合わせて、
その病院があるはずの方向へ歩き始める私。
その周辺は人気が少なく、車道が多い。
少し閑散とした雰囲気で、もしここで何か起きても
助けを求められないな~、という感じの場所。
少し足早に歩く。
・・・が。
歩けども、歩けども。
一向に病院のアドレスに近づく気配はない。
・・・
・・・
・・・
そして、ある一角に出た。
そこは、いかにも怪しそうな、暗い雰囲気が漂っている。
その入り口あたりに、ブラックのおっちゃんがひとり。
対向から、明らかに私に何か、話しかけている。
しかも・・・怒鳴っているヾ(▼ヘ▼;)。
・・・まずい
無視しても、いいものか。
怪しい人から話しかけられても、アジアや中東、南米なら
無視してもいい、的な雰囲気だったけど、ここはアメリカ。
切れさせて、銃とか出てきたら・・・。
でもよくよく聞いてみると、
「お~い、どこに行きたいんだ!何を探しているだあ!」
的な感じだったので、私もいかにも普通な感じで、
「大丈夫、分かってるから~!」と大声で返す。
でもおっちゃん、こっちだ、こっち!と、
益々怪しい雰囲気のその町の中を、指指す。
・・・しかたないので、おっちゃんを怒らさないように、
その指された方に、仕方なし、歩いてみる。
(すぐ引き返すつもりで)
住所的には、病院に多少は、近づいているはず・・・なのに。
おかしいな・・・。
もう、この頃には腹痛はとっくに、消えていた。
おっちゃんに見守られながら、とりあえずその道を進むと、
益々貧しそうなそのエリアに辿り着いてしまった・・・!!!
スラム街。
うん、きっとこう呼ぶのが、相応しい。
・・・やばいよ。
そこだけ空気が流れないような、重々しい印象。
ドラッグのためか、フラフラと歩いている、
ボロボロの服を着た女性とすれ違う。
歩いている人たちはほとんどがブラックで
そこにいる人は白人も皆、いかにも、不健康そう。
家のテラスにも窓にも格子がしてある。
治安の悪い場所特有の、バリケージだ。
でもオドオドしたら、あかん。
そう思って、またいかにも普通な感じで、
格子越しのおっちゃんに、声を掛ける。
「●●っていう病院を探しているんだけど!?」
すると、そのおっちゃん、
「OMG!(オーマイガーッ) 一体、君は何しているんだ!」
「どこから来た、こんなところに何の用だ!?」
私が道に迷って、病院に行きたいのだと事情を
飲み込んだおっちゃん、親切にも格子から出てきて、
こう言った。
「ここをどんな場所か知っているのか!?」
どうやら、この辺りはやはりスラムのようなところで、
ここにアジアの女の子なんかが1人で紛れ込んだら
売春婦か、ドラッグをやっている女と勘違いされるんだぞ、と。
そしておっちゃんは、普通の人たちが住んでいる
エリアまで、私を連れて行ってくれたのでした・・・。
「お前は本当に、ラッキーだな!おれに会えて!
自分を大事にするんだぞヾ(。`Д´。)ノ!」
そう、何度も何度も、言い残して。
彼は10数年前に、イギリスからやってきたのだそうだった。
彼のおかげで、事なきを得た私。
結局、病院の予約の時間にも遅れ、
しかも、その住所、番号は近いのに、
実際はまだまだ遠かったのだ。
腹痛もどっかに吹っ飛び、大冒険の後、
ひとり反省を胸いっぱいに、宿に帰ったのでした・・・。
こんなに陽気なマイアミの街の、
あんなに陰な部分をまさか自分で体験
することになろうとは・・・。
でも、このときほど、自分の甘さを反省したことはなかったな。苦笑。
何でもそうだけど、慣れてくるときが一番、危ないっていうもんね。
本当に、油断プラス、自分の感を過信していまちた。反省・・・。