「miakkiさーん!実は母が亡くなって葬祭場で写真を頼んだらすごい背景になっちゃったので急いで作り直してもらえませんか!?」
とお客様から切羽詰まった電話がありました。
長年当館で家族写真を撮影させていただいているA様。
遺影用の写真もお気に入りのお着物を着てスタジオで撮影したもの。
しっとりとしたお着物とご本人を引き立てるグラデーション背景が
上品な奥様に似合っていました。
A様は当然そのまま遺影写真になるかと思って葬祭場に原板(もとの写真)を渡したそうなのですが、出来上がった遺影写真を見てびっくり!だったようです。
どうやらよかれと思って葬祭場が人物を切り抜き背景を合成した様子。
確かに「背景はこのままで」と一言いっておけばよかったのかもしれません。
しかしそんな仰天するような背景とかある?
遺影で?
さっそく元データを遺影サイズに引き伸ばし額入れ。
急いで会場へ持参しました。
「ああmiakkiさん!急がせて申し訳ない!そうそうこの感じです」
「本人もこの写真気に入ってましてから喜びますよ」
「はじめはこの背景だったんですよ!」
と出してきた葬儀社作成の遺影写真。
!?
宇宙?
お花畑?
あの世?
“スペイシーなブルームに囲まれてGo to Heaven!”
というタイトルの前衛作品に見えてくる。
上品な着物の奥様と背景の乖離がすごい…
親族の方も「いやなんか笑っちゃって」
「この背景流行ってるんですか?」
「亡くなったおふくろもびっくりやろな笑」
となにやら和やかなムードになり
この背景はこの背景でいい仕事したのかもしれない。
「でもmiakkiさんが作ってくれたのがやっぱり一番本人らしいわ」
「これで通夜ができます」
と喜んでいただけた。
遺影写真の背景。
以前はグラデーションがメインでしたが
最近はグリーンやお花をご希望される方も確かにいらっしゃいます。
中にはご自分の畑を背景に作業着で生前遺影を作られたり。
いずれにしても「ご本人らしさ」があればいいと思う。
今回の前衛的な背景はデザイナーさんがきっと張り切って作ったのだと思うけれど
ちょっと違った方向へ向かってしまった様子。
逆にこの背景が似合うのはどんな人だろうかと気になってしまった出来事でした。